無礼討ちについて

室町時代の世紀末っぷりを堪能した後で、江戸時代を見直したら、 また新しい感慨があるなあと思ったところで、目に入った「無礼討ち」の話をざっくりと。 「室町時代の行動倫理あれこれ」のまとめと合わせて読んで頂けると、面白いかと。
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神無月久音 @k_hisane

家光の頃だと戦国時代生え抜きの連中が生き残ってますしね。家綱の時代が、世代の移り変わりとともに、徐々に空気が変わっていった頃で砂。@ut_ken 「折りたく芝の記」の白石の父親の話などを見ると、その頃はまだ武士が不埒な奉公人を切り殺すのは武士として当然だったようで

2013-03-26 20:16:22
神無月久音 @k_hisane

ですね。例の「喧嘩両成敗の誕生」でも、〆として赤穂事件について言及してましたし。 @Rogue_Monk それを考えると、赤穂事件というのは「時計の針を逆戻り」させかねない大事件だったわけですね>血の気を抜いた百年

2013-03-26 19:17:59
神無月久音 @k_hisane

です。赤穂事件は古くからの慣習と法度が混じり合う中で翻弄された人々の話、という言い方もできるかもで砂。@ut_ken 浅野内匠守が江戸城内の刃傷でやらかして物笑いの種になり、赤穂浪士がなんとしても挽回しようとした失態がそれですね

2013-03-26 20:13:24
神無月久音 @k_hisane

しかし、「仮名手本忠臣蔵」は、赤穂事件をモデルにしたってするとマズいから、という理由で、室町時代に置き換えられてるわけですが、室町時代のヒャッハーぶりを見ると、その置き換えでいいのだろうかという気持ちに。@1059kanri @ut_ken

2013-03-26 20:24:52

補足

神無月久音 @k_hisane

無礼討ちの話で、「武備目睫(http://t.co/c0K612Pkob)」に実際に無礼討ちした武士の話が載ってるのだが、見てる資料(「サムライとヤクザ」http://t.co/qGAjQCnZTS)に現代語訳しかないのがちと残念。

2013-03-31 16:53:31
神無月久音 @k_hisane

ちなみに当該箇所では「直参ならまだしも、藩士が町人を慮外者として無礼討ちしても、奉行所は正当な無礼討ちと認めてくれないだろう。最近も、水を撒きかけた上に無礼な挨拶をした者を討ち捨てた某藩士が、主人にお預けとなり、取調べ中に病死したと聞いているという感じ。”病死”ですよ”病死”。

2013-03-31 16:56:44
神無月久音 @k_hisane

というか、町人の態度も載ってて、「江戸の町人たちは城下(国許)と違って諸藩の武士など恐れていない(当然、敬いもしない)。諸君は自分は藩士であると自負しているかもしれないが、彼らもまた「天下の町人」というプライドがある(続く)⇒

2013-03-31 16:59:17
神無月久音 @k_hisane

(続き)⇒ 江戸の町人達は、大名だって、商売などでその屋敷に出入りしていなければ、ありがたいとは思わない。江戸では、大名など大勢の大名の一人に過ぎず、ましてやその家来などこれまた商売のお得意でもない限り、掃いて捨てるような存在と看做されている。悲しいかな、それが現実なのだ

2013-03-31 17:01:10
神無月久音 @k_hisane

あと、酔って町人に傷を負わせた結果、町人達に追い掛け回されて捕まった挙句、内々の交渉にも応じてもらえず、結局、奉行所経由でようやく主人に引き渡された武士達の話もありま砂。文脈でも、町人ごときに取り押さえられた武士達を「未練至極」と罵倒してるので、彼らのその後は推して知るべしかと

2013-03-31 17:06:54
神無月久音 @k_hisane

なので、この本では、「堪忍のなるべき事に人を切ては切徳にならすと云り」という風に、「町人に無礼があっても可能な限り我慢せよ、無礼討ちで得るものは何もなく、失うことばかりだ」と忠告してま砂。まあ、それでも切る奴は切るわけですが、その末路は前述のようなものな訳で、碌なモンじゃないで砂

2013-03-31 17:11:02
神無月久音 @k_hisane

で、この辺についてのフォローが「そもそも武士に無礼を働くような者は性質の悪い連中であり、いざこざを避けるためには、こちら(武士の側)が気をつけねばならない」「連中は肥にする糞尿を積んだ馬だと思い、できるだけ近づくな。近づけばこちらが汚れるだけだ」という塩梅。

2013-03-31 17:15:05
神無月久音 @k_hisane

「武士が無礼者を斬って何が悪い」「斬ってもこのように言えばよいのだ」「斬る時はこのようにするべきだ」とかではなく、「斬った時点でお前の人生アウトなので、とにかく我慢しろ。仕方ない、仕方ないんだよ…」となるのが、なんというか、もう完全に諦めの境地で砂。

2013-03-31 17:18:36
神無月久音 @k_hisane

一応フォローとして、「武士はもっと大事なところで命を賭けるべきである。町人ごときを相手にその命を使ってどうする。だから我慢しろ」とも書いてはありますが、室町時代の連中のヒャッハーっぷりを見てると、武士が自分からこんな風に言うとは、100年で一体何があった、と思わざるを得ないで砂。

2013-03-31 17:23:04
神無月久音 @k_hisane

読んでる限り、概ね当時の武士達に共通する話だったようなので、すると、武士全体の倫理観が、これだけ変わってしまったわけで、重ねて、「江戸幕府パネェ」となります喃。さっきの町人に捕まった武士の話とか、室町時代なら報復の焼き討ち位するのが当然だったでしょうし

2013-03-31 17:27:13
神無月久音 @k_hisane

この辺見てると、従来評価の低かった綱吉が再評価されるのもむべなるかな。それまでの武断政治による大名達の押さえ込みがあったとはいえ、将軍家自ら文治重視に路線切り替えしたのは、武士の意識改革にかなりでかい影響を与えてるでしょうし。

2013-03-31 17:32:54
神無月久音 @k_hisane

ですね。この頃には餓狼めいた武士なんてのは殆どいなさそうです喃。 @knacklehead 元文年間の成立ですから吉宗の時代ですか 文 治 完 成 って感じなんですかね この頃になると

2013-03-31 17:34:29
神無月久音 @k_hisane

先程の話をばまとめました。【江戸時代の武士の面目について】 http://t.co/vm16nSNjT1 無礼討ちを法とした根っこにある「武士の面目」についてざっくりと。赤穂事件と伊賀上野の仇討についてもいくらか絡めております。よろしければー。

2013-03-27 20:16:55