チェルノブイリの雲の下で

チェルノブイリの雲の下でbot (暫定) @ucc1986

[連絡] 田代ヤネス和温著「チェルノブイリの雲の下で」(技術と人間 1987)からの引用を定期的にTweetします。本書が復刊されるまでの暫定botです。ハッシュタグは #チ雲 です。掲載したい引用はメンションでご連絡ください。

チェルノブイリの雲の下でbot (暫定) @ucc1986

「あのチェルノブイリの日々、放射線防護服が必要とされた環境の中で、原発推進に責任のある人びとは、妊婦や子どもたちの外出さえ止めようとしなかった。かれらには新しい生命や幼い生命を守るよりも、放射能まみれの「日常」を維持する方が価値が高かったのだ。」 #チ雲

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「この西ドイツで成果をおさめた緊急対策は、今後他国で緊急事態が起きるたびに、エリートたちによって踏襲される可能性がある。(略) 原発事故の際に、もはや技術を操作できないゆえに、人間を操作する方向に切り換えることは原発の本質からくる当然の帰結であると言える。」 #チ雲

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「希望を捨てることはしばしば罪悪視される。この文化はまた、未来が危険にさらされることについて、人が絶望感を表現するのを歓迎しない。そうした空気がまるで社会的タブーのように人の心を束縛しているのだ。このような文化の中では、絶望を感じる者は、内面の孤独を経験する。」 #チ雲

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「学校で欠点のない学業をおさめることをめざしてきた科学者たちが、政界や官界のエリートたちと組んで、「完璧な技術」を共同製作しようとする点でも、かれらの生き方は一貫していると言えよう。(略) この種の人たちには、人間のさまざまな弱点を認めるという意味での真の強さがない。」 #チ雲

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「チェルノブイリを一日も早く忘れさせたいと願っている原発推進派にとって、消費者による高汚染食品のボイコット、妊婦や幼児に放射線防護対策が必要であり、またそれは可能だと知られることは、大きな痛手になる。」 #チ雲

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「私たちの村ではおどろくほど早くいままで通りの生活が戻ってきました（略）周りの人たちに不安を打ち明けると、きまって『あまり大げさに心配しない方がいいよ』とか『だって何か食べないわけにはいかんだろう』という答えが返ってくるのです」 #チ雲

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「私はヨーロッパの一隅に住んでいるひとりとして、人びとがチェルノブイリの雲の下でどんな日々を送ったかを見聞した。その長い物語をこれから語りたいと思う。それらの日々のできごとを、恐らく私は生きている限り忘れることができないだろう。」 #チ雲

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「『日曜日以降、私は政府の発表が信じられなくなった。政治家たちが恐れているのは放射能の害ではなくて、私たち普通の人たちが放射能に恐怖心をもち、原発のような破壊的な科学技術に反対するようになることを恐れているのだ。』」 (「授乳中の母親の会」世話役アニャ・ルゥールさん) #チ雲

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「いまにして思うのだが、私たちは放射能の危険に対処する能力を持つと同時に、内務省、放射線防護委員会など、いわゆる原子力ロビーがいったん原発事故が発生したようなさい、どれほど危険な役割を演じるかについて、日頃から正確な認識を持っておかねばならなかった。」 #チ雲

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「政府機関はいずれも、人びとの日常の暮らしにさざなみほどの変化も起こさないことを鉄則としていた。なぜなら、世間の人びとは日常生活を変えなければならないときがきて、はじめて危険が身に迫っていることを知るからだ。その意味で「習慣を変えない」ことが支配の要諦なのである。」 #チ雲

チェルノブイリの雲の下でbot (暫定) @ucc1986

「急速に進む生命破壊の状況下で、現実から逃避し、いにしえの賢人たちのように生涯『山』に籠る余裕はない。私たちに必要なのは、この現実を見つめながら、その中で現代にふさわしい『悟り』を獲得していくことでしかない。」#チ雲

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「国家という権威に対して抗議し、要求するという態度から脱しきれない運動と、まだ十分に熟していな国家の時代を超えた人類の危機に、自衛、自助しようとする新しい運動の間には、討論や説得のレベルを超えて、一人ひとりの深い動機レベルでの違いがある。」 #チ雲

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「二日後になって州政府は『四月三十日の測定値は平常の四五倍に達していた』ことを，ヌケヌケと発表したのだった。(略) これはまさに『浴びてしまったものは仕方がない。後の祭』という言い方にひとしい。これはまた一般市民のあきらめやすい心理を逆用した発表方法だとも言える。」 #チ雲

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「五月二日東ドイツから西側に牛乳が輸入されたが，〜汚染値が3.5Bqを超えていることを理由に，それを東ドイツに送り返してしまった。ところが同じ二日，西ドイツ政府の〜放射線防護委員会は，牛乳1リットル当たりのヨウ素131の許容値を500Bqとするという勧告を発表した。」 #チ雲

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「オフェンブルク気象台は市民からの問い合わせに対して，『一立方ｍの大気中に111Bqの放射能が測定された』と回答した。このように気象台の方から進んで発表はしなかったものの，外部からの問い合わせには割と気軽にデータを公開していた。ところが翌五月一日になると様相が一変する」 #チ雲

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「連邦政府のチマーマン内務相が，各気象台，研究機関に対して，『一般市民や報道機関に対して放射能測定値を公開してはならない』と指示したのだ。その時までが秘密のない，いわば束の間の『データの自由時間帯』だった。」 #チ雲

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「放射線防護委員会の記者会見での発表内容はおおむね次の通りだった。〜チェルノブイリからの放射能の量は，自然放射能に比べてまったく小さい。ヨウ素剤を服用することは危険である。〜母乳の放射能汚染度が高くなることは考えられない」 #チ雲

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「それにしても長年にわたる私たちの反原発運動は，チェルノブイリで起こったような大惨事が起こらないことを願って続けられたものだ。だが結果としてそれは成功しなかった。いま人びとは何のためにたたかわなければならないのか？二度と元に復することのないヨーロッパのためにか？」 #チ雲

チェルノブイリの雲の下でbot (暫定) @ucc1986

「(ヘッセン州での東独国境における除染)現場の努力もボン政府にとっては，一種の政治ショウの意味しか持たなかった。〜西ドイツ政府は国民の安全をはかるために，国境線で除染作業の労を惜しんでいない。それを誇示するための格好の場面としてこの局面をきわめて巧みに利用した。」 #チ雲

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「ヘッセン州では五月二日に(略)，牛乳１リットル当たりのヨウ素１３１の許容量を20Bqと決めた。これは放射線防護委員会が決めた500Bqに比べて格段にきびしい規制値であり，こうしたことからも同州政府は，ボンの放射線防護委員会や内務省にとって，目の上のコブ的な存在になった」 #チ雲

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「核実験の経験が今日の放射能対策の基礎にあることは，言うまでもない。たとえば牛乳の放射能値が3.7Bqを超えたときは，それを回収するといった規定が作られ，チェルノブイリが起こるまではその効力が存続していた。」 #チ雲

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「原発推進勢力はこの計算式の根拠を明らかにしないまま，『実効線量は三ミリレムだから健康に異常はない』と主張する。これはなかなか巧妙なゴマカシの手口である。これによって反原発派の専門家や半専門家たちが戸惑ったり，混乱したりする状況が作られた。」 #チ雲

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「ミュンヘン市内では子どもらの健康と安全に不安を持つ親たちが，遊園地の汚染度を会社に依頼して測定してもらった。それによると四万Ｂｑを超える数値が検出された。(略)ブルガー博士は『問題はいかに測定値を評価するかだ』と答え，例の実効線量当量の藪の中に逃げ込んでしまった。」 #チ雲

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「六月の初め，カナリア諸島からドイツに向かう飛行機は，五月の初めのカナリア諸島行きの飛行機のようにやはり超満席だった。原発難民はたしかにヨウ素131の高い汚染をまぬがれることはできた。しかし，ストロンチウムやアメリシウムなどの長期的な放射能を逃れることはできない。」 #チ雲