『東海衆道中膝栗毛』

十返舎一九のバディ・ムーヴィ的解釈。
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♍≠様♍ @XavierCohen

道ならぬ恋に疲れ江戸から出奔する弥次郎と喜多八。漂泊の末辿り着いた伊勢の地で喜多八は言つた。「俺はお前のお父を殺した」衝撃の告白!「お前と駆け落ちたならば誰も俺を疑いはしめえ。全部嘘だつたのさ」神宮が炎に包まれ夫婦岩が砕ける。狂乱の最中姿を消した喜多八を追い弥次郎は京へ。大坂へ。

2012-07-26 11:45:44
♍≠様♍ @XavierCohen

「お父は俺達の事心良く思つて無かつたからな。さうだらう喜多さん」「お前は本当に人が好いんだな。俺達が此処まで逃げられたのは誰の金の御陰だと思つているんだい」「何だつて」「つまりさういふ事さ。解つたらもう俺に付き纏うのは止しとくんな」「解つたから俺と江戸に帰らう」「諄いよ弥次さん」

2012-07-26 14:39:38
♍≠様♍ @XavierCohen

喜多八が袖を振り切つた弾みで蹌踉けた弥次郎は戎橋から真つ逆様に道頓堀川へと転落してしまつた。数日後。大坂湾で上がつた水死体は所持品から江戸で行方不明になつていた弥次郎と判明。出張つてきた奉行達は数月前に起こつた弥次郎の父である商家の主殺しとの関連を疑ひ同行して居た男の行方を追う。

2012-07-26 14:57:33
♍≠様♍ @XavierCohen

数年後。二色ノ浜に腰掛け煙管を吹かす喜多八はすつかり商家の若旦那風情が板に付ひてゐた。其処へ女中がぱたぱたと草履を鳴らして駆けて来る。「旦那様。御奉行様がお話があるちゆうて御越しどす」喜多八は何処までも碧い空を見上げかう言つた。「見てみなはれ。御天道はんがいつぱいや」

2012-07-26 15:06:16