大学入試(中高授業)へのTOEFL導入を提案する自民党議員とそれに反対する大学教授の論評など(5/1朝日新聞記事感想)

教育改革に対する政治家の発想は、安直なことが多い。とても多い。
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福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

今朝の朝日新聞記事についてちょっと書いておく。

2013-05-01 13:42:22
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

15面オピニオン。「大学入試にTOEFL」(=中高授業にTOEFL対策)への是非。賛成側(提案者)は、自民党教育再生実行本部長・衆議院議員の遠藤利明氏。反対者は、和歌山大学教授・江利川春雄氏。どうみても後者に軍配(笑)。

2013-05-01 13:44:50
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

自民党教育再生実行本部長:「中学高校で6年間英語を学んだのに英語が使えない(話せない)」。和歌山大学教授:「学校教育だけで英語が話せるようになるというのは幻想です/英語の授業時間は合計700~800時間です。それで使えるようになるほど日本語と英語の距離は近くない」。

2013-05-01 13:50:28
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

本部長:「英語教育の専門家にも聞きました。みなさん、さまざまな説をおっしゃるけど、どれが正しいのかわからない。一番簡潔なのがTOEFL導入です」。→「簡潔」を「安易」に替えたほうがいい。

2013-05-01 13:52:51
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

教授:「(TOEFLは)英語圏の大学や大学院の授業についていける英語力の有無を調べるテストです/TOEFLには1万語水準を超す難解語が頻出しますが、指導要領が求める単語数は中高で3千語です。生徒は知らない単語だらけの文章を読まされ、英語がいやになってしまうでしょう」。

2013-05-01 13:55:10
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

教授:「現状でも英語が嫌いだ、わからない、という生徒が増えているのに、その流れを加速させるだけです/今回の自民党の提言は、体育の授業の目標を国体出場レベルにしようと言っているようなものです。現実との隔たりがあまりにも甚だしい」。

2013-05-01 13:56:19
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

体育の授業の目標を国体レベルに。なるほど分かりやすい比喩だ。

2013-05-01 13:57:29
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

本部長:「TOEFLはレベルが高すぎるし目的が違う? じゃあ何をやります? いい方法があったら教えて下さい。これまでの英語教育がうまくいっていないから、変えないといけないんですから」。→ なんでもかんでも「変えればいい」と思っている。無根拠なる変革礼賛。政治家にありがちな発想。

2013-05-01 13:59:39
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

教授:「政治家や経済人に限らず、いまだに、学校教育=読み書き中心、と思っている人は多いですね。でも現場の実態は違います。20年ほど前から、会話を中心としたコミュニケーション重視に転じました」。

2013-05-01 14:01:25
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

教授:「悪いことに、コミュニケーション重視で進めてきたこの間、英語嫌いが増えた、高校入学時点での英語力が下がった、という調査結果もあります。会話重視の授業では英語力は伸びなかったわけです。むしろ今は、この方法でよかったのか検証すべき時期です」。

2013-05-01 14:02:37
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

あるある。いるいる。現場を知らず、古い思い込みで語る人。教育全般にも言える。「昨今の学校教育は知識注入ばかりで、考える力を育てていない」とかね(笑)。まったく逆。今は、知識注入はご法度であるがゆえにヘタクソな(体系のない)「考える授業」ばかりが横行し、むしろ学力は下がっている。

2013-05-01 14:04:51
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

ヘタクソな考える授業の「ヘタクソ度」を如実に示しているのが、先般の全国学力テスト。 http://t.co/v1D2CPEwRO

2013-05-01 14:06:29
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

教授:「では授業で何を教えるべきか。基本的な文法や音声、語彙などの土台作りと言語のおもしろさです」。→その通り。要するに、言語としての基礎を学ばせろと。国語教育もまったく同じ。

2013-05-01 14:07:54
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

会話重視、コミュニケーション重視、「話す・聞く」重視の風潮は、英語教育に限ったことではない。国語教育でもまったく同じ。

2013-05-01 14:10:52
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

国語の参観授業でも、「読み・書き」の授業を行う教師は少なく、「話す・聞く」授業を行う教師のほうが多い。子どもたちの活動的な姿を見せようという意図はわかるが、その背景には、対話偏重の教科観・教育観が、確実にある。

2013-05-01 14:13:12
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

本部長:(国会議員もTOEFLを立候補要件にしてはどうか、と問われて)「そういう声も聞きます。でも、政治家とは英語力がないと務まらないのかどうか。私は、(政治家にではなく)子どもたちにとって必要だと言っているのです」。→ 逃げている(笑)。

2013-05-01 14:15:11
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

政治家は英語を話せなくてもいいが企業人は話せなくてはならない、とか、意味不明。

2013-05-01 14:15:45
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

教授:「遠藤さん(本部長)も自助努力で必死にやれば、国際会議やレセプションで話せるようになります」。痛烈な皮肉(笑)。

2013-05-01 14:16:37
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

入力が疲れたのでこのへんにしとく。まあとにもかくにも、政治家による教育改革の発想は安直で困る。道徳の教科化もしかり( http://t.co/zjqhB98lDM )。

2013-05-01 14:17:43
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

あ、そうだった。まだあったんだった。書くことが。

2013-05-01 14:23:02
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

「未来をつくる 学びテスト」とかいうテストを、朝日新聞社主催で実施するらしいんだが(今回で第三回)。これまた、さっき書いたような、体系なきままに「考える力」を礼賛する風潮の好例。

2013-05-01 14:24:35
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

対象は小学3年生限定。科目「国語40分/算数40分/科学40分」。「科学」とは(笑)。ずいぶん大きく出たな。

2013-05-01 14:25:19
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

で、国語の問題例が掲載されている(新聞広告)。「Tさんは、B級グルメを『町の宝』だと考えそれを説明していました。私たちの身の回りにも、これまで気が付かなかっただけで『宝』だと言えそうなものがいろいろあります。あなたにとっての『宝』はなんですか。…続

2013-05-01 14:26:43
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

…その『宝』のどのようなところが、あなたにとって価値(ねうち)があるのかということがわかるように教えて下さい」。

2013-05-01 14:27:12
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

これ、国語の問題だというんだけど。何を測りたいのかね。採点基準はどうなっているのかね。小学3年生(しかも7月時点)の子に、どんだけハイレベルな課題を出しているのか、そこんとこを理解しているのかね。

2013-05-01 14:28:53