- ShiwaBrewing
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東アジアに定住したもっとも早期の現生人類 とりわけチベット人集団と日本人集団の共通の起源に関するY染色体上の証拠についてhttp://t.co/YNLudO4Id02 昨日からの続き。
2012-07-24 16:20:10D系統が偏った分布を示すことは、東アジアにおける現生人類の起源や移動のパターンに照らして、人間集団の先史に種々の推論を生み出すことになった。 D系統が北方起源であるという仮説は、われわれのデータではまだ支持出来ない。
2012-07-24 16:21:42D系統は、中央アジアの集団において稀にしか認められないからであり(表1)、わずかに認められる中央アジアのD系統もすべて、Y-STRネットワーク(図3)の周辺のポジションにしか存在しないからである。(筆者注・・・図3白○の分布位置)
2012-07-24 16:22:35われわれのデータではまた、D-M174系統がインド全域から集められた996のデータの中に検出できなかったということから、インド人の起源のこれまでの考え方に同意できない。
2012-07-24 16:23:57一部、北東インドの人々にD系統がごく散発的に見られるのは(232のサンプル中、二つ)、それらの集団が事実上、中国・チベット語を使う集団の方に属しているからであろう(表1)。
2012-07-24 16:24:19チベットとインドの間に遺伝子の流れが切れているのは、ヒマラヤ山脈によって地理的に効果的に分断されたためという可能性が高い。一方、アンダマン島に住んでいる原住民は、彼らのY染色体ハプロタイプから見て遺伝的に孤立している。
2012-07-24 16:24:44すなわち、アンダマン島民は、他の東南アジアの集団と遺伝子の表現型が違うけれども、彼等は、D系統、O3系統、O2系統-これらは、旧石器時代の遺物のような集団であることを強く示すが、主要な東アジア特有のY染色体の系統のほとんどを保持している。
2012-07-24 16:25:22また、ダイック語やモン・ミエン語を使う集団は、言語学や考古学的な証拠に照らして古代の南方系集団といえる。ネットワーク分析は、D1系統内に、北方(チベット・ビルマ語系諸族)の集団と、南方(ダイック語族とモン族)の集団との、明瞭な分岐があることをを示す。
2012-07-24 16:26:01(図3 筆者注・・・スカイブルーの○群と黒、グレーの○群の分離状態)そのうえ、北アジアでYAP+が欠落していること、中央アジアでD系統が散発的にしか出現しないことを考慮すると、D系統の北方起源説を説明する代わりの言い方はありそうにない。
2012-07-24 16:26:19それから導かれる結論は、D系統が南方起源であることに導く。それは、現生人類が最初、東南アジアの大陸部に移住し、それからほかのY染色体の系統も移住してきたという考えと一致する。
2012-07-24 16:26:52われわれがこれまでのレポートで議論したように、カラフェット等のデータでは、中央アジアからの最近の流入混交が考慮されていないため、北方集団の高い多様性について誤った印象を与えたのである。シュー等の研究には、Y-SNPとY-STRデータの両方が使用されたが、同様の欠点を持っていた。
2012-07-24 16:35:35シュー等(2006)の研究によると、モンゴル人やウイグル人、満州人には高い遺伝子多様度があることを主張している。それは、彼等が皆、中央アジア人と漢民族集団との間で近年、大規模な混交があったと記録されているが、まさにその結果である。
2012-07-24 16:35:53加えて、シュー等で研究された(2006)南方集団は、かなり限定的であり、しかも、その集団の中では、長年の地理的孤立によって引き起こされたボトルネック効果が、大きな影響を遺伝子多様度の算定に与えていたのである。
2012-07-24 16:36:07沢山の南方の集団が研究された結果、われわれは、北方の集団と比較して南方の集団に、より高い多様性があることを観察した。南方集団のSTRデータに基づいた遺伝子多様度は、北方集団の多様度に匹敵する。
2012-07-24 16:36:29チベット人が最も高い多様性(0.525 ± 0.294)を持ち、ダイック語族(0.484 ± 0.272), 日本人(0.419 ± 0.239), モン・ミエン族 (0.347 ± 0.206)がそれに続く。
2012-07-24 16:36:49その他の東アジア人の集団の遺伝子多様度については、サンプル数が少ないため、計算されていない。チベット人が持っているより高い多様性というのは、他の集団に比べてチベット人のD系統が非常に大きく且つ影響力のある集団規模であったことが主因である。
2012-07-24 16:37:18チベット人と日本人は地理的に遠く離れた地域に住んでいた。そして、彼らの持つD系統は、2つの異なるサブ・ハプログループに属している。
2012-07-24 16:37:31この2つのサブ・ハプログループはどちらも、網目の細かい星状のネットワーク構造をもっている。それは彼等が、長い期間ローカルな存在であったことと最近、人口拡大があったことを示している。(図3)
2012-07-24 16:37:46遺伝子多様度の推定については、潜在的バイアス、たとえばD系統の下位系統の分岐時期の違いなどを分析対象としていることに注意すべきである。
2012-07-24 16:38:21アフリカでだけ観察されたDE*系統が、チベット人の中に2人見出されたという発見は、D系統の古さの証であり、、D系統が東アジアに最も早く到達した現生人類の移住者の中の一つであることを示している。
2012-07-24 16:38:37さらに、D系統の偏った分布と分岐前の時期の古さは、東アジアの現生人類の集団の中で、D系統が、旧石器時代に他の系統とは独立して移動した集団であったことを示している。
2012-07-24 16:38:58O3系統に関するわれわれのこれまでのデータは、東アジアの現生人類が有史以前(約25,000-30,000年前)に北方への移動をしたことを示した。それは、主要な東アジアに特有のY染色体の系統(O3、O2、O1)の現在の系統地理学的分布を説明することが出来る。
2012-07-24 16:39:24しかしながら、D系統のデータのほうは、移動パターンの仮説を説明することが出来ない。 まず第一に、D系統というのは、東部アジアの中心地域、とくに中国漢民族では稀な存在である。 これは、たとえば、現生人類の北方への移動の間、O3系統と一緒にD系統も移動したと仮定して、
2012-07-24 16:40:27その間の遺伝的浮動でもって説明できたが、チベットや日本でのD系統の勢力拡大を説明するには、突然変異が重なって起こるとか、D系統独自の偶発的発展が起こったとかが(あまりありそうにないが)必要である。
2012-07-24 16:40:46