第一回大罪大戦《負－５の狭間》【戦闘フェーズ01】

【暴食の雛】 @meiji_sin

少年は、他の皆の言葉をきちんと理解してはいなかったがやるべき事は知っていた。 「食べ放題！」 ある意味最も傲慢で、強欲、嫉妬と、憤怒や怠惰。幾つもの要素を兼ね備えている身体は餓えていた。色欲は今はまだ程遠いが。 それは仲間のため、何より自分の為に。

【暴食の雛】 @meiji_sin

その空間にあるものを全て食べたら、少しはこの空腹感が満たされるだろうかという期待。 《成長》に必要な栄養を求め欲する恋にも似た感情。 小柄な身体に見合わないもの、今にもはちきれそうなものを抱えて歩いている。 「　！　」 何か見つけた。

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

さて、扉に入ったものの……いかがいたしましょうか。 「お茶にしますか」 屋敷から持ってきたお茶を飲みましょう。今は紅茶の気分です。

【暴食の雛】 @meiji_sin

さくさくと右手に握りしめたフォークでそれをつつく。もにょりと蠢くと逃げ出しそうになるまえに突き刺して、ぽいと浮かんだ口に放り込んだ。味は兎も角こんなものでは足りそうにない。 点々と落ちて居るものをつついて食べながら歩いている。 「ぜんさいにも足りないよ」 コース料理も知らないが。

【暴食の雛】 @meiji_sin

前任の暴食を食べたときが、一番満ちていた。それでも満腹にはまだ程遠く、結局消化してしまえば元通りの小柄な姿に戻ってしまう。以降《成長》することはなく。 もぐもぐとナニカたちを食べながらぼやく。 「食べ放題って、もっと遊園地かと思ったのにー」 こういう時、口が二つあるととても便利。

【暴食の雛】 @meiji_sin

辺りのあれこれを食べ尽くして移動、それを何度か繰り返して随分とすっきりした空間に立つ。これは怒られないけれど、誉められもしない行為。 頬を膨らましつつ動くものを取りあえず食べてから他に動くものを、と見回してやっと其処に居るものに気がついた。 ──いい匂いも、しているようだ。

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

視界に、動体確認。人間……？ ではあれが他の世界の大罪さんでしょうか。 「ハロー、こんにちは、グーテンモルゲン、ニーハオ」 どの言語が通じるかわかりませんので、例のごとく総当たり戦で。反応があれば幸いですが……。 「貴方が大罪さんですか？ お名前を、教えていただけませんか？」

【暴食の雛】 @meiji_sin

テーブルに誰かがいる。あれは、食べても良いものだ。調味料の用意は忘れていた気もするが、空腹こそ最高のスパイスとも言う。 「おお、喋った」 どこからかじったら美味しいだろうと考える。腕？頭？それとも足？どこでも良いが、何か問われた。 「おなかすいたよ？」 お名前よりも、大切なこと。

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

「お腹が空いているのですか」 私は少し思案します。大罪さんの言う「食べ物」って、このサンドイッチなのでしょうか。でもうちのヘンゼルさんはコンクリとか岩とかシャンデリア食べてましたし。 「大罪さん大罪さん。サンドイッチ、食べます？」

【暴食の雛】 @meiji_sin

「おなかすいてる、ごはん！！」 「大罪さん？ぐらは、ぐら。おね、え？さんは」 食べるものがあるという。この人も食べていいんだよね？と首をかしげて見上げる。とりあえずサンドイッチには右手に握ったままのフォークを伸ばして突き刺した。手でもって食べるものでは《意味がない》のだから。

【暴食の雛】 @meiji_sin

サンドイッチは肩の口に消えた。ごくん。 姿が少しだけブレる、まだ足りない。《成長》するにはまだ、足りない。むしろ食べたことで余計に空腹感は増してしまう。 「もっと、食べていいんだよね」 少年特有の大きな瞳が細められる、鈍い金色が目の前の《料理》を捉えている。 「どんなあじ、かな」

【暴食の雛】 @meiji_sin

ごく自然な食事風景のように、右手にフォークを振り下ろす。もちろん目の前の相手へと向けて。 《成長》するためには、ただかじりつくだけじゃダメなのだ。何故か。それが暴食の持つ《吸収》へのプロセス。ただ成長する方法は一つではないけれどまだそのことは自分自身でも知らないこと。

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

「わーお、お食事になりますか。私」 顔は庇います。なくなったら死ぬので。 右腕にフォークが当たります。さて、どうなることやら。

【暴食の雛】 @meiji_sin

「食べていいんでしょ？」 突き刺した肌、想像していたものと違ったけれどそもそも匂いが生物のそれと違うので気にしないで引き寄せる。そのまま丸呑みしてしまいたかったけれど、味わうのも大切だと言ったのは誰だったか。 「あのね、いっぱい食べたいの」 「いい、よね？」 首をこてんと傾げた。

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

ガリっと音がして、物凄い勢いで右腕が持っていかれました。しかし各パーツは間接部分より別個にパージが可能です。 しました。さらばー。 「『腕部パーツ：右』」 “多いなる御業”で新たに右腕を作りだし、ジョイント。 「――なんというか、暴食はどの方も食いしん坊ですね」

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

「グラさん……だったでしょうか。良いですか、いきなり人を食べようとするのはいただけません。まず許可を取りましょう」 私はグラさんに言います。 「いっぱい食べたい気持ちは理解できますが、本人は『食べられたくねーよバーカバーカ』と思っているかも知れません。注意が必要です」

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

おや、思わず説教臭くなってしましましたね。 「なんにせよ意思疎通の機会があるなら試してみるものです。ディスコミュったら自分のお好きにどうぞ、ですが」 気を取り直して、グラさんに問いを投げます。 「ところで金属は美味しかったのでしょうか」

【暴食の雛】 @meiji_sin

引き寄せた右腕は思うよりあっけなく手元に届いた。そのままためらいなく胸辺りに現れる大きな口に突っ込む。ばりばり、ごりごり。ぐしゃん。金属を咀嚼する音を響かせてそれを飲み込むとその味に、目を細めたまま上の口が嘆息した。 「お、いしい」 始めて食べる大罪の味。

【暴食の雛】 @meiji_sin

すぐに復元される腕、なるほどこれは食べ放題だ。どれだけ食べても無くならない予感がある。 ぶるりと身体を震わせて、両腕で自身を抱きしめた。少年だった身体は少しだけ成長を見せていた。これが一つ目の能力、吸収。食べたものをすべて成長への糧へするもの。

【暴食の雛】 @meiji_sin

食べれば食べるだけ成長し、大人へと近づく。ただし食べ過ぎても消化されてしまえば元の子供姿に戻ってしまう、少し面倒くさいもの。 「おいしかったよ、もっと食べる」 許可は、出ている。これは食べていいものだとアヴァリーティアは言っていた。あれの言葉は信じていい。

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

成長しましたか……？ ふむ、と少し試行します。 今現在、グラさんとは少々意思疎通がし辛い様子。これはグラさんの精神年齢が幼いからではないか。 「育ててみますか」 名付けてグラさんマスター。餌を与えて一人前のグラさんを作って友達とバト……れませんね。グラさん一人ですし。

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

右足を差し出します。 「脚部ならば、いくらでもどうぞ。腕を持っていかれてしまうと食事やその他に支障をきたしてしまいますので」 それでは、私はサンドイッチと紅茶を楽しみましょう。

【暴食の雛】 @meiji_sin

「きゃくぶ」 差し出された右足にもフォークを突き立ててぶちりとなかに詰まっているものを引き剥がす。少し大きいものなので、左手と腹とに口が現れてもぐもぐと食べてゆく。飲み込む度に身体が成長してゆくのが自分でもわかる。もっと大きくならないと、果たすべき事のために。

【暴食の雛】 @meiji_sin

――そうだ、すべきことがあるのだった。 思い出した。目の前の大罪を食べつくして皆のところに戻るんだ。多分そういう話をしていた、気がする。あとまたあのケーキを食べたい。 「もっと、もっと」 足が新たに作り出される前に食べてしまおうとまたフォークを振り下ろす。

黒の罪の傲慢　ヒュペレーパニア @sin_Shino

「『脚部』」 生成、換装。 おやおやせっかちさんがいらっしゃるようで。 「『スタンガン』。お待ちくださいませお客様」 手荒ですが、どうでしょう。効いたら良いのですが。