『収容所の架空少女』の原典

感動系コピペの定番『収容所の架空少女』の原典は何か。まとめブログ『特定しますた』の紛らわしい記事をきっかけに、この挿話の典拠はどこか、実話をもとにしているのかどうか考える
203
風のハルキゲニア @hkazano

@Takaakira 天声人語に載ってたという証言→http://t.co/Q0Eb3xGqFc もあるし、赤塚行雄著「人はなぜ嘘をつくのか」に紹介されているという証言(たぶんこれが「子どもの頃の道徳の本」)も。http://t.co/zcyvNuPXpM

2013-04-07 02:29:52
風のハルキゲニア @hkazano

韓国で2012年に製作された映画"The Lady and the Concentration Camp" 舞台は北朝鮮の囚人キャンプになってるけど、これはまさに「捕虜収容所の美少女」と同じ話だね。http://t.co/TSQ4kwb0jp

2013-04-07 02:42:27
舞村そうじ(RIMLAND) @radio_rimland

念のため、(収容所の小さな貴婦人と同内容の)ロマン・ガリの小説『天の根』について僕自身がふれた6年前の日記にリンクしておく→ http://t.co/4SOJD19Mwf いずれにせよ、うちの『貴婦人』の大筋は僕の考案した話ではなく、そうと誤解されることは逆に僕にとって正直迷惑。

2013-04-07 02:45:01
カイセー🐳CQA👼 @Ksyzr

それで実話ですはかなり苦しい…別に実話でないからウソつきだと責めるつもりはないけど「どこかの新聞で誰かが書いたコラムで読んだから実話です」は思考停止でしょう。コラム著者がウソをついてない限り、っていう言い方の逃げっぽさが嫌。RE https://t.co/feSpLFGlmA

2013-04-07 02:48:38
風のハルキゲニア @hkazano

なんと、韓国版「収容所の美少女」映画は、去年「北朝鮮人権映画祭」で上映され、今後、カンヌ国際映画祭やサンダンス映画祭などにも出品される予定だとか。http://t.co/GBstbfSlDc

2013-04-07 02:56:13
カイセー🐳CQA👼 @Ksyzr

この古い漫画の作者が読んだという新聞の記者が、コリン・ウィルソンがガリーの小説の挿話として紹介したのを読んでうろ覚えで実話として書いた、というのが一番ありうるだろう。実話と主張する根拠は全くないが、ガリーの小説が実話をモデルとした可能性はある。創作と決めつけるのはよくない。

2013-04-07 03:06:27
カイセー🐳CQA👼 @Ksyzr

小説 Romain Gary, »Les Racines du ciel« Éditions Gallimard, 1956 の一挿話を Colin Wilson, »New Pathways in Psychology« Taplinger Pub Co., 1972 が紹介。

2013-04-07 03:47:19
カイセー🐳CQA👼 @Ksyzr

獄中で象が足踏みするのを空想するところまでウィルソンの紹介と一緒だ。でも原作表示はない。 http://t.co/eI4cwCPxPL RE https://t.co/UZ4WnSZKjB

2013-04-07 03:58:37
カイセー🐳CQA👼 @Ksyzr

実話とされる感動系コピペを広めるような人の、いい話だから真実かどうかは関係ないと思考停止する態度に強い反感を持っているので、昨日『収容所の架空少女』の実話性について僕が言った言葉はかなり感じの悪いものになった。問題としたいのは挿話の真偽ではなく、安直に実話と認定する態度である。

2013-04-07 23:00:05
カイセー🐳CQA👼 @Ksyzr

新聞に書いてあったから実話だ、実話でなかったらそれは新聞記者がウソつきなので自分は悪くない、という態度は最悪の思考停止の典型例である。新聞で読んだことをもとに創作するのは問題ないが、そのように判断停止した上で実話であると主張することは積極的に有害な創作姿勢だ。

2013-04-07 23:05:35
カイセー🐳CQA👼 @Ksyzr

コリン・ウィルスンが『至高体験』で、この『収容所の架空少女』をガリーの小説として紹介した。その紹介の意図は「我々が見逃している、精神が意味を求める際のキャパシティの大きさとその重要さ」の例としてであって、想像力のほうが現実に意味を与える力について述べている。

2013-04-07 23:17:36
カイセー🐳CQA👼 @Ksyzr

まとめサイト管理人は「ネット上で調べて史実が基になっていることは確認しておりましたが」http://t.co/Q972ek9gAt と言っているが、今のところ史実が元になっている可能性はとても低そうだ。Gary の小説に元になったエピソードがあるのかどうか調べて分かるだろうか。

2013-04-07 23:34:49
永月弥生 @nagathuki

しまったーorz ロオマン・ギャリィロマン・ガレー)の『自由の大地(原題:天国の根』の「収容所でフランス兵が架空の美少女を創りあげて品位を保った」エピ(ここ澁澤龍彦訳なんだぜ)、コピーしたのに職場に忘れてきたorz でもやっぱ少女じゃなくて貴婦人だし、せいぜいお嬢さんだったわ。

2013-04-08 22:31:23
永月弥生 @nagathuki

でもとりあえず、天声人語に「収容所内で捕虜が共通幻想した架空美少女」の話が載ってた日は特定したよよよ。1991年7月12日。例の赤塚行雄著「人はなぜ嘘をつくのか」からの引用で、しかも伝聞調。あの文で「実話として認識」するにはちょっと無理のある書き方だったな。ちょっと全文引用するわ

2013-04-08 22:36:59
永月弥生 @nagathuki

醜いうそ、味わい深いうそ(朝日新聞 天声人語)1991年07月12日「収容所内で捕虜が共通幻想した架空美少女」の件。この文は孫引きで伝聞調、かつ文脈から天声人語の著者も実話と見てないと読み解けるが如何か http://t.co/plqBLzFjP2

2013-04-08 22:50:58
永月弥生 @nagathuki

よーっっし!やっと出来たし、ちょっと考えつつ書いてみる。今日の収獲、ロオマン・ギャリイ著  岡田真吉, 澁澤龍彦訳 講談社1979年、世界動物文学全集 ; 9の引用。そしてわたし該当箇所間違ってた。第2部28章だった。「収容所内で捕虜が共通幻想した架空の女」の件。

2013-04-10 00:06:00
永月弥生 @nagathuki

例の「捕虜収容所の兵士が見えない美少女を想定して節度や規律を守ろうとした」の件。ロオマン・ギャリィ澁澤龍彦訳『自由の大地(原題:天国の根』箇所引用。『すこし慎め、この野郎』とロベールがやり返した。『ご婦人の前だぞ』『え?なんだって?』 http://t.co/VIA6T16Tvs

2013-04-10 00:12:39
永月弥生 @nagathuki

これね、見てもらえば分かる通り、かなりアレゲな感じの話がメインで、架空の貴婦人(美少女…?)てのは前振りなんだよね。そしてなにより、フランス人で「レジスタンス」の話なんだ。兵士じゃないんだ。そこが既に流説と意味合いが違う。

2013-04-10 00:14:00
永月弥生 @nagathuki

しかしなーコレが元ネタなら『貴婦人・お嬢さん』から変わったこと、なにより『レジスタンスの一員』を『兵士』に改変したことは非常になんだか…罪深い気がする。フランスの、自由のための抵抗の行動原理があるからこそのレジスタンスって効果が、兵士にすることで別の意味になってる気が。うーん…

2013-04-10 00:14:49
永月弥生 @nagathuki

あれが1956年の作品で澁澤龍彦が訳したものなので、あとはフランス語原典をあたって「貴婦人」のとこを探すかな。うーん…少女なあ。日本で美少女と許容されて流れるのはなんか微妙にわかるけど、ちょっと微妙。それから、これより前のフランス語中心とした証言が出てくるかどうか。だなあ。

2013-04-10 00:15:51
永月弥生 @nagathuki

物語構造としては非常に綺麗に建設されてる。想像力というものの救済のちから・可笑しさ・狂気に近い恐ろしさ、そして想像を否定する『人間』の現実とか。てかこれ、やっぱりフランスの話なら兵隊さんにしちゃダメだわ。レジスタンスだから効くわなー。あと象の空想に現在軸おとちゃんと繋がる流石

2013-04-10 00:17:38
永月弥生 @nagathuki

現実のために想像力を選んで救われた男が、現実のために想像力を捨てて拒否した男になった話。眉間を打たれ、鮮血を流して倒れる象の亡骸をそっと抱きしめてこちらを見つめる、見えない貴婦人は無言でふたりに何を語ることもない。わけで。

2013-04-10 00:20:40
永月弥生 @nagathuki

「捕虜収容所の兵士が見えない美少女を想定して節度や規律を守ろうとした」という話は、兵士という規範を元にしてる意味合いを内包する。『自由の大地』では、見えない貴婦人を見たのはレジスタンスとすることで、あくまでも不当な外圧に屈しない自由を象徴するわけなんだよね。そこが既に分かれてる。

2013-04-10 00:21:19
永月弥生 @nagathuki

でもって「少女」て言う可愛らしい実発達のものに対するのレディ扱いと「貴婦人」に対する態度も違う。少女はまだその敬意を払うべき位置(年齢)に達してないのに「してあげる」(一段階彼らが譲歩する)のと、元から敬愛すべき貴婦人を敬う所謂騎士的感覚殿違いは、実際対応する仕方も意識も違うよね

2013-04-10 00:24:10
永月弥生 @nagathuki

いや、ロオマン・ギャリィの話が最初の元ネタだったら、という前提ね。フランスのレジスタンスであるべき話だった、っつ―話。共産党員の鉄道員がめっちゃ正論、なのに彼の想像壊せない。だけど、彼は自ら自らの想像を壊して否定した。

2013-04-10 00:26:07