時間線上の終決者達

1.『ツイッター上のカワカミン』 2.『時間線上の脇役達』 3.『時間線上の相対人』 4.『時間線上の呼声人』 5.『自己主張な軌間』 続きを読む
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だいけ ”夢送人”という字名を名乗るも、 @daike000

【開演前に】時間線上の脇役達 → http://togetter.com/li/47320 時間線上の相対人 → http://togetter.com/li/48122 時間線上の呼声人 → http://togetter.com/li/48351 これら一連の拙作の続きを。

2010-09-18 20:48:21
だいけ ”夢送人”という字名を名乗るも、 @daike000

【1】「うん、行かなきゃ。あの『風』止められるのは、多分わたしだけだから。しゅくやさんじゃ、…多分ダメだ」風薬のその声を、ヒヨコは苦い思いで聞いていた。

2010-09-18 21:02:07
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【2】ヒヨコ達が居るのは、かちかち山と呼ばれる郊外の山だった。見下ろす街の中心部では、風が渦巻いている。あれが件の『風』であり『竜巻』なのだろう。――そして、それより手前、麓近く、緑が押し寄せて来ていた。

2010-09-18 21:05:12
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【3】「ヤベーよあれ、あの緑!ゲルなんとかって言って、『風薬』を寄越せって喚いててこっちの話を聞きやしねぇ!」偵察がてら、押し寄せる緑を調べに行ったヤタが、戻ってくるなり叫んだ。

2010-09-18 21:07:14
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【4】それを聞いて、ヒヨコは決断する。『風薬』を胸に抱いて、ヤタの背に乗って、「よーしオマエら、あの緑を何とかしろ。こっちは直接、あの『風』のところに乗り込む!」

2010-09-18 21:08:23
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【5】「えぇー」その場に居る皆を代表して、狐が不満の声を上げた。「ま、何とかなるっしょ。いざとなったら走って逃げるし」前向きとも後ろ向きとも取れるジョリの言葉。それらを聞き届けて、「それじゃ、頼んだ。よっし、行くぞヤタ!」ヒヨコの声に、ヤタは翼をはためかせた。

2010-09-18 21:12:13
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【6】黄色と黒が飛び立つのを溜息交じりに見送って、狐は皆に聞こえる声で叫んだ。「よぉっし、それじゃ、俺達でこの山を守ろうじゃないか。防衛ラインは…そうだな、麓の道路だ。皆、行くぞ!いいな!?」

2010-09-18 21:15:02
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【7】狐は走り出した。その後に続くのは、子狐が2匹。猫が2匹、タコが1匹、そして、「私の角、返してください―――ン」何か変な、羊のような生き物だった。

2010-09-18 21:19:29
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【8】麓の道路まで辿り着き、狐は手早く皆に指示をする。まずは子狐の2匹。「まさゆき、イケチョ、お前らはとにかくあの緑が来たら引っ掛け!」次いで、猫の2匹。「ニナ、それからはんくら猫、お前らもとにかく引っ掛け!」

2010-09-18 21:21:44
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【9】「それから、――」そこで狐はタコと羊っぽい生き物を見て唸って、「えーっと、お前らは…好きにしてくれ。テキトーだ。テキトーに頼む!ガンパレ的テキトーだかんな!?」半ば投げやりな指示に、タコは「あいよ」と返し、もう1匹は「わかりま、」呑まれた、緑に。

2010-09-18 21:23:41
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【10】「ひいらぎー!?」狐が叫び、タコが「ばっかやろおおお」緑に身を躍らせた。「あ、これ、結構気持ち良いかも。ほら、私ってば元々水場の生き物だし、ゆらりゆらりー」順応していた。狐は舌打ちを一つして、「ちくしょう、お前ら、ここが踏ん張りどころだぞ!?いきなりだけどな!」

2010-09-18 21:26:09
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【11】そんな、山の麓でのゲルbotとケモノ達との戦いを眼下に、ヤタは空を飛んでいた。「ごめんね、みんな…」風薬の呟き。ヒヨコは、弾丸の形をした風薬をギュっと抱き締めて、だが何も言わなかった。

2010-09-18 21:31:03
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【12】「ソウジョウ少佐、居ました居ました。例のヒヨコさん。今、かちかち山から飛び立ちました」空を監視していたジョニーが、即座にそれを報告した。

2010-09-18 21:32:35
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【13】「ばんちょめ…かぜぐするを行かせるつもりか…」ソウジョウは苦虫を噛んだような顔をして呟き、即座に中隊の全員に命令を下した。「ダメだ!アイツらを行かせるな!何としてでも止めろ…!」

2010-09-18 21:35:08
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【14】中隊の誰もが戸惑いつつも武器を掲げる中、いち早く反応したのが銀色だった。「…行け、行けよブーン!」叫びながら、得たいの知れない何かを、空に向かって発射した。

2010-09-18 21:37:58
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【15】「え、ちょっ、何だアレ、うわ!?」得体の知れない生物がヤタに直撃した。ヒヨコと風薬とヤタが、悲鳴交じりに落ちていく。

2010-09-18 21:41:54
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【16】「中隊長!目標撃墜です!」部下の報告を聞きながら、自身も双眼鏡を手にして様子を見守っていたソウジョうは怒りの声を上げた。「バカヤロウ!誰が撃ち落せっつったんだ!?」

2010-09-18 21:45:32
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【17】ソウジョウが震える手で見つめる双眼鏡の小さな視界の中、ヒヨコ達を空中で捕まえるモノが居た。「おい、なんだあの羽の生えた変な生き物は…」

2010-09-18 21:47:27
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【18】「全く、危なかったねぇ。大丈夫?」ヒヨコと風薬を空中で受け止めたのは、羽をパタパタさせた「あっれ、みすとじゃん?ひっさしぶりー」ヒヨコが嬉しそうな声を上げた。「…オイ、俺は無視かよ。危なく地面に激突するトコだったじゃねーか!」ヤタも戻ってきた。

2010-09-18 21:49:44
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【19】「何だ、もしかしてあの『竜巻』の中心に行こうっての?無謀だねそりゃ。僕でもキツいよ」そう笑うみすとに、しかし風薬が懇願する。

2010-09-18 21:51:22
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【20】「無理でも無謀でも、何でも良いです!お願いします!私を、あの中心に連れて行って下さい!…ヤタさんじゃ無理そうだし」「うるせー。どうせ俺はただのヤタガラスだよ、ちくしょ」

2010-09-18 21:52:26
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【21】同時刻、みすとを確認したジョニーと銀色が騒いでいた。「オイ、アイツ、アイツだぞ!機関が第一種捕獲指定したあの生き物だ!」「捕まえたら冬のボーナス間違いなし!ついでに昇任も間違い無し!いくぞおおおお!」ジョニーと銀色は、ブーンに乗って飛び立った。ソウジョウが止める間も無く。

2010-09-18 21:55:25
だいけ ”夢送人”という字名を名乗るも、 @daike000

【22】――1分後。「やらせはせん、やらせはせんぞぉ!?」みすとは、あっけなくジョニーに捕獲された。そして、「離せ、ちくしょ!」風薬を抱いたヒヨコも同様だった。

2010-09-18 21:58:18
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【23】「こうなったら援軍を呼ぶしかないか…」難を逃れたヤタは、一旦引き返すことを選択した。というかぶっちゃけ、ジョニーにも銀色にも相手にされなかった。「アウトオブ眼中ってヤツかよ、ケッ」悪態をつきながら、かちかち山方面へと飛んだ。

2010-09-18 22:01:57
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