〔AR〕その7
東方プロジェクト二次創作SSのtwitter連載分をまとめたログです。
リアルタイム連載後に随時追加されていきます。
著者:蝙蝠外套(batcloak)
前:その5(http://togetter.com/li/325450)
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BIONET
@BIONET_
別にメモを取るわけではない。考え込むときは紙と筆を用意するのが阿求の癖であった。そもそも、稗田阿求の求聞持の法は、自身の思考さえ例外なく保持する。究極的には、自分以外の媒体に記憶を移しておく必要がないのだ。
2012-07-14 00:07:12
BIONET
@BIONET_
考え出していくとそれは無辺際の広がりを見せる。あの作品はここがよかった、着想の元はあるのか、今度はどのような作品が出るのか……言葉にしたいことが多すぎて、まとまりようがない。相手の素性が判らない手前、どのような言葉にすれば失礼にあたらないかも、なかなか予測がつかない。
2012-07-14 00:09:33
BIONET
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未だ、阿求には、素性を隠してまでバイオネットを利用する意義というものがピンとこなかった。『Surplus R』はあれだけの素晴らしい小説を書ける作家なのだから、もっと堂々としても良いのでは……と、阿求は本気で考えていたからだ。
2012-07-14 00:12:21
BIONET
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しかし、発想の逆転がある。匿名機能の仕様を、「素性を隠す必要がある」とネガティブよりの解釈をするのではなく、「素性を隠した方が都合が良い」とポジティブに考える事もできるのではないか。
2012-07-14 00:12:37
BIONET
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「そう、例えば……私がペンネームを用いたら、バイオネット上では『稗田阿求』ではなくなる……」 夕餉前の、藍との会話が思い返され、阿求の思いつきと結びつく。
2012-07-14 00:12:59
BIONET
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途端に、得も言われぬ昂揚が阿求の首筋を這い上がってくる。それは好奇心と共に、ある種の悪戯心めいていた感情の湧出。 「いいですね。考えてみましょう」
2012-07-14 00:14:35
BIONET
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瞼の裏には言葉の地平線。そこに稗田阿求が知り得ない情報はない。求聞持の法という思考の手は、一秒を無数に切り刻んだうちの一片の時間で、答えを汲み上げた。 (決めた! 私はこれから――!)
2012-07-14 00:15:53