児相保護男児死亡訴訟:食物アレルギー指導の難しさ

2006年に、児童相談所の一時保護所で、食物アレルギーの保護児童にアレルゲンとなる食事を与えて死亡する事件が起きました。 判決は、児童の死亡原因は一時保護所でアレルゲンを含む食事を摂取したことによるアナフィラキシーショックであると認定されました。 ただし、通院先の国立成育医療センターが虐待通告をしたこと自体は適法との判決でした。 続きを読む
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児相保護男児死亡訴訟:「命預かる機関、なぜ」 虐待誤信、怠られた調査/横浜
カナロコ 10月29日(月)5時30分配信

 横浜市の児童相談所の一時保護所で2006年、男児=当時(3)=が死亡した事故で、男児が入通院していた国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)が虐待と虚偽の通告をし、児相も十分な調査をせずに保護し、男児を死亡させたとして、両親が国と横浜市に対して約9千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、横浜地裁で言い渡される。

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 やっと再会できた息子は息をしていなかった。2006年7月27日。3歳9カ月だった。

 「お母さんのところにいると死んじゃうかもしれないから」。死の約1カ月前、児童相談所の職員は、そう言って息子を引き離した。虐待の疑いが強くある、との理由だった。

 男児は、生後7カ月から国立成育医療研究センターに入通院。皮膚炎が悪化し、タンパク質が流出、成長に影響していた。強い食物アレルギーもあり、卵や小麦などを含む食物に触れただけで皮膚が荒れてしまうこともあった。食材を制限せざるを得ない中で、家族は栄養指導を受け、息子の成長を願っていた。

 なぜ、虐待という判断に至ったのか。原告側は、決定をしたとされる院内の「虐待防止対策チーム」の議事録の証拠提出を求めた。だが、センターは記録を取っていないとして、提出しなかった。

 児相は、主治医への聞き取りや男児のカルテの確認など、基本的な調査を怠っていた。センターでの栄養指導や、男児の日々の食事内容も把握していなかったという。男児に与えられたちくわは、最も強いアレルギー反応を示す卵が含まれていた。

 原告弁護団の姜文江弁護士は「基本的な情報が共有できておらず、必要な調査もしていない。専門機関として対応がずさんで、無責任」と憤る。

 息子は、生きていれば10歳。母は言う。「病院も児相も子どもが大切にされないといけない場所なのに、なぜこんなことをしてしまったのか。命を預かっていることを考えてほしい」

リンク www.nikkei.com 児相側に5千万円の賠償命令 食事アレルギーで男児死亡 :日本経済新聞 横浜市の児童相談所に一時保護された3歳の男児にアレルギー物質を含む食事を与えて死亡させたなどとして、両親が国と市に約9千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁は30日、食事と死亡との因果関係を

児相側に5千万円の賠償命令 食事アレルギーで男児死亡 2012/10/31 11:36

 横浜市の児童相談所に一時保護された3歳の男児にアレルギー物質を含む食事を与えて死亡させたなどとして、両親が国と市に約9千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、横浜地裁は30日、食事と死亡との因果関係を認め、市に約5千万円の支払いを命じた。

 森義之裁判長は判決理由で、死因は児相がアレルギーの卵を含んだちくわを与えたことによる急性アレルギー反応のアナフィラキシーショックと認定、「市が注意義務を怠った」と指摘した。

 一時保護は男児を診断した病院が「虐待の疑いがある」と通告したためで、両親は通告や一時保護決定も違法と主張したが、森裁判長は「病気の原因は原告らが与えていたたんぱく源の少ない食事内容にあった可能性が高く、通告や保護は合理的だ」として退けた。

 判決によると、男児は2006年5月、国立成育医療センター(現国立成育医療研究センター、東京)で、手足の骨が変形する「くる病」と診断されて入院。病院は6月に「両親が適切な栄養を与えていない虐待の疑いがある」と児相に通告。一時保護した児相は7月、男児のアレルギーについて認識していながらアレルギー物質を含む食事を誤って与え、約7時間後に死亡させた。

 横浜市は「判決内容を精査して対応を検討する」とコメントを発表。男児の父親(51)は判決後「病院の通告と一時保護は不当で、その責任が認められなかったことは残念だ」と話した。〔共同〕

t.muttta @muttta

横浜の裁判。両親は病院の通告と児相の保護も違法だと訴えたが、判決は病気の原因が原告の与えたタンパク源の少ない食事にあった可能性が高いとして退けた。たとえそうであっても、両親にアレルギーのため十分な食事を与えられない苦悩があったとすれば、一方的に虐待と決め付けた児相は許せないだろう

2012-10-31 23:16:17
t.muttta @muttta

双方の主張にはそれぞれ言い分がある中で、虐待かどうかは簡単に割り切れるものではなない。かくして、親と児相は対立の構図に陥りやすい。

2012-10-31 23:20:20
t.muttta @muttta

そして児相もまた躊躇しやすい。

2012-10-31 23:24:16
リンク mytown.asahi.com 朝日新聞デジタル:保護の男児死亡 「食物アレルギー」判決-マイタウン神奈川 横浜市の児童相談所で2006年、両親による栄養ネグレクトなどの疑いで一時保護中の男児(3歳9カ月)が死亡した事故をめぐる裁判は、横浜地裁が死因を「アナフィラキシーショック」と認定して市の責任を認め、

保護の男児死亡 「食物アレルギー」判決
2012年10月31日

 横浜市の児童相談所で2006年、両親による栄養ネグレクトなどの疑いで一時保護中の男児(3歳9カ月)が死亡した事故をめぐる裁判は、横浜地裁が死因を「アナフィラキシーショック」と認定して市の責任を認め、約5087万円の損害賠償を両親に支払うよう命じる判決を出した。男児は強度の卵アレルギー。それを把握していたはずの児童相談所のミスで事故は起きていた。
 児童相談所で、男児は卵を使った食品の摂取はすべて禁止されていた。事故の日も、ちくわに卵白が含まれていることから、男児にはちくわを抜いた食事が用意されていた。しかし、男児がおかわりをした際、職員が除いていたはずのちくわも過って与えた。
 両親は「息子のアレルギーの情報がしっかり現場の職員に伝わっていれば、事故は起きなかったのでは」と悔しさをにじませる。
 一時保護の現場では、食物アレルギーを持つ児童にどう配慮しているのか。
 市中央児童相談所の松永勉副所長によると、事故前から入所段階で全員の食物アレルギーの有無を調べ、反応のレベルや症状、事故が起きたらどうするかを職員で確認していた。だが、明文化はしていなかった。
 そんななか、児童福祉関係者に大きな衝撃を与えた男児の死亡事故が発生。その後はアレルギー対策のマニュアルを定め、チェックの徹底を図った。また、食事の際には、食物アレルギーの児童が一目で分かるようにトレーの色を変え、「卵、小麦禁」のようなシールも貼るようにした。各テーブルに1人職員が付き、食事の様子も細かく観察している。
 児童相談所の職員へのアレルギー研修を採り入れたのも事故後のことだ。講師の看護師が、アレルギーの基礎知識から事故が起きた場合の対処などを随時教えているという。
 だが、市の担当課職員は言う。「保育園でも食物アレルギーは親と連携し、間違いないように細心の注意を払っている問題。一時保護の際も神経を使っているが、保護者との接触が難しい分、情報把握の徹底が厳しいのが現状だ」
(植松佳香、斎藤博美)