「世間アピール」という面では、高エネルギー物理学・宇宙開発・宇宙観測などのビッグ・プロジェクト(巨額の公共資金が投入されて目立つ研究分野)に携わる方たちは緊張感を持っていらっしゃるでしょう。
2012-07-05 13:35:31ヒッグス粒子が本当に発見されたとしたら、それは間違いなく素晴らしいことだと思います。現世的ご利益なんかなくたっていい。ノーベル賞なんか要らないとさえ言っていい(私が言っても意味ないですが)。
2012-07-05 13:35:54控えめに「もしも質量125GeV付近のスカラー粒子が存在しないとすると、我々は非常にまれな偶然の出来事を見ていることになる」と言ってしまうと、ヒッグス粒子が見つかったと言う気にはなれないですが、
2012-07-05 13:37:34これらの結果を見せられると「質量125GeV付近のスカラー粒子があって、標準模型の予測に近い振る舞いを示している」のはウソではないと思います。
2012-07-05 13:37:50「ヒッグス粒子が存在する」と言えるための、十分条件ではないけれど、必要条件は順々に押さえていっている、と評してよいではないですか。ただ、統計的な条件なので、シャープに言えないところがもどかしいですが。
2012-07-05 13:38:41科学哲学的には、介入実在論や、奇跡論法やら、アブダクションやらの題材としてヒッグス探索の方法論や意義を検討してみるのも面白いかもしれません。これが私からのアナクロな問いかけだったら申し訳ありませんが。
2012-07-05 13:39:32物理学者の立場としては、やはり電弱ゲージ対称性の破れとフェルミオンの質量生成機構を解明してはじめて、ああ、自然界はこういう仕組みだったのだ、と言うことができる。そういうレベルに達したい・達してほしいと思います。
2012-07-05 13:40:04ものすごく個人的な、一人の物理学者としての感想を言えば、「スカラーヒッグス場ポテンシャルが対称性の破れのすべての原因であるとする標準模型」が正解だとしたら、私はちょっとがっかりします。「え?あんな安直な答えが正解なの?」と思ってしまうでしょう。
2012-07-05 13:42:37理論の創始者が安直だったと言うのではありません、念のため。いろいろな理論ができている現代の目から見れば安直に見えてしまうということです。
2012-07-05 13:43:29加速器にしても、天体望遠鏡にしても、誰もが原理・詳細・意味を理解できるわけではないけど、コストやベネフィットを広い範囲の人たちと共有しています。しかも、それらの副産物(というか、これらの研究で培われたハイテク)はたしかに現世的に役に立っているでしょう。
2012-07-05 13:44:40何もできず・何も理解できず、怖じ気づいて生きているよりは、いろいろなことに挑戦して、学習して、たくましく生きていくことを人類の祖先は選んだのでしょう。そういう方向に我々は進化してきて、生活圏を拡大してきたのでしょう。
2012-07-05 13:45:16私は、科学というのは人類の適応の一形態だと思っています。この見解はそのうちどこかでまとまった話にしたいと思っていますが。
2012-07-05 13:45:31いずれにしても、ヒッグス粒子が見つかれば素晴らしい、しかし現段階の報告を見聞する限り、ヒッグス粒子が見つかったとはまだ言えない、ヒッグス粒子ではなく別の新現象が見つかっていたのだとすればもっと素晴らしい、そして、こういう発見の意義は多くの人に理解してもらうべきだと思います。
2012-07-05 13:45:48@tani6s @nokamura @ayafuruta @ykkimoto ヒッグス粒子発見のニュースについてのコメントをまとめました。“ヒッグス粒子発見のニュースについて:谷村省吾教授の感想” http://t.co/6bJntnxF
2012-07-05 15:25:18@masmt @nokamura @ayafuruta @ykkimoto あ、yu @masmtさん、トゥギャって下さってありがとうございます: http://t.co/vfHNofDW
2012-07-06 12:59:11“ヒッグス粒子発見のニュースについて:谷村省吾教授の感想” を高所大所から語れるようなエラい人じゃないんですけど、私。 http://t.co/vfHNofDW
2012-07-06 13:00:04ヒッグス粒子あるいはヒッグス場とは何かということについてはツイッター上でもいろいろな方が解説・議論されているので、私がしゃしゃり出て解説することはありません。
2012-07-06 13:00:31感想・価値観を言うのは面白いです。私も素粒子論を専攻していた大学院生だったので、ヒッグスの理論について思い入れはありますから。
2012-07-06 13:00:57ヒッグスの論文発表は1964年です。私らの世代およびそれ以降の物理学徒にとってはヒッグス機構とか標準模型とかは教科書的"ほぼ事実"でしょう、少なくとも理論の、座学の世界では。
2012-07-06 13:02:12科学上の発見がニュースという形で世間に伝えられれると、専門家とそうでない方たちとでは受け止め方がものすごく違っている。そのギャップは面白いことは面白い。
2012-07-06 13:02:36一般の方たちは「何だなんだ、また物理学者は何を言い出したんだ?」みたいな受け止め方をし、「それで?私に関係ある話なの、それ?」という感想を抱くのでしょう。
2012-07-06 13:03:00