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2013年4月2日

第二次大戦時スウェーデン、フランス、オランダの対独貿易

大戦時中立だったスウェーデンと、占領中だったヴィシーフランス、オランダの、若干イメージと違う対独貿易の様子。
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Bunzo @Kominebunzo

大戦中のドイツ工業がスウェーデン産出の鉄鉱石に依存していたというホラ話が広まっている理由は連合軍にある。スウェーデン産鉄鉱石の貢献を誇大に見積もっているから。イギリスはドイツの産業と経済に関する分析がまったくできていなかった。戦略爆撃が徹底しない一つの理由がそこにある。

2013-01-31 10:21:38
Bunzo @Kominebunzo

良質の鉄鉱石は製品のみならず燃料も人手も節約できるので大変有難いものだけれど、戦時ドイツはスウェーデン産鉄鉱石は、極端な話、「なくてもよかった」。必要ならさっさと占領している。

2013-01-31 10:24:05
Bunzo @Kominebunzo

ではどうしてスウェーデンはドイツに鉄鉱石を輸出していたか。それは主にスウェーデン側の事情。1940年春以降、海上の通商路を失ったことで、イギリスからの輸入が途絶えたスウェーデンは亡国の危機に瀕する。

2013-01-31 10:29:48
Bunzo @Kominebunzo

もともと対独貿易でスウェーデンは極端な入超状態にあった。この国には石炭も化学製品、特に必須な肥料が無い。それが開戦後、ほぼ均衡するようになる。1941年には全輸出の43%、全輸入の54%がドイツになる。国民の生存に関わる資源を鉄鉱石とボールベアリングで購った。

2013-01-31 10:42:01
Bunzo @Kominebunzo

両国の貿易は年度末に代表団が交渉して品目、数量、価格を決定して計画的に実施されている。互いに製品の値上を避けているのも特徴。良質の鉄鉱石を高く売れば良いと思うけれども、連動して発生する物価上昇はただでさえ混乱気味のスウェーデン経済にとって災厄以外の何でも無いという事情があった。

2013-01-31 10:48:45
Bunzo @Kominebunzo

開戦前までスウェーデンが消費する輸入石炭の78%は英国からのもの。これが途絶えたら代用品は薪しかない。嵩張る木材の輸送手段も人手もない。この国の存亡はドイツ産の褐炭とコークス輸入にかかっていた。立場が強いのはどちらの国か、もはや明らか。

2013-01-31 11:07:31
Bunzo @Kominebunzo

ドイツ側がスウェーデンの鉄鉱石を必要以上に買い叩かなかった理由は単純。「量が少ないから」。安定供給される資源を武力で略奪する必要がない。占領地を経営するコストも掛らない。寿司で言えばウニや大トロがスウェーデン産鉄鉱石。並寿司には無くてもいい。ただこの寿司屋にはシャリがない。

2013-01-31 11:24:53
Bunzo @Kominebunzo

スウェーデンに触れたら次はヴィシー政権下の仏国。戦火で荒廃し南北に分断された上に毎日4億フランの「占領経費」を絞り取られて青息吐息の上に戦争捕虜は復員しない、労働者は徴用される、で戦時中は良いこと無し、というのが表向きの歴史。でもやっぱり黒歴史は違うんですね。

2013-01-31 18:43:07
Bunzo @Kominebunzo

占領期の独仏間のフラン、マルク交換レートは物凄い比率でフラン安に設定されている。対独輸出商品はまるでタダみたいなものだった。基本的に仏政府が「占領経費」で支払っていたようなものだったから。その分増税があったり1943年までに400%のインフレが発生したけれども、価格交渉は無い。

2013-01-31 18:50:18
Bunzo @Kominebunzo

スウェーデンと違う点は仏が豊かだったこと。これを輸入しないと国が亡びる、というアイテムが殆ど無い。工業から農業まであらゆる製品が対独輸出に向けられ、独側も大歓迎している。もともと独の対仏貿易は万年赤字だったから当然の結果でもある。電撃戦後のドイツの豊かさとはこうして作られた。

2013-01-31 18:55:23
Bunzo @Kominebunzo

仏の自動車工業、航空機工業は独に比肩する実力があった。このため航空工業の100%近く、自動車工業の2/3、電機産業の1/2、重化学工業の1/3、セメント生産は3/4(当然大西洋防壁の建設に使われた)が「対独輸出に向けられた」支払いは実質的に「占領経費」で仏政府持ち。

2013-01-31 19:01:06
Bunzo @Kominebunzo

独側は対仏輸入の価格に無頓着。それは実質的にタダだから。このため独国内で仏製品は無敵の競争力を誇っていた。しかも統制の結果、中小企業は切り捨てられ信じられない程の合理化が進行している。そしてヴィシー政権の方針を反映して株主配当さえ絞られた。

2013-01-31 19:08:08
Bunzo @Kominebunzo

結局、ノルマンディー上陸までヴィシー政権は止め処もない公共投資を続けたようなものだった。ただその公共事業で作られた要塞に仏兵がいない、というだけのことだった。経済格差は広がったが、景気は良くなり企業は収益を拡大した。戦前のような海外の競合他社は存在しない。戦争だから当然のこと。

2013-01-31 19:12:12
Bunzo @Kominebunzo

仏国民はこうした対独輸出時代をどう受け取っていたかといえば、占領当初は反発が大きかった。これは事実。だが1942年以降、国民の徴用が進むとドイツ国内への徴用工移送を阻む手段として仏国内での生産が重視され、世論の反発は消え去ってしまう。

2013-01-31 19:17:40
Bunzo @Kominebunzo

一方、仏の対独輸出を苦々しく見ていたのが独産業界。抑えようにも止められない仏への技術流出が戦後経済にどう影響するか、そんな心配の声ばかりが飛び交う。自国の崩壊と分裂など誰も予想していないのは当然のこと。

2013-01-31 19:21:54
Bunzo @Kominebunzo

占領された西欧諸国の中で異色な立場にあったのがオランダ。フランスが1940年9月からドイツ国防軍を通じてドイツへの輸出を開始したのに対して、オランダは降伏直後、対仏戦の最中にドイツ民間企業から直接受注し始めている。早い、大量、ダイレクト。何がどう違ったらこうなるのか。

2013-02-01 18:19:57
Bunzo @Kominebunzo

オランダの戦略は中立。ただ次の戦争では前大戦のような幸運は保証されない。独軍の侵略には氾濫させた運河を盾に単独で持久戦を戦い、英仏軍の支援を待つという戦略。そのために1938年から官民上げて大規模な物資の備蓄が始まる。その目標はオランダが陸海の包囲下で半年以上戦える水準。

2013-02-01 18:27:42
Bunzo @Kominebunzo

英仏はオランダの戦略的備蓄に猛反対し妨害に出る。ドイツは1939年9月の開戦後すら黙認する。オランダ人以外の誰の目にも備蓄物資の山は、ほんの数日の戦闘の後でドイツの手に落ちる運命にあったから。1940年5月10日現在、オランダは本当に半年間戦えるだけの備蓄を完成していた。

2013-02-01 18:33:23
Bunzo @Kominebunzo

オランダ企業の対独製品受注は降伏後直ちに開始されている。オランダがドイツ系の国家と見做されたことも大きいが、ナチス内部の主導権争いも関与。そしてオランダが持っていた航空、造船のポテンシャルも影響していたが、何よりも国家の崩壊が最も早かった。バトルオブブリテンさえ始まっていない。

2013-02-01 20:23:09
Bunzo @Kominebunzo

崩壊が早く圧倒的だったこと。オランダにとってドイツの苦戦が見えなかったこと。そしてドイツにとってオランダの崩壊後、フランス、ベルギーという遥かに大きな獲物が手に入ったことがオランダを「忘れさせた」。既にドイツ戦争経済に組み入れられた国をわざわざ略奪する価値が少なかった。

2013-02-01 20:27:47
Bunzo @Kominebunzo

こうしてオランダの崩壊時に世界不況時を超えて極限に達した失業率はほんの数か月でほぼ完全雇用の水準にまで回復してしまう。オランダのGDPは開戦前1938年の水準を越えて「経済成長」する。オランダはドイツの「工場」としてまったくの地続きだった。

2013-02-01 20:31:19

コメント

PlatoonLeader @442ndCombatTeam 2013年4月2日
うーむ。 Hearts of Iron Ⅱ のドイツプレイにおける「別にスウェーデンとの貿易なくてもよくね」や「オランダの備蓄ゲッツ!&ベネルクス三国+フランスのICおいしいです」は正しかったのか・・・
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