アートシーン(2013年上半期)

2013年1月から6月までの、展覧会その他美術に関するツイストを集約。
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sjo k. @sjo_k

だが、数十分して(本当にこれくらいの時間はすっかり心が乱れた)落ち着いてくると、やはりヒトのヒトたるゆえんは、(その窮極的な不可能性を薄々知りながらも)共感/観できること、しようとすることができることに違いないと思い、少なくとも私はそうありたい、そうあろう、と思い直しはした。

2013-01-27 22:20:56
sjo k. @sjo_k

以上のドロドロとした感情を吐き出したうえで、引き付けられたものをさらっと並べると、北井展の三里塚闘争シリーズ、「この世界」の菊地智子、「記録」の小川紳介「三里塚第三次強制測量阻止闘争」、ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・ザニ「成田フィールドトリップ」「彼らが目を閉じると」。

2013-01-27 22:21:26
sjo k. @sjo_k

GALLERY ART POINTのNew Year Selection 2013へ。一作家一作品(しかも小型)、他の作品と文脈づけられず、画一的な高さに画一的に配置。この条件で観者を引き付けられたら、それは相当の「力」を持った作品だろう。残念ながらそういう作品はなかった。

2013-02-02 22:30:42
sjo k. @sjo_k

資生堂ギャラリーの「第7回 shiseido art egg 久門剛史展」。さながら「コンセプチュアルな方向に振れ過ぎた学生の演劇を見せられた」という感じ。こう書くとなんだかネガティヴな印象かもしれないが、嫌な思いはまったくしなかった。適度に思考を喚起させられる、という感じ。

2013-02-02 22:30:56
sjo k. @sjo_k

府中市美術館の「虹の彼方」(後期)へ。想像、というか期待していたよりも、展示替えがはるかに小規模で、がっかりした。前期展で最も引き付けられた池田晶紀は、大きく内容が変更されていたものの、残念ながら、後期展の作品群は、前期展のインパクトには遠く及ばないものであった。

2013-02-02 22:31:04
sjo k. @sjo_k

東郷青児美術館の「フィナーレ選抜奨励展」へ(2回目。前回、運悪くギャラリートークの時間にかぶってしまったため)。前回は、乱される意識の中で、かろうじて開光市・杉本克哉・小野さおりの作品に引き付けられたのだが、今回の集中力は、その中の杉本ひとりにほとんど向けられることになった。

2013-02-02 22:31:13
sjo k. @sjo_k

なぜ私は、杉本の作品に惹かれるのか。ずっとそれを考えていた。単純に、いわゆるハイパーリアリズム的な「上手さ」から快の感情を得ている、という面は確かにある。あるいは、(菓子・玩具・雑貨というモチーフが象徴する)「物質的豊かさ」と表裏一体の「頽廃・空虚」の表現が魅惑的なのかもしれぬ。

2013-02-02 22:31:28
sjo k. @sjo_k

だが、まだ何かある。そう思って観続けるうち、ふと湧いた。作家は、自分の上手さを持て余し、それに振り回されている。この「振り回されてる感」こそが魅力なのではないか、と。上手さは、時に「見え透いた感じ」を生む。杉本は「振り回される」ことでかえって、その陥穽を回避している。そう思った。

2013-02-02 22:31:43
sjo k. @sjo_k

しかし、こう書いてみると、どうしてそれが「魅力」につながると言えるのか、それは「魅力」の必要条件でありこそすれ、十分条件にはなり得ないではないか、という思いが湧きあがりはする。未消化の感は否めない。ともあれ、まだ20代(1984年生)のこの作家を、これからも気にし続けよう。

2013-02-02 22:37:33
sjo k. @sjo_k

森美術館の会田誠展へ。私の感情はほとんど動かず、快の方向にも不快の方向にも振れなかった。平場の世界が皮肉や倒錯やシニシズムに満ちてしまっている今、美術館に陳列された皮肉まじりで倒錯的でシニカルな「作品」が、どれだけの(格別な)意味や力を持ちうるのか。しばし考え込んでしまった。

2013-02-10 00:18:53
sjo k. @sjo_k

同じ森美術館で「MAMプロジェクト 018:山城知佳子」も観る。山城は結構前から気にし続けている作家であり、しかも新作の展示ということで、期待していた。前半~中盤と引きつけられたのだが、後半が散漫な印象。もっと「肉」というモチーフに固執し尽くした方がよかったのではないだろうか。

2013-02-10 00:30:33
sjo k. @sjo_k

横浜市民ギャラリーあざみ野の「写真家石川真生 沖縄を撮る」へ。ちょうどほぼ1年前に新宿で彼女の「港町エレジー」を観た時と同じ<疎外感>http://t.co/aIfeMeSb http://t.co/41OWQmPZ を抱えて、写真の前でひたすら唸り散らす羽目になった。

2013-02-11 21:37:54
sjo k. @sjo_k

彼女の写真は、とにかく被写体との濃密な関係の中で撮られている。だからこそ、観ることしかできない第三者の私は、徹底的に疎外されてしまう。さらに、ウチナーンチュの彼女が提示する「圧倒的沖縄」の前で、ナイチャーである(しかない)私が感じる、引け目のごとき感情も、その疎外感を増幅する。

2013-02-11 21:39:11
sjo k. @sjo_k

だが、そのように打ちのめされるであろうことを知りながら、それでも私は石川の写真を欲する。これはあるいは、打ちのめされることで免罪されようとする「醜い日本人」の姿なのだろうか? せっかく作家ご本人が会場にいたのだが、こんな散らかった感情を抱えながら話しかけることは到底できなかった。

2013-02-11 21:39:30
sjo k. @sjo_k

ヒカリエ「8/」の大巻伸嗣展と桑田卓郎展へも。桑田の鮮烈な陶器には、(我ながら驚くべき表現だが)「恋」のような感情を惹起させられる。吸い込まれるような質感、何度見ても新しさが現れる造形、そして圧倒的な色彩感覚。眩暈がするほど見詰め、信じられないくらい長い時間を費やしてしまった。

2013-02-11 21:40:25
sjo k. @sjo_k

東京ステーションギャラリーの「始発電車を待ちながら」へ。入ってすぐの、パラモデル「パラモデリック・グラフィティ」にまず目を奪われた。すぐれた汎用品(=プラレールのレール)のみが持つ、突き詰められた機能性に起因する造形美を巧みに増幅することで、展示空間を圧倒し、支配してみせる。

2013-02-24 22:19:36
sjo k. @sjo_k

大洲大作の、列車の車窓を収めた写真群も印象的。低速シャッターに起因するブレとオーバー気味の露出(もちろん、両者は原理的に密接している)が、写真に郷愁的な普遍性を与えている点、2011年9月に国立近代で観たイケムラレイコとの類似を思った。http://t.co/Q0mlIh1ObK

2013-02-24 22:21:12
sjo k. @sjo_k

本城直季、クワクボリョウタ、秋山さやかと、既知の作家の作品を観ながら、「鮮烈さ」を維持することの難しさを思う。彼・彼女らの作品は、見事な手法・フォーマットで作られており、とても鮮烈なのだ、が、方々で繰り返し見るほどに、私の中でその鮮烈さは急速に減衰し、陳腐化していっている。

2013-02-24 22:21:51
sjo k. @sjo_k

むろん、一つの手法・フォーマットを確立するというのは、並大抵のことではない。ましてそれが、多くの人を引き付ける表現を生むものであるならば、なおさらだ。上記三作家の作品から、私はいずれも強い印象や感銘を受けた経験がある。だから尚更、「鮮烈さの減衰」が気になってしまうのだとも言える。

2013-02-24 22:22:11
sjo k. @sjo_k

もしかすると、アートの手法・フォーマットには、あるものは繰り返し鮮烈な表現を生み続け、あるものはいくらかの表現を生んだのちすぐに陳腐化してしまう、というように、「反復使用に対する耐久力」に差があるのかもしれない。その差が何に起因して生まれるのかまでは、今は思い至らないのだが。

2013-02-24 22:22:30
sjo k. @sjo_k

神奈川県立近代美術館鎌倉の実験工房展へ。一言で表せば「3Dの退屈な概説書」。「実験工房」というムーヴメントを、〈美術館〉という枠組みが全く受け止めきれていない、と感じた。去年の夏に世田谷美術館の村山知義展を観た時(http://t.co/wLHNuDBaJ7)と同じ印象。

2013-03-03 20:17:40
sjo k. @sjo_k

神奈川県立近代美術館鎌倉別館の「戦後の出発展」へも。強烈な作品はなかったが、鷹山宇一「荒野の歌」が打ち出す(青ではなく)緑色の夜のイメージは印象的。その他、純粋抽象とグラフィティが出会ったような村井正誠の表現、濃い赤と濃い青が衝突し炸裂する今井俊満「蝕」にも引き付けられた。

2013-03-03 20:31:07
sjo k. @sjo_k

東郷青児美術館の「損保ジャパン美術賞展 FACE2013」へ。二つの「絶望」に引き付けられる。土方佐代香の燃え上がる絶望の炎と、牛島孝のくすぶる絶望の煙と。とりわけ、ショッピングモールとおぼしき駐車場の夜の情景を燃やし溶かす、土方の「Parking」には釘付けにされた。

2013-03-11 23:14:54
sjo k. @sjo_k

画面中心の自動車に天から緑の太い柱を突き立て、キャンバスに呑んだ景色という景色を燃え溶かし尽くすほどの、持続する感情量を生み出す精神とはどんなものなのか。二年前に沖縄県立美術館で小橋川秀男の圧倒的な情念に直撃されたことを思い出した。https://t.co/n1loLvPWoW

2013-03-11 23:15:07
sjo k. @sjo_k

AL Tokyoの「ex.resist:resist写真塾写真展」へ。新宿の夜の街を撮る星玄人、電車の中の「尖った」人たちを撮る中山学、街中で泥酔して寝こけてしまった人たちを撮る山本健司、「テント生活者」を撮る野口健吾、山谷の人たちを撮る大谷次郎、三浦半島の人たちを撮る竹内弘真。

2013-03-11 23:15:18