「被曝の真実」命懸け問うた科学者の遺言

『放射線被曝の歴史』(中川保雄)より http://www.akashi.co.jp/book/b94582.html
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放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

『弱き人々の側に立て』「被曝の真実」命懸け問うた科学者の遺言 http://t.co/LzZQVyVs http://t.co/0KE9geDs

2012-09-24 17:31:02
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

人類の生存を左右するこの被曝の危険性について、歴史的にどのように認識され、どのように対処されてきたのかを体系的に扱った書物はいまだない。わずかに、放射線被曝防護の歴史を表面的に扱った書物がいくつか存在するが、それらはすべて放射線被曝を管理する立場から書かれたものばかりである。①

2012-09-24 23:31:05
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

放射線防護の行政と実務に深くかかわる種々の組織や学会、協会の人たちの手になるそれらの放射線被曝問題の扱いは、原子力発電の推進あるいはその容認の立場から記述されている。①

2012-09-25 02:30:59
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

原子力の問題に関心を抱く多くの人びとにとって現在最も必要なことの一つは、原子力が人類の未来を約束するものかどうかを、ありとあらゆる原子力開発に共通し、その基礎に横たわる放射線被曝の問題から考えることであると私は思う。①

2012-09-25 05:30:59
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一九七九年のアメリカのスリーマイル島事故は、原発重大事故が現実に起こることを教え、一九八六年のソ連のチェルノブイリ原発事故は、原子力発電が地球的放射能汚染と分かちがたいものであることを示した。①

2012-09-25 08:31:06
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原発と核燃料サイクルによる放射能汚染は、人類と地球上のすべての生物にとって、死活の驚異となっている地球環境問題の筆頭にあげなければならない。①

2012-09-25 11:31:03
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われわれは放射線被曝の影響についてどれほど知っているのであろうか。いや、その危険性や被害について、核兵器や原発の開発を進めてきた人びととどれほど違った観点から考えてきたであろうか。①

2012-09-25 14:31:02
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放射能の怖さや放射線被曝の危険性に関する公的なあるいは国際的な評価は、核兵器を開発し、それを使用し、その技術を原発に拡張した人びとと、それらに協力してきた人びとによって築きあげられてきたのである。①

2012-09-25 17:31:01
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それらの「定説」とされている考えを批判的に受けとめることから始めなければ、被爆国のわれわれが世界の他の国の人びとよりも放射線の怖さについてよく知っているなどとはとても言えない。①

2012-09-25 20:31:04
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

被害をどうみるかが問題とされる事柄を、加害した側が一方的に評価するようなことが、しかもそれが科学的とされるようなことが、まかり通ってよいものであろうか。そのような問題のある評価を基にして、現在の放射線被曝防護の基準と法令が定められている。①

2012-09-25 23:31:03
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

言い換えれば、一般には通用しないようなやり方で、放射線被曝の危険性とそれによる被曝を隠し、あるいはそれらをきわめて過小に評価することによって、原子力開発は推し進められてきたのである。①

2012-09-26 02:30:59
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

放射線被曝の危険性はどのように考えられてきたのであろうか。それは、どのような人びとによって、いかに過小評価されてきたのであろうか。被害者たちはどのように扱われてきたのであろうか。これらの事柄を、従来の説明とは全く異なる視点と証拠から明らかにするのが本書の大きな目的である。①

2012-09-26 05:30:59
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

秘密で覆われていることが、核・原子力問題の本質的な特徴ではある。しかし、公表されている資料と情報もまた膨大な量にのぼる。それらの入手可能な資料から、隠されているものを丹念に拾い、それらを結びつけることによって、本質的に重要なことがらを見いだすのがここでのやり方である。①

2012-09-26 08:31:05
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

加害した側のアメリカ軍によって調査された事柄を、被害者の側に立つべき日本の研究者たちも大筋において受け入れているという事情は、なんとしても説明しがたいことではないか。①

2012-09-26 11:31:02
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

原爆が投下された直後の広島・長崎を調査したのは、日本では「日米合同調査団」とされている。しかしアメリカの公式文書では、それは「アメリカ軍合同調査委員会」と称される。この一例が示すように、調査を行った主体についてすら日本で正しく理解されているとは言えないのである。①

2012-09-26 14:31:02
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

じつは、アメリカ軍による原爆被害の隠ぺいや過小評価に、日本の代表的研究者たちも同意を与え続けてきたのである。その結果、多くの被曝者たちが、その急性死や急性障害を放射線のせいではないとされたり、ガンや白血病などの晩発的な影響についての評価を歪められてきたのである。①

2012-09-26 17:31:02
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

人類が築き上げてきた文明の度合いとその豊かさの程度は、最も弱い立場にある人たちをどのように遇してきたかによって判断されると私は思う。①

2012-09-26 20:31:05
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

その子どもたちの安全を守るという場合、放射線の人体への影響という科学的な判断とともに、安全をどのように考えるかという社会的な判断が絡むことになる。その判断は、情報と社会的な権力を握る人たちが、自分たちに都合のよいように行ってきた。①

2012-09-26 23:31:03
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

原子力産業と原発を推進する人びとは、子どもたちを放射線の被害から守るという問題においてすら、経済的な利益を至上とする原理や、人の生命すら貨幣的価値に換算する仕組みを作り上げたのである。①

2012-09-27 02:30:59
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

本書のめざすところは、この原理や仕組みが、いかにして「科学」とされていったのかを解き明かし、闇に消され、切り捨てられた被害を新しく見出された証拠とともに示すことにある。①

2012-09-27 05:31:00
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

安全なものは、「安全」でございますなどとことさら宣伝などしない。人びとが原発に抱く不安は、そのような「原子力広報」などでなくなりはしない。いや、大金を使ったうさん臭いその安全宣言に、いっそうの不安を感じている。①

2012-09-27 08:31:05
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

チェルノブイリ事故は、われわれ自らが不安を直視することを求めている。われわれはその警鐘を受けとめて、この半世紀の放射能被害の歴史を直視することからまず始めよう。そして、放射能被害者を生み出す根源を見据え、新たな被害者を生み出さないためには何が必要か、を考えたいと思う。①

2012-09-27 11:31:03
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

NCRPが編成されたが、それはアメリカ原子力委員会によって支配されたというよりも、その機構の一部という方がふさわしいような人的構成であった。②

2012-09-27 14:31:03
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

アメリカ原子力委員会は自らの支配力を貫徹するために、つぎのような手を打った。その第一は、NCRPの諸報告は原子力委員会に不利益をもたらすことのないように準備・作成されるべしとの一札であった。②

2012-09-27 17:31:02
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

原子力委員会は、年間五〇〇〇ドルの資金を提供し、財政的にもNCRPを支配した。②

2012-09-27 20:31:05
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