第四話 「護るべき笑顔は~ノー・ティアー!ノー・アゲイン!」 #6 「トライ&メイク」

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Astal_jukebox @astral_jukebox

『ショックアクセル・バウンドアクセル!』拳撃が地面を撃つ反動と土の弾性が強化され、土塊がトランポリンのように波打つ。その反動を乗せて蹴りを放つ!更に『ホワイト・ラインド!』存在感を持つ無数の幻影が出現し、蹴りの狙いを悟らせぬよう夜葉を惑わす。 16

2013-01-30 22:02:34
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幻影の精度は高く、破壊するか本物の位置を推測しない限り見抜くのは難しい。「(鞘を飛ばした以上やはり狙いは刀!)」瞬時の判断で右手を僅かに引く。だが一歩遅く、右手を蹴り上げられた…刀が飛ぶ。三・五倍速以下なら逆にホワイトの足首が飛んでいたであろう瞬時の攻防。 17

2013-01-30 22:06:01
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『イヤーッ!』機先を制し打撃を仕掛ける。正中線を的確に狙った乱打の速度は既に二倍速。三倍速以下なら夜葉は難なく捌ける。ホワイトもそれは承知しているが、時間加速は高倍率程負荷が激しい。二倍速ですら主観でで1・2分しか保たないのだ。しかし速度や感覚強化はそこまでの負荷では無い。 18

2013-01-30 22:13:25
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この二種に加えて腕力も『大』まで強化しての乱打を夜葉は難なく捌く。それでも夜葉の反撃を封じつつ押せてはいた。しかし魔術行使の為の『メモリ』の負荷は既に限界に近い。四種同時のマルチタスクなのだ。まだ二割弱の余裕はあるが、緊急回避用に空けておくのが常識である。 19

2013-01-30 22:16:28
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加えてタイムブーストの維持限界の問題もある。倍率を下げれば保ちは長くなるが、反撃を許す危険も高くなる。更には加速中は体力の減りも倍になるのだ。それも周囲から見た客観的な話では無く、ホワイトの主観的な話である。 20

2013-01-30 22:23:52
Astal_jukebox @astral_jukebox

ホワイトは体力・スタミナを『神との仮契約』によって無限に供給されている。これにより睡眠時間は常人の数分の一で以下で済み、同格以下との戦闘なら殆ど体力も減らず疲れない。しかしこの供給は実時間に基づくものである。 21

2013-01-30 22:28:44
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通常はホワイトが十秒動いた場合、供給も十秒分行われる。しかし二倍加速中に同じ動きを本人主観で十秒行った場合、供給は五秒分、つまり周囲から見た経過時間分しか供給されないのだ。加速自体が長く維持出来ない為、普段は問題にならないが、夜葉のような格上相手では致命的な弱点と成り得る。 22

2013-01-30 22:46:02
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―続く打撃の応酬。時間加速は一・八倍速程度のギリギリまで落としていた。ホワイトの息がやや上がり始める。一方の夜葉は涼しい顔で的確に打撃を捌き続けながらも、最大限の警戒は続けている。掴んだりして反撃を叩き込むことも可能だが、しない。出来ない。 23

2013-01-30 22:52:26
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夜葉の体は非常に高い耐魔力を持ち、魔術で弱体化させるのは難しい。しかしホワイトはそこを『強化』してくるのだ。弱体(デバフ)に対する強化(バフ)は本来有益なもので有る為、これを完全に阻止してしまうと仲間からの支援も受けにくくなる。その為強化を無効化する型の魔術防御は少ない。 24

2013-01-30 22:56:38
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しかし強化と言えども、害になる場合もある。例えば装甲の一部だけ強度を上げれば、周りとの強度差により亀裂が走るだろう。また力や速度を急に上げてやれば自滅を誘発できる。ワイドリバー達に使った痛覚強化も『感覚強化』の延長線とも言える。 25

2013-01-30 23:06:11
Astal_jukebox @astral_jukebox

瞬間の攻防では使いにくいが、迂闊に掴もうものなら何をされるか分からない。しかしホワイトの側から積極的に掴もうなどとはして来ない。夜葉の体も危険だからだ。彼女の肌は熱を自在に吸収・放出出来る。迂闊に掴めば凍傷を負うか、溶かされるか、或いは温度差で分子構造を破壊される。 26

2013-01-30 23:09:15
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疲れを知らず、投擲武器を使い、腕力より手数と技量で攻め、触れれば必殺の能力を持つ。ホワイトと夜葉はある意味戦闘スタイルが酷似していた。 27

2013-01-30 23:13:09
Astal_jukebox @astral_jukebox

―時間加速の負荷により、ホワイトの体が軋む。特に胸部の傷への負荷が大きく、動く度に骨のヒビが広がっていく。メモリの都合で最小限の手当てしか出来ていないのだ。息切れも激しくなり、動きにも徐々に精彩が欠けていく。『(加速を止めた方がマシか?)』 28

2013-01-30 23:22:57
Astal_jukebox @astral_jukebox

ホワイトの打撃が夜葉の薄い胸を狙う。右拳!左拳!執拗に正中線を狙う。正中線とは体の中心の線であり、胸も正中線の内だ。右手刀!左手刀!…だから狙う。…右掌底!左掌底!…他意は無い。…右手!左手!……無論嘘だ。ホワイトは命と引き換えてでも薄胸を触る覚悟だ。 29

2013-01-30 23:35:17
Astal_jukebox @astral_jukebox

一心に胸を狙う。100%純粋な下心ゆえではあるが、油断も容赦も無く攻撃を仕掛ける。しかし徐々に夜葉が押し返しつつある。二人の手が接触する時間が徐々に長くなり、手が一合毎に凍てついていく。ホワイトの側からアクセルを仕掛ける余裕は無く、一方的にダメージが蓄積していく。 30

2013-01-30 23:46:18
Astal_jukebox @astral_jukebox

加速は一・五倍にまで低下していた。『まだだぁっ!せめてワンタッチ!』ホワイトは両腕をクロスさせて、そのまま突撃する。夜葉は迎撃の構え。ホワイトが時間加速を解いた。「!?」『エアロダッシュ!』全身の金輪に蓄積した空気を両脚から解き放ち、加速した。 31

2013-01-31 00:00:18
Astal_jukebox @astral_jukebox

速度の不足をこの突風で補ったのだ。余裕の出来たメモリを活かして、両腕で空気の密度と弾性を強化して固め、そこを軸にして前転する。持ち上げた下半身を捻り、ホワイトの腕を迎撃するつもりでいた夜葉の両腕を両脚で蹴り飛ばした。夜葉の前面が!胸が!一瞬無防備になる! 32

2013-01-31 00:11:00
Astal_jukebox @astral_jukebox

『イヤーッ!』天地逆転状態から夜葉の胸へと、ホワイトが頭突きを放つ。「うわ嫌っ」命中の寸前、夜葉は胸に高熱を集中させた。「くっ」『熱グワーッ!』夜葉は吹き飛ばされ、ホワイトは額を焼かれて地面に倒れた。夜葉は即座に復帰すると、ホワイトを踏みつけつつ、彼の後方へと跳んだ。 33

2013-01-31 00:18:06
Astal_jukebox @astral_jukebox

『やべ!』ホワイトも反転し、再度フラガラックを構えた。この光刃剣は所有者の生命力低下に応じて威力を増す。ダメージが蓄積した今こそ真価を発揮出来る。煙の上がる額の熱と、胸の傷に苛まれながらも起き上がる。夜葉も回収した鞘に刀を収めて向き直る。その胸からも煙が上がっている。 34

2013-01-31 00:21:05
Astal_jukebox @astral_jukebox

自分が発した熱で自壊した訳ではない。頭突きの瞬間、ホワイトは自身の耐熱性を上げつつ、夜葉の熱をも強化したのだ。結果夜葉の胸は激しく損傷した。装束が焼け焦げ、肌が露出する。一部は赤黒く焼け焦げて痛々しい。『しまった…感触味わう余裕が無かった…!』 35

2013-01-31 00:28:28
Astal_jukebox @astral_jukebox

互いに傷つきながらも、激しく剣戟をぶつかり合わせた。夜葉は一・二撃ごとに抜刀と納刀を繰り返して襲い掛かる。通常、抜刀術と言えば、初手の抜刀速度を上げるための物であり、納刀の必要は無いのだが、彼女の場合、こうすることで鞘が剣速を上げてくれるのだ。 36

2013-01-31 00:40:10
Astal_jukebox @astral_jukebox

ホワイトは後手に回りながらも徐々に押し返していく。先程の逆だ。一合毎に僅かに生命力が損なわれるが、同時に政権の能力により斬撃の威力は上がる。低下分より強化分がやや上回っているのだ。無論、限度はある。生命力は無限には下げられない。限界は近かった。そこへ。 37

2013-01-31 00:50:22
Astal_jukebox @astral_jukebox

夜葉が納刀すると見せかけ、刀の先で押すようにして鞘を投擲した。鞘紐を握った左手も正拳を放っており、その威力が乗った鞘の威力は侮りがたい。高速で炎の連弾を放ち迎撃を図るが、鞘こそ阻止出来たものの、鞘に弾かれた炎弾が跳ね返る。同時に忍者刀も襲い掛かる。 38

2013-01-31 00:56:13
Astal_jukebox @astral_jukebox

剣はそちらを迎撃せざるを得ない。剣戟の瞬間顔面に炎弾が直撃!刀の追撃を辛うじて剣で止める!だが剣のナックルガード部が、胸の傷に直撃!『……あ…!!』激痛に言葉を失う。夜葉の狙い通りだ。更なる追撃が顔を狙う。上体を逸らして回避を図るが、サングラスが破壊される。 39

2013-01-31 00:59:15
Astal_jukebox @astral_jukebox

次の追撃を後方跳躍で躱そうとするが、左目を切られる。「あ!?」光刃剣の全力で夜葉を狙う。回避された上に足場に使われ、更なる追撃が来る。右目を切られ、蹴りで地面に転がされる。打撲部位に重度の凍傷。左耳を貫かれ、背を蹴り上げられる。打撲部に二度の火傷。 40

2013-01-31 01:05:42
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