「主人公だけで作品を見る」受け手にどう対応するか

泉信行さんの「群像劇」と「主人公」観点について - Togetter http://togetter.com/li/472531 ↑でもまとめていただいてましたが、自分のTLも含めて作り直してみました。
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みかげ @mikage_rabukage

長々と話したので、元を読んで頂いてなさそうだが「努力主人公・才能主人公も流行らない、今は普通の少年少女が」云々て話から始まってます。そもそも事実誤認だとは思うのですが。 で、努力も才能も特殊なモノを無闇に称揚したい訳ではなくて、便宜上そっちのが納得させ易いのだよ……て話に。

2013-03-15 14:34:01
みかげ @mikage_rabukage

だから本来の趣旨からすれば特殊な能力を持つものが「普通の少年少女」として居るのは、創作としての「普通」で構わないんだけど、それは「努力もせず、才能もない」存在ではないよね……と、結局そういう話。

2013-03-15 14:43:59
泉信行 @izumino

選民思想と「誰でも」を往復することが何よりも重要で、プリキュアの試みはそれが顕著ですね。「誰にでもある優しさ」と「選ばれた者の愛」を対照に描き続ける。でもそれはどんな作品でもやっていることで、そもそも「作品の思想=主人公」としか捉えない観客の盲目さが高畑監督の悩みにも繋がっている

2013-03-15 21:02:34

高畑勲「世界の鏡としての身体-シェイクスピアからアニメーションまで-」より(『アニメーション、折りにふれて』所収)

泉信行 @izumino

いかに群像的に多様なキャラクターを配置し、選ばれし者、天才、凡才、憧れる者などを描き分けても、その群像を認識できず、「主人公の物語」としか受け取れない人があまりにも多い。作品のテーマの視点はひとつではないし主役=感情移入の主体も一人ではない、ということを理解してもらうのに苦労する

2013-03-15 21:05:38
泉信行 @izumino

ある作品の傾向が否定されているとき、それは概ね「群像への鈍感さ」を備えた観客に由来する問題でしかない。で、「そういう客が多い」という現実をけして否定せず、「どうしたら群像を認識してもらえるのか」が現代の難問であって、間違っても「どんな主人公が好まれるのか」という皮相な問題じゃない

2013-03-15 21:11:45
泉信行 @izumino

という感じのことを思う話でした

2013-03-15 21:12:43
泉信行 @izumino

児童文学でよく意識される問題として、子どもに「自分のことが描かれている!」と感じさせるのは情操教育上でも大事なこと。だからファンタジー作品でも、いろいろな性格のキャラクターをたくさん出したりする。情操教育はさておき「自分が描かれている!」は当然快楽だろうから需要あるのは当然かな

2013-03-15 21:17:24
泉信行 @izumino

群像的に眺めた方がいいものを単一視点で消費しようとし、「この主人公が~」と問題にしたとき、悪いのは、主人公の設定? 視野狭窄な観客? それとも 群像を表現しきれなかった演出力? 間違っても一番ではない。二番目は、ちゃんと反省できる人は反省すべきだ。三番目はもっと技術を向上すべきだ

2013-03-15 21:23:12
泉信行 @izumino

ひょっとしたら「遠近法を知らない民族に遠近法の絵を見せても奥行きを理解できない」とか言われるように、そもそも「主人公」という概念ってそんなに普遍的なのか? って思う。絵本を読むような子どもは「主人公」をいちいち認識するのか? というか。日本人、「主人公」に教育されすぎじゃないか?

2013-03-15 21:28:00
泉信行 @izumino

ちなみに「遠近法を知らない民族に遠近法の~」と例えているのは、もちろん「近代」にひっかけているわけですが。近代の視点に関しては、ここで自分の考えを書いていたりしますね ソーシャル時代の共有体験(Shareness)を考える・前編 http://t.co/Qatxz6SmQo

2013-03-15 21:33:34
sawame @sawame_ja

主人公の気持ちを考えましょうと銘打たれた罰ゲームを十年単位で強要されてる影響もありそうな話だ。国語と道徳がごちゃごちゃな辺りとかも恨み節である。

2013-03-16 19:10:54
泉信行 @izumino

深夜アニメでは、レギュラー多い方がいいという要請はあるにせよ、誰が主人公? っていう作品は良くも悪くも多い気がする。0048はなぎさが大人しいし、サイコパスも主役バディ二人がそんなにドラマを牽引してるわけじゃない。深夜アニメは「脇役に視聴者の同情が集まりやすい」メディアという分析

2013-03-15 21:39:22
泉信行 @izumino

主人公をどう認識するかはけっこう性差がある。私見のイメージだと、子どもはまず「一番目立っている子」を作品の中から探し、その子を好きになる(好きな理由は「目立っているから」で性格ではない。AKBのあっちゃん好き女子もそういう心理)。ちょっと大人びると目立っている子を嫌いになっていく

2013-03-15 21:44:02
泉信行 @izumino

目立ってる子や愛されている子を嫌っていく女子は脇役やライバルを応援するようになり、もっと精神年齢があがると、そもそも女のいない少年漫画を読んだりして、客観的にカップリングで眺めるようになる。そこから少女漫画に出戻って「この主人公ちゃん可愛い…」って後から気付く人が多いイメージ

2013-03-15 21:46:14
泉信行 @izumino

でも男性は途中の、「同性の出ない漫画に移って客観を覚える」というプロセスを欠く場合があるから、いくつになっても「主人公がー」と言い続ける人が多い、というイメージもある。そもそも嫉妬のメカニズムが薄い男性は「主人公から離れて脇役に肩入れする」というプロセスも欠きがちかもしれない

2013-03-15 21:49:00

これは美輪明宏の本からの受け売りですが、女性は男性よりも「私は私」と開き直りやすい。だから妬んだり、同族嫌悪するより「他人事」として自分との違いを自覚し、嫉妬心を処理する心のメカニズムが発達している。
男性はこの「嫉妬のメカニズム」が未熟なことが多く、他人事として切り離すことが苦手だという。
(もちろん、一方的に思い入れた妬みの激しい女性もいるし、他人に思い入れしない男性もいる。)

泉信行 @izumino

そして客観的にカップリングを眺めているはずの腐女子の人でも、「これは私の話だ!!」とものすごく感情移入するタイプの人もいる。要するに視点でキャラクターの感じ方はどうとでも変わるんですよ

2013-03-15 21:55:58
米に魅了された四条飯 @sijo_han

ナルニアとかハリポタやらで気に入ったシーンだけそのつど違うお気に入りのキャラに感情移入する練習とか脇役の舞台裏を想像するのとかいい訓練になると思います

2013-03-15 23:27:52
eifonen (sub, chat) @eifonen

「いかに群像的に多様なキャラクターを配置し(中略)ても、その群像を認識できず、「主人公の物語」としか受け取れない人があまりにも多い」これはあるかもな。まあ自分もしばしばそうだけど>RT

2013-03-16 01:03:16
eifonen (sub, chat) @eifonen

プリティーリズムのJUNさんとか、ラブライブの副会長みたいな話のまとめ役がなぜ重要かというと、物語が群像劇であることを明確にしてくれるからなんだな。なーるほど

2013-03-16 01:07:55
eifonen (sub, chat) @eifonen

おおかみこどもdisの大抵も群像であることの認識がなされてない所からくるんじゃないかね

2013-03-16 01:16:12
eifonen (sub, chat) @eifonen

「おおかみこども」は雪のナレーションがきちんと入るし、「伏」だって冥土の語りに始まり冥土の語りで〆るし。大体基本としてやるこたあやってるんだよどの作品も。

2013-03-16 01:19:01
やまだ参🔞 @sakinyan70

中学生くらいの時、三國志に夢中になってて、そのレビューかなんかに「感情移入する相手を変えると、毎回違った話に見えます」というのがあって、「そんな楽しみ方があるのか!」と自分でも試しているうちに「群像劇の読み方」みたいなものが自然と身に付いた気がする。

2013-03-16 19:42:09