小説問題の歩かせ方(1)

国語の小説問題は入試から衰退しています。僕はそれではいけないと思っています。そのワケを書きました。小説問題の難しさを生で体感する立場から。
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きまぐれ(不燃) @S_uekai

国語の小説問題とは何か(どのように解くべきか、どのように問題を作るべきか)を考えることは僕のライフワークの一つ。

2013-04-06 22:38:15
きまぐれ(不燃) @S_uekai

「作者自身が解いてみても全問正解できない」という暴露が小説問題に対する適切な批判になり得る、という立場には既に論駁をしている次第。

2013-04-07 22:21:45
きまぐれ(不燃) @S_uekai

極端な話、のび太が「僕、嬉しくない」って言ってるとこだけを引用して「このときののび太の心情」を問いにしたら、正解は「嬉しくない」になる。ただそれはもちろんウソ800を飲んでいるからであって、「ほんとう」は嬉しいのだが、その部分だけ取り出せば、そうとられてもおかしくないと言える。

2013-04-07 22:29:23
きまぐれ(不燃) @S_uekai

小説問題に関わらず、解釈一般はそうした「そうとられてもおかしくない」あるいは「そうとられても文句が言えない」というのが基本ルールというか第一目的であるから、ほんとうはどうなのかというのは、問いとして成立していない。

2013-04-07 22:32:45
きまぐれ(不燃) @S_uekai

小説問題を解いた中学生の多くが「あー、ウか。いやぁ最初はウかなと思ったけど、でもなんとなくアにしちゃったんですよね」というセリフを口にする。つまり何も考えていないわけだが、小説を読んで「面白かった」以上の説明ができない大人たちとそう大差ない。

2013-04-07 22:53:00
きまぐれ(不燃) @S_uekai

批判のあるところかもしれないが、僕は小説問題をもっと積極的に活用すべきだと思う。なぜなら論説文や説明文、随想文のように「筆者の顔色をうかがわなくて良い」からである。というかそういった文とは別の読み方をするのが小説というジャンルだと思うのだ。

2013-04-07 23:01:30
きまぐれ(不燃) @S_uekai

論説文=抽象的な内容と具体的な読み解き。小説文=具体的な内容と抽象的な読み解き。ここまでくっきり分かれるかというと誇張はあるかもしれないが、抽象思考の衰退という現象があるのだとすれば国語(現国)の論説文重視傾向がその原因の一つであると思う。

2013-04-07 23:13:14
きまぐれ(不燃) @S_uekai

ビジネス書、ライトノベル、Jポップ、この辺もすべて論説文のジャンルに入る。

2013-04-07 23:16:35
きまぐれ(不燃) @S_uekai

論説文的思考とは、現代の「わかりやすさ至上主義」の基礎をなす考え方です。ここではあいまいさが排除されます。あるのはただ「疑問→解決→新たな疑問」のツリー。誤読・誤解という概念も広く流布します。

2013-04-08 01:52:08
きまぐれ(不燃) @S_uekai

小説文的思考とは、こっちはかなり留保付きなのですが、現段階では一般的・抽象的なものの考え方のことです。簡単に言い換えると「年の功」とか「センス」ということになりましょうが、やってることはひたすら他の経験との類推です。

2013-04-08 02:00:50
きまぐれ(不燃) @S_uekai

センスという言葉を出しました。小説問題にかぎらず、国語の問題はセンスであるという意見もあります。僕の回答は、そうでもあるしそれだけでもない、という至極まっとうなもので…。なぜなら評論でも小説でも、先の2つの思考をバランスよく使い分ける必要があるからです。

2013-04-08 02:03:27
きまぐれ(不燃) @S_uekai

「問題」という形式をとることによる制約で、2つの配合比率は少し論説文的思考重視に傾きます。しかし文章を読むという行為において、論説文的思考だけで良いということは有り得ません。小説文的思考がなければ文字が読めないので。

2013-04-08 02:06:29
きまぐれ(不燃) @S_uekai

論説文的思考とか小説文的思考とかがわかりづらければ、具体的思考と抽象的思考と言い換えてもいいでしょう。その場限りの問題として出されたものに、その問題にしか妥当しない回答をする、という意味で具体的思考が優位する。そういう意味です。

2013-04-08 02:08:59
きまぐれ(不燃) @S_uekai

抽象的思考は文章の「予測」を促します。つまり前に同じ様なことがあって、その時はこういうことになったから、今回もそうなるんじゃないかな、のような。僕はこの「予測」という営みの精度が国語の「センス」の多寡の正体と思っています。

2013-04-08 02:12:08
きまぐれ(不燃) @S_uekai

このような抽象的思考は普段あまり意識されません。しかし国語の問題の中でこの抽象的思考が珍しく前面に出てくる出題形式があります。心情把握問題です

2013-04-08 02:16:11
きまぐれ(不燃) @S_uekai

まず、心情把握問題を解くというのは、登場人物の心情を恣意的に解釈するというのではありません(これは抽象的思考が100%の状態です)。文章中に書いてあることから登場人物の心情を「推察」するのです。まさに「推(論説文的思考)」と「察(小説文的思考)」のハイブリッド!

2013-04-08 02:19:59
きまぐれ(不燃) @S_uekai

例えばこのときのAさんの心情を選べという問いで、その心情を読み解く時の根拠が「お前がやってくれるのか」というセリフだとしましょう。なんかこいつはそんなヤツだと思うという恣意的な思い込み(=抽象的思考100%)を廃して、文中に根拠を求めました。

2013-04-08 02:24:33
きまぐれ(不燃) @S_uekai

しかしまさにここからが問題で…。「お前がやってくれるのか」というセリフをわれわれが読んだ時、特に語尾の感じからだいたい「うれしい」とかプラスの感情を読み取ることができるはずですが、そういう言葉を初めて聞いた子ども(もしくはそんな語尾に気をかけてこなかった人)はどうでしょう。

2013-04-08 02:28:19
きまぐれ(不燃) @S_uekai

つまり「お前がやってくれるのか」から「うれしい」という感情を察することができない人に遭遇した時、われわれは何を教えることができるでしょうか。…そんなヤツいるかよと思われるかもしれませんが、そんなの中学生にもザラにいます。

2013-04-08 02:30:09
きまぐれ(不燃) @S_uekai

今まで小説問題の問題点は、「お前がやってくれるのか」からなぜ「うれしい」という感情が一義的に定まるのか、という点だとされてきました。しかしそれは正確ではないと思います。

2013-04-08 02:31:51
きまぐれ(不燃) @S_uekai

ほんとうの問題は、特定のセリフ・行動等の根拠からどうやって「何かしらの」感情を読み取るのか、そんな技法を教育で教えることができるのか、という点です。何かの感情を(自分なりの解釈を持って)読み取ってくれる生徒はまだマシなのです。

2013-04-08 02:34:53
きまぐれ(不燃) @S_uekai

もちろん感情を一義的に定める、という問題が重要ではないということではありません(むしろこの問題は先の問題に包含された問いであると直観していますが…)。

2013-04-08 02:36:25
きまぐれ(不燃) @S_uekai

心情把握問題で重要なキーは、心情の根拠となる「状況」を、文章を読む前に経験しているかという、まさに抽象的思考丸出しの考え方であると思います。そしてこのキーは、普段から本を読んでいる生徒のほうに持ってる確率が高いのです。だから読書好き=センスがある、なのです。

2013-04-08 02:39:44
きまぐれ(不燃) @S_uekai

本だけに限らず、ドラマとか漫画とかゲームからでも、この心情キーを自分の中にストックさせていくことはできます。しかしこれは無意識にやるより多少意識的にやったほうが効率がいい。そして何より、このストックは一生モノなのです。人の気持ちを察する力。あえて力という言葉を使えば。

2013-04-08 02:42:21
きまぐれ(不燃) @S_uekai

小説問題にかぎらず、国語の問題はセンス(察する)とスキル(根拠を見つける)の両方を持っていなければなりません。本を読んでいるというだけでは足りず、しかし解き方を知っているだけでも足りず。当たり前ですね。

2013-04-08 02:46:13