「被曝の真実」命懸け問うた科学者の遺言

『放射線被曝の歴史』(中川保雄)より http://www.akashi.co.jp/book/b94582.html
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放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

労働者の総数の増加とともに彼らがあびる放射線の総量もまた増大しており、現在では年ごとの総被曝線量がおよそ一万人・レム(一〇〇人・シーベルト)の規模に達している。この値は、やがてそれらの労働者の間で毎年、ガン・白血病で亡くなる人の数がおよそ一〇人にのぼっていることを教えている。⑪

2012-10-19 20:31:04
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

原発労働者があびる放射線の最近の特徴は、電力会社の社員など正社員のあびる年間の被曝線量と、下請け労働者があびる被曝線量との格差が年々増大していることである。⑪

2012-10-19 23:31:04
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

原発労働者があびる総被曝線量の九五%以上が下請け労働者に集中させられているのである。商業用原発が今日一〇〇基を超える規模に達したアメリカでは、原発労働者の数はおよそ十数万人に達しており、その総被曝線量も四五万人・レム(四五〇〇人・シーベルト)の規模にのぼっている。⑪

2012-10-20 02:30:59
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

原発労働者が行う仕事は、社会的に弱い立場にある少数民族の労働者や外国人労働者に押しつけられる危険性をもっている。アメリカでは、現に少数民族の労働者がそのような仕事に従事させられているが、日本でも最近、外国人労働者が原発下請け労働に従事していた例が見つかっている。⑪

2012-10-20 05:30:59
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

原発下請け労働者の実態は、これまた多くが不明で、調査すらされていない現状にあると言えるが、そのごく一部の実態調査を見るだけでも、下請け労働者の多くは一年近くでおよそ半数が仕事を止め、止めた人たちのそのまた半数はなんらかの病気をもっているということである。⑪

2012-10-20 08:31:06
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

原子力発電所の運転そのものが、このような原発下請け労働者の存在抜きには成り立たないのである。⑪

2012-10-20 11:31:03
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

放射線関連学会、協会が中心となって国際X線ラジウム防護委員会を設立し、放射線医師・技師などを対象に、職業病としての放射線障害を防ぐために、主として放射線の急性障害を考慮した「耐容線量基準」を生み出した。⑪

2012-10-20 14:31:03
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核兵器の放射線による遺伝的影響の問題が、社会的かつ科学的に大問題となり、「安全線量」の存在を認める耐容線量の考えは放棄されざるをえなくなった。しかし、新たに導入された「許容線量」の考え方でごまかしがはかられ、「安全線量」が実際には存在するかのように宣伝された。⑪

2012-10-20 17:31:02
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

原発・核燃料サイクルの経済的行き詰まりが、アメリカを筆頭に顕在化しはじめた。加えて、アメリカのスリーマイル島およびソ連のチェルノブイリで原発重大事故が発生し、反原発運動の世界的高まりによって、原発・核燃料サイクルの経済的・政治的困難性がいっそう明瞭になった。⑪

2012-10-20 20:31:04
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

ICRPなどは、被曝の防護という建て前を明らかに犠牲にしてまで、原子力産業を防護するという本音を主張するまでになった。社会的・経済的要因を重視するコスト‐ベネフィット論を導入して、経済的観点から被曝の防護を行うこと、生命の金勘定を行うことを公然と始めた。⑪

2012-10-20 23:31:03
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国際的な放射線防護基準制定による対応は、放射線被曝の拡大とそれによる被害の拡大を防ぐことができなかった。とりわけ、それは、社会的、肉体的に弱い立場にある人びとの被害を防ぐことに完全に失敗した。いやむしろ切り捨ててきた歴史であった。⑪

2012-10-21 02:30:59
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

ヒバクとその防護の歴史においておさえられるべきことは、まず第一に核兵器の開発と核軍拡、および原子力開発とその推進策が、世界の各地でいろいろな種類の、膨大な数にのぼるヒバクシャを生み出してきたことである。⑪

2012-10-21 05:30:58
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

被曝防護策の基礎にあるのは、放射線被曝による生物・医学的影響に関する科学的評価であるが、それもまた、ヒバクの犠牲を強いる人たちによって、自らの利益にかなうようなやり方で評価されてきたということである。⑪

2012-10-21 08:31:06
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

今日の放射線被曝防護の基準とは、核・原子力開発のためにヒバクを強制する側が、それを強制される側に、ヒバクがやむをえないもので、我慢して受忍すべきものと思わせるために、科学的装いを凝らして作った社会的基準であり、原子力開発の推進策を政治的・経済的に支える行政的手段なのである。⑪

2012-10-21 11:31:02
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

この歴史の実態と真実は、これまで明らかにされることはほとんどなかった。なぜなら、「放射線防護」に関するほとんどすべての解説や説明が、ヒバクを強制する側の人びとによってもっぱら書かれてきたからである。⑪

2012-10-21 14:31:02
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

ヒバクを押しつけられ、犠牲を強いられる人びとの側から、ヒバク防護の歴史が語られることはこれまでなかったのである。⑪

2012-10-21 17:31:02
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

その結果、前述のような基本的性格をもつ放射線防護基準が、「国際的権威」とされるICRPによって「科学の進歩によりなされた権威ある」国際勧告として示され、それを受けた形で原子力推進国がそれぞれの国の法体系の中にその国際勧告を採り入れる、という仕組みが築き上げられてきたのである。⑪

2012-10-21 20:31:04
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

これを「科学の進歩」と呼ぶ人びとがいる。そのような人びとは、何よりも被曝の犠牲に眼をつむる人たちである。また、ICRP勧告が核軍拡および原子力推進策と結びついた事実を、そして放射線被曝の危険性を過小評価してきたことを、隠そうとする人たちである。⑪

2012-10-21 23:31:03
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

核と原子力の時代に築かれた放射線被曝の社会的体制は、ヒバクを押しつけ、ヒバクの犠牲を隠し、ヒバクの危険性を過小に評価しておきながら、それらのいわば犯罪的行為を「科学」の名の下に正当化するヒバクの支配体制である。それは、原発推進の支配体制の重要な構成部分を成しているのである。⑪

2012-10-22 02:30:58
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

彼らの調査の目的は、チェルノブイリ事故というような重大事故が起き、膨大な放射線が放出されても被害は大したことはないという結論を引き出すことにあると推測できる。彼らがそのような神話を新たに作り出そうとしていることを警戒しなければならない。⑪

2012-10-22 05:30:58
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

この委員会の責任者はかつてこの再循環ポンプの安全性を評価する委員会の重要なメンバーで、きわめて安全という評価を下してきたのだから、今度は、事故原因の究明においてその責任をとる道を選ぶはずはなかったのである。⑪

2012-10-22 08:31:05
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

原発容認派の日本科学者会議の人たちは、チェルノブイリ事故の二年半の時点ですでに放射能汚染食品は「現在の汚染レベルであれば、あまり神経質にならずになんでも食べてよい」と、原発推進派と同様の主張を行った。⑪

2012-10-22 11:31:02
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

放射能汚染食品の問題に集約的に現れているように、原発の推進派と容認派に共通しているのは、第一に、放射線被爆の影響の過小評価であり、第二に被曝の犠牲者を切り捨ててはばからぬ考えである。⑪

2012-10-22 14:31:03
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

放射能汚染食品の問題に限らず、ヒバク問題でALARAや実効線量当量方式という新たな、経済性原理を優先するやり方を批判しない人びとは、そのごまかしに手を貸そうとしている人が、ごまかしに気づかないほどICRPに無批判な人かのいずれかである。⑪

2012-10-22 17:31:02
放射線被曝の歴史 @YNakagawa_bot

自然放射線から受ける年間被曝量の数分の一程度を汚染食品からつけ加えられたとしても、日本全国では成人だけで数千人ものガン・白血病の被害者が生み出される。放射線被曝に弱い幼い子供たちのことを考えると、その被害は、量的にはもちろん質的にも深刻である。⑪

2012-10-22 20:31:03
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