クローズアップ現代「ユーロ離脱か残留か ギリシャ再選挙の行方」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk
- toshihiro36
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<ナレーション> 輸入雑貨店を営むアリス・ハリオリスさん。先月行われた選挙では緊縮策への批判票を投じましたが、今回は緊縮策を支持する政党に投票しようとしています。緊縮策で景気が落ち込むなか、店の売り上げはこの2年で半減してしまいました。
2012-06-14 22:23:24<ナレーション> しかしユーロから離脱することになれば、もっと深刻な状態になると懸念しています。海外の商品の仕入れ値が跳ね上がり、経営が成り立たなくなると考えているからです。
2012-06-14 22:25:21ハリオリス:急進左派連合の言っていることは、現実的ではありません。ですから緊縮策を進める、新民主主義党に投票します。緊縮策はしてほしくないですが、ユーロ圏に残るためには仕方ない選択でしょう。
2012-06-14 22:28:12<ナレーション> 今月1日、選挙期間中最後となる世論調査が発表されました。新民主主義党と急進左派連合の支持率は拮抗、両党は1票でも積み増そうと必死の訴えを続けています。
2012-06-14 22:31:56サマラス(新民主主義党):緊縮策を再度交渉し、緩和します。まず、段階的に減税をします。さらに失業手当を1年延長して2年にします。
2012-06-14 22:36:27ツィプラス(急進左派連合):ギリシャ国民が虐げられた状態でいつづけるのか、それとも上を向いて威厳をもってユーロにとどまるのか。それを決めるのはみなさんです。
2012-06-14 22:39:32スタジオに戻ります
国谷:今日はヨーロッパ経済がご専門のニッセイ基礎研究所の伊藤さゆりさんにお越しいただきました。激しい選挙戦が繰り広げられていますけれども。国民は支援を受けるためには緊縮策は必要だということは理解しているはずですけれども、1回目の選挙で躍進したのは緊縮策に反対している政党だった。
2012-06-14 23:24:11伊藤:ひとつは今ギリシャの問題を解決しようとしているための政策が、むしろ問題を悪化させてしまっている。具体的には財政再建のための緊縮財政ですし。それからもうひとつ、競争力を回復するたに、過剰雇用を削減して賃金を下げる。これは結局、経済を疲弊させてしまう弊害があるわけですね。
2012-06-14 23:32:29伊藤:それが非常に大きな問題になっているわけですし、ギリシャの場合はとりわけ経済の規模が大きいだけに国民の負担が大きいということがあると思います。さらに、この問題は何が原因だったのかということを考えると、放漫財政をやってきた政府に責任があるわけなんですね。
2012-06-14 23:36:43伊藤:ある意味では放漫財政で支持基盤を固めてきた旧2大政党が、いま緊縮策を求めている。国民としてはもともと自分たちが負うべき痛みが、あまりに大きすぎてアンバランスなのではないかという思いがあるんですね。
2012-06-14 23:41:35伊藤:それだけに既得権益層を作ってきて、それを守ることに腐心してきた2大政党への反発が、一気に急進左派連合という新たな政治勢力への支持に動いているということなんだと思います。
2012-06-14 23:46:54国谷:この急進左派連合ですけれども、よくよく主張を聞いてみますと…緊縮策にははんたいなんですけれども、ユーロからの離脱に賛成かというとそうではなく…ユーロにとどまることは必要だと言っています。
2012-06-14 23:50:20国谷:ですから緊縮策に反対している政党が躍進すれば、ユーロ離脱になりかねないという論が、なぜ声高に語られるようになったのか。どういうことなんですか?
2012-06-14 23:53:48伊藤:これは緊縮策の撤回を公約にしているからなんですね。おそらく急進左派連合中心の政権ができた場合には、EU・IMFと支援をめぐる交渉に入ることになると思います。ここでなんとかお互いに歩み寄って妥協の余地を見つけて、支援継続ということになればユーロ離脱という問題に発展しません。
2012-06-15 00:00:32伊藤:ところが仮に「もう緊縮策は破棄なんだ」と譲らないと、EU・IMFは無条件に支援するわけにはいきませんので、そこで支援停止という状態に至ってしまう。そうなると、今はユーロシステムの一員としてギリシャの銀行はユーロの供給を受けています。
2012-06-15 00:07:34伊藤:ギリシャの中央銀行はユーロの紙幣を発行することになるわけなんですが、支援が打ち切られてECBからも資金供給が打ち切られることになると、お金が回らなくなってしまうんですね。その結果としてギリシャが何らかの手を…例えばドラクマの再導入といった手を打たなければいけない。
2012-06-15 00:13:23国谷:そうしますと本当に支援が打ち切られると、ギリシャ経済は破綻した状況になりますよね。そうすると無秩序なデフォルトということもありうるわけですか?
2012-06-15 00:19:14伊藤:そうですね、債務不履行が他の国(に対して)にとどまらず、銀行や企業に幅広く広がってしまうということになりますので。当然そのことが周りの国々に及ぼす影響も大きくなるということがあります。
2012-06-15 00:26:49伊藤:もう一つ、そういう形で意思に反してユーロから切り離されるということが現実になった場合、いま同じプログラムを受けているアイルランドやポルトガル、あるいはスペインやポルトガルのように財政赤字に苦しんでいる国も同じ末路をたどるのではと不安が広がりユーロの不安が広がるリスクがある。
2012-06-15 00:33:40国谷:お聞きいただきましたように、強制的にユーロから切り離されるというシナリオも考えられるわけですけれども。支える側のEUはギリシャのユーロからの離脱を決して望んでいるものではありません。残留を求めています。
2012-06-15 00:40:57