基礎からはじめる大砲のメカニズム(閉鎖機編)

火砲の閉鎖機構についてのお話。 歴史を何となく追いつつ、隔螺式、螺旋式といった一般的なものから、ちょっと変り種の閉鎖機までざっくりと
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変り種閉鎖機1──155mm Mle1904

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

鎖栓式の自動化が進む間、隔螺式はどのような進歩を辿ったのでしょうか。実は隔螺式でも自動開放機構を備えた閉鎖機がありました。一般的ではありませんが紹介しましょう。フランスの155mm Mle1904榴弾砲です http://t.co/bIL2sd3Tjm

2013-05-06 01:17:38
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

Mle1904の尾栓は前後に並行移動する架台に取り付けられていました。発砲後に砲身が後退すると、この架台と尾栓が取り残され、砲身のみが前に戻ります。装填架の上に砲弾と装薬を一緒に載せ、ハンドルを回して全て一度に薬室へと装填してしまいます。尾栓がラマーをも兼ねているのですね

2013-05-06 01:19:38
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

ただ、この方式の砲は私の知る限りではMle1904以外にありません。装填架を前後に動かす機構の重量が嵩みそうですし、弾頭と装薬の長さが尾栓の後退長に制限されそうですから、たしかにメリットばかりでもなさそうに思えます http://t.co/FiOIvEoXFc

2013-05-06 01:21:26
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

@FHSWman 螺体の開放もどうしていたのか気になります PTRDめいて後退の際にカムか何かで回転させてロックを解除してたんでしょうが…

2013-05-06 01:22:24
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

. @Jagdchiha どうもよくわかりませんな。当時の不鮮明な写真だけでなく、今も実物が残っているようなんですが、イマイチ見たいところが見えません http://t.co/PrJF23v7Wa

2013-05-06 01:28:11

隔螺式──単動尾栓(Single Motion Breech)

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

隔螺尾栓の最終的解決策は「Single Motion Breech」です。これは隔螺式でありながら、一つのハンドルの一挙動で開閉することができます。ハンドルを引く動作の前半でラックギアにより閉鎖解除され、後半で尾栓が開かれます http://t.co/MqNG8l85ch

2013-05-06 01:25:03
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

Single Motion Breechの発明時期には諸説があって、今一つよくわかりません。1890年のWelin Screwが最初という話、1909年のSchneider Breech説、1916年にSmith Asburyが発明した説などが錯綜していて、私には判断しかねます

2013-05-06 01:30:15
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

例によってSingle Motion Breechにも日本語訳が見当たりません。Three Motion Breechの「三動尾栓」と対応して「単動尾栓」なんてどうでしょ。ちなみにこちらは仏軍のMle1909 120mm榴弾砲の尾栓 http://t.co/lz8hlchedD

2013-05-06 01:32:11

変り種閉鎖機2──Canet Breech

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

一般的な尾栓は紹介できたので、ここからは珍種を幾つか紹介。まずは戦間期仏軍の対空砲で用いられたCanet Breechです。半円柱状の尾栓を縦に回転させて開閉します。強度は尾栓側面の溝が負担。開いた尾栓は装填補助台になります http://t.co/s2m5NRHQPN

2013-05-06 01:34:29
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

Canet Breechは自動開閉とも組み合わせ可能ですが、致命的な欠点があります。尾栓の砲尾側の面が円弧状である都合、通常の薬莢が使えないのです。プリングルスのような底面形の専用薬莢が必須で、しかも装填する向きにも要注意 http://t.co/lbp7JkecpJ

2013-05-06 01:36:38
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えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

このCanet Breech用の奇妙な薬莢は是非実物を見てみたいのですが、残念ながら不鮮明な写真しか見つかりませんでした http://t.co/Md7QxtLQFB http://t.co/9kjk1wJYgx 薬莢底面の影が平面でなさそうな感じなのが判るでしょうか

2013-05-06 01:39:48
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

Canet Breechを採用した仏軍の90mm Mle1926高射砲の砲尾写真はこちら。先の模式図はちょっと尾栓横の溝が大げさでしたね。一見するとOpen Jawにも見えなくもなく、かなりスマートです http://t.co/mzM4kYuROO

2013-05-06 01:41:16
JagdChiha 〄 次元不可能性撹拌機 @Jagdchiha

Canet breechのCanetってカネー砲のCanetなのね

2013-05-06 01:53:42

薬莢のデメリット

えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

さて、隔螺式閉鎖機においても鎖栓式閉鎖機とほぼ同様な一挙動での開閉が可能になったことで、後者が持っていた発射速度の優位は随分と小さくなりました。こと人力装填する大口径砲においては、尾栓の開閉時間などよりも装填する弾薬自体の重さの差が発射速度を決するようになってきます

2013-05-06 01:44:28
えすだぶ@C103日曜東3"サ"-58a @FHSWman

そこで薬莢の重量が問題になります。本来火砲に必要なのは弾丸と装薬だけで、その点で鎖栓式は薬莢という余計な重荷を持っているとも言えます。画像は独軍の12.8cm対戦車自走砲の薬莢ですが、長さ825mm、重さはなんと10kg程 http://t.co/8oTE4ud1pF

2013-05-06 01:48:07
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