クローズアップ現代「“夢の医療”は実現するか~iPS細胞・実用化前夜~」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk 

7月3日に放送されたものを文字起こししています。 進行:国谷裕子アナ ゲスト:山中伸弥(京都大学教授) iPS細胞の開発者・山中伸弥教授をゲストに招いて、iPS細胞の研究の現状について。
0
とし @toshihiro36

高橋:検証は何度も繰り返し行っています。その上で、もう腫瘍を作ることはないだろうという確証を、いまのところ得ております。

2012-07-03 21:19:35
とし @toshihiro36

<ナレーション> 高橋さんはこの治療の許可を国から得るため、近く病院に治療計画を提出します。認められれば患者5人を選んで来年にも移植手術を行い、治療の安全性と効果を確認したいとしています。病気で悩む富永さんも、この治療を受けたいと願っています。

2012-07-03 21:23:39
とし @toshihiro36

富永:このままおいといても、結果的には見えんようになると思います。勝負をかけてみようかなという気になりますわ。

2012-07-03 21:27:27
とし @toshihiro36

高橋:10年20年経つと非常によい治療となって、一般の方にも恩恵がもたらされる。いままで何百年もできなかったことができようとしていますので、大きな一歩ではあると思います。

2012-07-03 21:30:53

スタジオに戻ります

とし @toshihiro36

国谷:今夜は京都大学教授、山中伸弥さんにお越しいただいています。世界初となる人への治療にいよいよ近づいてきているわけですけれども。このiPS細胞はがんを引き起こす可能性があるとずっと言われてきて、そんなに簡単に克服できないとも言われてきたんですけれども、人への治療は大丈夫ですか?

2012-07-03 21:35:26
とし @toshihiro36

山中:高橋先生の行われようとしている網膜の治療に関しては、ほぼ大丈夫と言っていいと思います。ただリスクはゼロとはいえません。どんな科学技術でもリスクがゼロというのはまずないと思います。

2012-07-03 21:39:59
とし @toshihiro36

山中:しかし高橋先生また私たちは、この高橋先生の治療によるリスクよりも患者さんが得るベネフィットの方がはるかに高くなっていると判断しています。また万が一がんができてしまった時、高橋先生の治療法は対応ができます。

2012-07-03 21:43:34
とし @toshihiro36

山中:網膜ですので外から常にチェックして、変なことが起こったらその細胞だけレーザーで焼いて殺してしまうということもできますので。リスクが非常に小さくなったということと、万が一リスクが発生した時も対応ができる。この2つの理由から、まもなく臨床研究を始めることができると考えています。

2012-07-03 21:46:33
とし @toshihiro36

国谷:ヒトのiPS細胞ができて5年、こうやって臨床研究の段階に入ろうとしている。しかも網膜でということになりますと、網膜で人に臨床研究ができるということの意味合い、ここにくるまでどれくらいの研究の進歩が必要だったのか?

2012-07-03 21:50:17
とし @toshihiro36

山中:5年前にiPS細胞ができたわけですけれども、その時は実際にいつ人間の患者さんに使えるかというのは、なかなか私たちも見通しが立っていませんでした。それがわずか5年という時間でここまできたというのは、いい意味で予想外でありました。

2012-07-03 21:54:54
とし @toshihiro36

山中:この過程ではiPSの研究も進みましたし、iPS細胞から目的の網膜の細胞を作る研究もものすごい進みました。また細胞を作るだけじゃなくて、それをシート状にして移植できるという技術も進みましたので、いろんな技術開発が進んでここまで来たというのが現状です。

2012-07-03 21:58:19
とし @toshihiro36

国谷:iPS細胞というのは何にでもなる可能性のある細胞で、その中から網膜の細胞だけを作り上げるということは相当難しいことなんですか?人に移植していいレベルまで。

2012-07-03 22:01:35
とし @toshihiro36

山中:高橋先生はiPS細胞ができる前から、iPS細胞と同じような能力のあるES細胞から網膜を作る研究をされていました。その延長線上としてiPS細胞から網膜の細胞を作ることに成功されています。ES細胞での研究があったので、ここまでこれたと思っています。

2012-07-03 22:05:35
とし @toshihiro36

国谷:ちょっとこちらをご覧いただきたいんですけれども、今の段階というのは高橋先生がこの臨床研究をやろうとしていて。網膜の細胞を作ってシート状にすることができて。そしてそれを人に移植する場合の、またいろんな技術も必要。

2012-07-03 22:11:15
とし @toshihiro36

山中:先ほどのビデオにもありましたが、まず5名程度の非常に少ない患者さんに網膜細胞を移植して、効果と安全性の検討を行います。ただ効果といいましても0.06くらいの視力が0.15になったら御の字だと。まずはその程度の効果を期待しています。

2012-07-03 22:15:01
とし @toshihiro36

山中:それで効果が期待できたら、その後は治験というステップでより多くの何十人という患者さんに移植して、さらに効果と安全性を見ると。そのステップを経て最終的には実際のいろんな医療現場で、より多くの何千人という方の治療になる。

2012-07-03 22:19:07
とし @toshihiro36

国谷:40万人の方が日本国内だけでもいらっしゃるわけですよね。

2012-07-03 22:21:16
とし @toshihiro36

山中:そうですね。その中でもこの治療の対象になるのが全員というわけではないと思いますが、やはり何万人という可能性はあります。そこまで一般的な治療になるには、また10年20年という時間がかかると思います。

2012-07-03 22:23:25
とし @toshihiro36

国谷:ここから先に進むためには、どんな体制が必要なんですか?

2012-07-03 22:25:29
とし @toshihiro36

山中:先ほど言いました研究開発を進めるというのも非常に大切ですが、よく私はジグソーパズルと同じだと感じます。パズルの完成にはすべてのピースが揃わないとダメです。研究開発はその1つのピースに過ぎません。それ以外に厚労省やPMDAから許可を得る、許認可というピースが必要です。

2012-07-03 22:30:10
とし @toshihiro36

山中:倫理的なピースも必要です。特許のピースも必要です。いろんなピースが全部揃ってはじめて一般的な治療になります。そしてより大切なのは、そのピースを組み立てる役割の人もいます。その経営的な感覚を持った人がいますので…そういった体制が取れてはじめて一般的な治療になると思います。

2012-07-03 22:35:26
とし @toshihiro36

国谷:その体制づくりというのは、まだこれからなんですか?

2012-07-03 22:36:51
とし @toshihiro36

山中:高橋先生も着々と体制づくりを進めています。研究者に加えて企業出身の方もたくさん入っておられて、チーム作りがどんどんできている段階です。

2012-07-03 22:38:56