剣豪と石高について

戦国から江戸初期にかけての様々な剣豪に関して、「これほど強いのに何故、数百石程度の軽い評価しかされなかったのか」という話について、ざっくり書いたのをまとめてみました。
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神無月久音 @k_hisane

昔のメモを読み返してたところ、「強いとされる剣豪が、石高的には大したことがないのは何故か」とかあったので、その辺、ざっくり書いてみる。まー今までもちょこちょこ書いてた話ではありますけど。

2012-08-21 22:19:43
神無月久音 @k_hisane

結論から言うと、「個人の戦闘力の高さが、武士としての評価の全てではない」ということであり、要するに、別に刀振り回すだけが武士の仕事ちゃうっちゅーねん、ということで砂。毎度の話ですけど。

2012-08-21 22:23:48
神無月久音 @k_hisane

要は武士は刀振り回す以外にやることがあるから、剣の腕だけ高くても、他がダメだとそりゃ評価はそこ止まりだよねと。無論、強いことが武士として賞賛されることも事実なので、腕前が高ければ、それなりに評価はされるわけですけど。

2012-08-21 22:27:19
神無月久音 @k_hisane

武士というのは、一人の戦士ではありますが、同時に軍人であり、身分が上なら指揮官でもあり、また平時は役人であったり為政者であったりするわけで、それらをひっくるめて上げた功績なり何なりの評価として、石高があるわけですよ。(無論例外もあります。どっかの尻ひとつみたく)

2012-08-21 22:31:29
神無月久音 @k_hisane

そして剣豪というのは、その剣の腕以外に武士として特筆できることがなかったりするというか、むしろ普通の人よりダメなことが往々にしてあったりするので、そりゃ石高が上がらんのも仕方ないというか、下手すりゃ下がったりするわけですよ。どっかの自宅警備員暦12年の剣豪みたいに。

2012-08-21 22:33:48
神無月久音 @k_hisane

その辺を無視して、「何故これほどの剣豪が世に評価されなかったのか。生まれたのがもし戦国時代なら…」と本気で言ってる人は、もしかして「武芸者」と「武士」をイコールで考えてるのかしらん、とつらつら思ったり。

2012-08-21 22:36:15
神無月久音 @k_hisane

一言で言えば、そりゃ違うのであり、現代に例えて言えば、プログラマのサラリーマンはいるけど、サラリーマン全員がプログラマというわけではない、という感じで砂。

2012-08-21 22:37:44
神無月久音 @k_hisane

なお、プログラマを例に出したのは、フリーのプログラマがいるのと同じように、武士じゃない武芸者(宝蔵院胤舜なんかは典型例で砂)もいるからであり、要は技術があって、その自負があるなら、武士であろうとなかろうと武芸者であるわけですよ。

2012-08-21 22:41:00
神無月久音 @k_hisane

もひとつ言えば、プログラム技術のないサラリーマンなんてごまんといますが、昨今、プログラムはできなくても、PCなりスマホなりは大体皆使ってるわけで、それと同じく、戦国期の刀はそれくらい誰でも持ってる身近な武器だったというのは、当時の武芸者や武術流派について考えるポイントかもなーと

2012-08-21 22:45:29
神無月久音 @k_hisane

兵法指南のみという条件で仕官した柳生兵庫が五百石ですから、武芸だけでそれ以上取るのは難しいでしょうね。それ以上は戦での手柄か、宗矩みたく能吏としての働きが要るかと @mike_nekonosuke 中条流の名人である富田重政の石高は一万三千石だけど、武将として働きメインだからのう

2012-08-21 23:33:28
神無月久音 @k_hisane

兵庫の「兵法指南のみで替馬の一頭も引ける身分にしてくれるなら仕える。それ以外の御役があるなら辞退する」というのは一見カッコいいけど、これって現代に例えると、社長の趣味に付き合うだけで年収1000万以上よこせ、って言ってるのとほぼ同じなんだよなあ。

2012-08-21 23:37:35
神無月久音 @k_hisane

見方を変えれば、これって昨今のラノベに近いのかもしれん。その辺のオタク高校生(ただしプライドは無駄に高い)が、オタ趣味の金持ち(身分も高い)に気に入られて、あれやこれやでハッピーエンド、という感じの。

2012-08-21 23:41:20
神無月久音 @k_hisane

まあ、将軍家指南である宗矩の存在があってこそ、というのはあるわけですが。実力は実力として、徳川一門の有力家の兵法指南役であるならば、やはりそれなりの家格がなければ…ということで現将軍家指南役の甥であればよろしかろう、という背景があったのは間違いないでしょうし喃。

2012-08-21 23:46:35
神無月久音 @k_hisane

その辺は歳月の積み重ねがフォローしてるわけですよ。ただの芸も数百年続けば伝統芸能に、という感じで @minamofuduki 「武芸の【芸】って芸人の【芸】だよ」というポイントに気がついてしまうと、フィクションの世界のいろいろなかっこ良さが一瞬で崩壊するところはありますねー

2012-08-21 23:48:49
神無月久音 @k_hisane

それはありますね。その辺の視点でやる夫柳生を最後まで続けてみたら、どういう結論に至るか、自分でも興味があります @minamofuduki 歴史を追いかけるときには今がどうかに目を奪われず「当時はどうだったか」を考えねばならない

2012-08-21 23:54:29
神無月久音 @k_hisane

そーいや戦国末期~江戸初期の武芸者の実情ネタについては、この辺でもまとめてましたな。今ならもうちょい練り込めるかも。【【やる夫で学ぶ柳生一族 外伝その2「慶長年代の剣と武芸者」 】 http://t.co/vkWrtITN

2012-08-22 01:42:06
神無月久音 @k_hisane

前のまとめを読み返してて、例として上げるなら「軍隊と格闘技チャンピオン」の方が伝わりやすかったかな、と思い直したり。ちょうどこないだのロンドン五輪でレスリング金メダルを取った米満選手は自衛官ですし。【剣豪と石高について】http://t.co/vXicBQiS

2012-09-01 22:08:34
神無月久音 @k_hisane

尤も、米満選手の所属は自衛隊体育学校の特体課程学生ですから、今回金メダルを取ったことで、評価は上がることは上がるとは思われます。しかし、それは軍人としての評価とはやはり別で、社会的・政治的な評価との兼ね合いというところでしょうし。

2012-09-01 22:15:18
神無月久音 @k_hisane

米満選手は現在三等陸尉とありますが、じゃあ今回の金メダルを取ることで、自衛官としての彼の階級に何か影響があるのか、というと、あんまり関係ないんじゃないの、ということで砂。個人としての格闘技術が高くても、それは指揮官としての能力が要求される仕官としての階級には関係なかろうと。

2012-09-01 22:13:26