ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/08/08

今日読んだついのべの中から個人的にお気に入りの作品を選んでみました。 ついのべ #twnovel とはツイッター小説、つまり140文字以内で書かれた短いお話です。
0
tokoya @tokoya

#twnovel ある日突然、太陽がその活動を停止した。前触れは無く、理由も不明だった。世界は闇に包まれ、気温は急激に低下した。原油価格は高騰し、紛争も勃発。もはや滅亡は避けられない、と誰もが思った時、宇宙からメッセージが届いた。それは料金不払いによる、太陽停止のお知らせだった。

2012-08-08 12:37:04
tokoya @tokoya

#twnovel 世界が破滅しても、私は寂しく無かった。私の側にはいつもアンドロイドの彼がいたからだ。無表情に見える顔だけど、その目の暖かな光だけで、私には彼の心が判る。でもある日、彼の目からは光が消え、二度と動かなくなった。私は泣いた、そして鳴いた。彼の胸に、肉球を押し当てて。

2012-08-08 12:52:15
すなお @Svnao

#twnovel ある所に催眠術師がいた。やっと名前が売れて生計が立てられるようになった頃に、長年支えてくれた彼女にプロポーズをしたが、彼女は『気持ちを操られているのでは』と両親に猛反対されたと泣いた。それでも一緒になりたいと苦しむ彼女の心の中から、催眠術師はそっと自分を消した。

2012-08-08 15:57:34
Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 雨が降っていた。私はひとりで暗い道を歩く。後ろに人の気配がした。ためらいながら振り向くとそこに博士がいた。暗くて彼の表情は見えない。けれど、きっと笑っていた。私はもう一度前を向いて歩く。光が見えたような気がした。「さようなら」声に出して言ってみる。私は笑った。

2012-08-08 19:00:26
いでゆのまち @ideimachi

#twnovel 男なら正々堂々と生きろ。幼いとき亡くした父の教えを、俺は守ってきた。クラスで起きたいじめにも真っ向から立ち向かった。でも近ごろ、俺は嘘つきの卑怯者だ。今朝も、また。「高見くん、おはよう!」「うるさい、ブス」どうしてクラスのあの子には、思ってる通りに言えないんだ。

2012-08-08 20:38:58
内田沙良 @Uchida_Sara

僕はカバン猫。 #twnovel 小さい時からカバンが好きで、大抵その中で寝ている。「えっ?」と聞こえて見上げると、ご主人様のカバンにいる事に気付いた。家に戻ろうとしたその時、大きい手に撫でられてゴロゴロと喉を鳴らす。顔が赤くなっているご主人様に協力するのも、僕の仕事だからね。

2012-08-08 20:45:45
ショウ @SHO_Y

男はヘアスタイルを整えると、タイムマシンに乗り込む。過去の自分にどうしても伝えたいことがあった。過去へ着いた男は、若き日の自分に頭髪をいたわるよう告げた。現代に戻った男は思い出す。昔、明らかにカツラの男から禿げると言われ、それがずっと心の重荷になっていたことを。 #twnovel

2012-08-08 20:50:48
正井/文フリ東京し-43〜44 @kelmscott_masai

ある日アリゾナの方から尻を蹴っ飛ばすような大音響が聞こえて来た。学者どもが耳栓しながら調べてみたがデキのいい頭を傾げるばかり。すると、酒場の隅でくだ巻いてたおっさんが言ったのさ、「こりゃヒットナンバーだ。一億光年先の」おっさんは落ちぶれたロックスターだった。 #twnovel

2012-08-08 20:51:33
七歩 @naholograph

この薬には薬効はない。なのにここではよく効いた。「偽物だろう」「効くわけがない」度重なる捜査という名の暴力にも僕は耐えた。とてもよく効く眠れる薬だ。さあさあどうぞ、並んで並んで。行列は続く。僕の嘘も続く。希望も未来もないこの世界、僕の嘘だけが眠れる薬。#twnovel

2012-08-08 22:13:09
竹田康一郎 @tahtaunwa

#twnovel 終電の床を右に左に転がる空缶。空っぽの心抱えて、誰にも拾ってもらえず。物悲しくて拾い上げたら、煙と共に現れた男。「魔女に裏切られて幽閉されていました。運命の人に拾われるのを待っていたのです」目が回っているのか私にお尻を向けている。私は慌てて化粧を直した。

2012-08-08 22:28:47
波詭雲譎 @_Saebyul

"#twnovel 恵まれずの若い詩人が、晩春の夜の夢に白く浮く船を見た。じきに夏が、庭の全てのリラ園を踊り貫け、紫を垂らしていく様に、その夢は風と共に去った。この者は、ライ麦の時期には黄金にさすらう闘牛士を追い、椿の季節に湖の氷を舐める。"

2012-08-08 23:26:43
水木ナオ @nayotaf

千鳥足の帰り道、にゃあと鳴き声がした。霞む視界に黒猫の姿。おいで、と手を出すと黒猫はたたっと寄ってきて、しかしすっと姿を消す。ちぇ、と口を尖らせながら家に帰り、電気のスイッチを入れると、にゃん。俺の影から飛び出した、小さな影。おっと、黒猫じゃなくて影猫だったか。 #twnovel

2012-08-08 23:31:52