超意訳 東海道中膝栗毛 二編 上

超意訳シリーズ第4弾。中の人(@KumanoBonta)のアカウントで編集ができなくなってしまったので、こちらから再度お届けします。 他の超意訳シリーズ(旅行用心集、東海道中膝栗毛エピソードゼロ、初篇)はこちらからどうぞ。→http://togetter.com/id/KumanoBonta
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現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

【中ぼん予告】東海道中膝栗毛 二編 上 は、1月15日頃から連載予定です。 http://t.co/r9kyh6t9

2013-01-09 22:03:51
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平安時代末期に鴨長明が「東海道記」に記したところによると「松に雅琴の調べあり 浪に鼓の音あり」と。 駕籠かきが杖を突く音や、助郷馬の歩く蹄の音は、さながら雅琴や浪のよう。 てんつくパカパカ、さぁ、膝栗毛二編のはじまりはじまり。

2013-01-15 19:12:04
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江戸神田八丁堀を出てきた弥次郎兵衛と喜多八、このなまけ者の2人が厄落としをしに行こうと、伊勢へぶらり旅を始めた。 箱根宿に泊まり、今日で4日目を迎える。つづら折の峠を歩き進むが、ここ一帯は甘酒茶屋がとても多い。

2013-01-15 19:12:10
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甘酒屋「さあいらっしゃいいらっしゃいー、名物の甘酒をどうぞー」 喜多「弥次、ここでちょっと休んでいこう」 弥次「そうだな」 喜多「おやじさん、二つお願いします」 甘酒屋「いらっしゃーい。さあどうぞ」

2013-01-15 19:12:16
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喜多「甘酒が黒い色だ」 弥次「黒いようで甘いは遠州浜松って言うぐらいだからな」 喜多「広いようで狭いは遠州浜松だろ。あれ?飲まないのか」 弥次「うーん、なんだかな、茶碗が素っ気なくて気にいらんなぁ。もう少しオシャレさが欲しいところだ」

2013-01-15 19:12:29
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喜多「なるほど。そう言われればそうだな。葬式で使う茶碗みたいだ。きっと漬物も奈良漬が出てくるんじゃねえか」 甘酒屋「漬物はありませんが、よかったら梅干をどうぞ。疲れがとれますよ」 喜多「おっ、悪いね。いただきます」

2013-01-15 19:12:34
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【中ぼん】箱根には今でも昔から続く甘酒茶屋があります。甘酒 ( °∀°)o彡° 甘酒 ( °∀°)o彡° http://t.co/4QbQh7Yi http://t.co/6P0QfT6V

2013-01-15 19:12:44
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甘酒屋を出てまた歩き始めた。向こうからは荷物を積んだ馬が、鈴の音をシャンシャン鳴らしながらひっきりなしにやって来る。 馬士は馬をひきながらのん気に歌っていた。「富士の頭がぼーぼー燃える~♪ どうして煙がとまらない~♪ 三島の女にすっかり惚れて~♪ そんな自分も燃えーつーきた~♪」

2013-01-16 19:14:07
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反対側からも馬が来て、いつもの挨拶を交わしていた。 こっちの馬士「よぉ出羽のセンセ、ご機嫌いかがー」 あっちの馬士「ははっ、俺がセンセーだったらお前を磔にしてやるぜ」 馬「ひひーん」 http://t.co/bD1KlUa5

2013-01-16 19:14:17
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また少し進むと、江戸へ行くらしき女性達が歩いてくる。大名のところで働く社員達のようだ。皆でおしゃべりがしたいのか、駕籠があるのに空で担がせたまま、女同士がかたまってぺちゃくちゃ盛り上がって歩いていた。

2013-01-16 19:14:23
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弥次「ひゅ~う♪」 喜多「うっひょー、きれいなお姉さんたちだ。さすが大名の秘書ともなると美人揃いだなー」 弥次「ここはかっこよくキメて、すれ違い様に爽やかな笑顔をふりまいてやろう」

2013-01-16 19:14:29
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喜多はふところから手ぬぐいを取り出し、頭にかぶった。するとお姉さん達が通りすがりに喜多の顔をジッと見つめ、みなニッコリと微笑んでいく。 喜多「おいおいおい、見たか弥次。みんな俺を見てニコニコしてたぞ!手ぬぐい効果すごいわこれ」

2013-01-17 19:12:40
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弥次「おい喜多…その手ぬぐい…」 喜多「どした?」 弥次「端から紐がぶら下がってるぞ」 喜多「え?あっ!これふんどしだ!」 弥次「おまえ昨日風呂に入るときさ、ふんどし脱いでたもとに入れたままだったんだろ。でさ、どうせ朝も顔洗ったあとそれで拭いたんだろ」 喜多「なんでわかった」

2013-01-17 19:12:46
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弥次「そんなの簡単に想像つくわ。きったね」 喜多「どうりでにおうと思った」 弥次「おまえさ、普段からケチケチしすぎなんだよ」 喜多「なんのことだよ」 木綿のふんどしなんか使ってるから手ぬぐいと間違えるんだってこと。俺を見ろ、ふんどしは絹と決めてるんだぜ」

2013-01-17 19:12:52
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弥次「そんなの簡単に想像つくわ。きったね」 喜多「どうりでにおうと思った」 弥次「おまえさ、普段からケチケチしすぎなんだよ」 喜多「なんのことだよ」 弥次「木綿のふんどしなんか使ってるから手ぬぐいと間違えるんだってこと。俺を見ろ、ふんどしは絹と決めてるんだぜ」

2013-01-17 19:17:05
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【中ぼん】尻まるだしの光景、現代では相撲やはだか祭りぐらいしか見ることがありませんね。でもそう思うと、今考えてもそれほど奇異なスタイルではないと納得できます。西洋の思想が大量に投入された明治初期に、ふんどし一丁スタイルは迫害されました。 http://t.co/JXIUmYgX

2013-01-17 19:13:17
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やがてかぶと石が見えてきた。昔、源頼朝が箱根権現を参詣したときに兜を置いたと言われる石だ。 弥次「たがここに 脱捨ておきし かぶといし かかる難所に 降参やして」 喜多「いや降参して兜脱いだわけじゃねーし」 http://t.co/4zPJIWE4

2013-01-17 19:13:08
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山中の立場に着くと、またにぎやかに茶屋が軒を並べている。 店員「どうぞおやすみくださーい。上方から取り寄せたお酒がございまーす。諸白ですよー。餅や炊きたてご飯もございまーす。いらっしゃいませー」 弥次「おい喜多、あそこで休んで行こう」

2013-01-18 18:55:22
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

茶屋に入ると、中庭の竈のそばで雲助たちが暖を取っていた。みな金に不自由している連中らしく、着ているものがみすぼらしい。布団を体に巻きつけた者、紙の着物を着ている者、寝ゴザや赤合羽姿の者もいる。 http://t.co/ey3IViQ7

2013-01-18 18:55:30
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そこに表から、竹の煙管をくわえた雲助が入ってきた。 雲A「おいおまえら、こんなとこで仕事もしねえで何やってんだ? 赤熊やどぶ八を少しは見習え。あいつら峠まで客を運んで、7500円も稼いでたぞ」

2013-01-18 18:55:35
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雲B「関係ねえよ。どうせ酒代を上乗せしてぼったくってんだろ」 雲C「なあ、それよりこいつを見てみろよ。紋付なんか着てやがるぜ」 雲D「ん?この酒菰の剣菱マークのことか? これよ、昨日小田原の甲州屋でもらったんだぜー。裾が長くてお医者さまみたいだろ」

2013-01-18 18:55:41
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雲B「お前ら要領がいいなあ。俺はこの間から着るもんがねえ。昨日なんて近所のクソババアに『古傘やるから紙でも剥がして着てな』って言われたぞ。それじゃあんまりだろって泣きそうな顔して見せたらムシロをくれたんだ」 雲C「よかったじゃねえか。なんで着ないんだよ」

2013-01-18 18:55:47
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雲B「喜んで着てたんだよう。昨日の晩、向こうの川んとこに湧いてる温泉に入ってる間に馬に食われちまった」 雲D「それで裸なのか。ははは」 雲B「そうだよこんちくしょう」 弥次と喜多は、その話を肴に酒を飲んでいた。

2013-01-18 18:55:53
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

【中ぼん】現代で雲助というと、悪質なタクシー運転手のように良い意味では使われていませんが、箱根の雲助たちは無宿ながらも、天下の険を毎日走り回るプライド高いプロの駕籠かきでした。箱根で雲助になれる条件は、すごく力持ち、荷造りの達人、唄が上手、ととても厳しいものだったのです。

2013-01-18 18:56:00
現代語訳 旅行用心集 @yajikita_douchu

【中ぼんついでに紹介】今日出てきた箱根の雲助、現代では「箱根名物雲助だんご」として名前がのこっています。新潟コシヒカリと北海道小豆でできたあんこのだんごだよ (゚∀゚)! http://t.co/L3wOYRQa

2013-01-18 20:29:14
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