続「福島後の哲学と倫理」

宗教学者 島薗進氏の連続ツイートをまとめました。
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島薗進 @Shimazono

続1「福島後の哲学と倫理」http://t.co/p1wHq5X7Nn の5―8の続。第23回世界哲学会。平川秀幸氏はハンナ・アレントに依拠し、「途方もないこと」を理解できず「通常のこと」に解消してしまう思考傾向を問う。全体主義と同様、科学技術は「すべては可能だ」との信念を育てる

2013-08-09 20:34:51

第23回世界哲学会・ 「福島後の哲学と倫理」

まとめ 第23回世界哲学会・ 「福島後の哲学と倫理」 2013年8月6日の第23回世界哲学会(アテネ開催)に関して、宗教学者 島薗進氏が連続ツイートで紹介しました。 2316 pv 24 1 user 12

島薗進 @Shimazono

続2「福島後の哲学と倫理」http://t.co/p1wHq5X7Nn 続。世界哲学会8/6。平川氏の論は中村征樹編『ポスト3.11の科学と政治』第6章「原子力事故の「途方もなさ」をいかに理解するか」にそったもの。そこから引用する。「「すべては可能である」という信念に対して」

2013-08-09 20:35:56
島薗進 @Shimazono

続3「福島後の哲学と倫理」「そしてそこから帰結する科学技術の途方もなさに対して私たちがおののくのは、物理的および倫理的な境界や制約、思考や言論の力が失われ、それらによって可能になっている世界性や人間の生のありようが奪われていくことを怖れるからなのかもしれない。」

2013-08-09 20:36:23
島薗進 @Shimazono

続4「福島後の哲学と倫理」「宗教的にはその怖れは、すべては可能だとする底抜けで天井知らずの人間の「傲慢さhubris」に対する「ネメシス」を予感するからだともいえるだろう」Extraordinaryな事をordinaryな事に押し込めようとする傾向は、昨今つくづく感じるところ。

2013-08-09 20:37:10
島薗進 @Shimazono

続5「福島後の哲学と倫理」ヒュブリスといえばプロメテウスの神話とともにオイディプスの神話も思い出される。翌日オイディプス神話と関わりが深いデルフィの神殿遺跡を訪れ古代ギリシャ人の知恵の奥深さを実感。平川氏の問題意識と「信頼喪失」を主題とする私の報告は相通じると勝手に考えている。

2013-08-09 20:38:30
島薗進 @Shimazono

続6「福島後の哲学と倫理」私は「科学技術は信頼に値するか―低線量被曝問題における科学の限界とその倫理的含意」と題して、特定の人びとにハイリスクを「押しつける」(池内了)ことが功利主義的に正当化されることや、当事者に情報開示しないことが正当化されること、それは核開発に織り込まれた

2013-08-09 20:38:54
島薗進 @Shimazono

続7「福島後の哲学と倫理」第23回世界哲学会8/6。ものであることを問題にした。軍事体制の下では科学も秘密や情報操作の下で行われる。しかしそれは特殊なものなのだろうか。低線量被曝問題の背後に倫理を超えた権力構造が作用しているが、これは日本の後進性では説明できないこと。

2013-08-09 20:39:09
島薗進 @Shimazono

続8「福島後の哲学と倫理」第23回世界哲学会8/6。軍事政治経済的な体制の中で科学が進められ哲学や倫理学もそれを相対化できず、功利主義による正当化が行われているのではと問うた。J.Rendtorff(デンマーク)氏は福島災害を通じて、複雑性の理解についての人間の限界が強く自覚され

2013-08-09 20:40:04
島薗進 @Shimazono

続9「福島後の哲学と倫理」第23回世界哲学会8/6。科学技術を用いる組織の決定における倫理的責任の在り方が根本的に問い直されていると論じた。組織が市民の批判的意識に開かれ、不確かさや「分からなさ」を意識していることを求められること、文化に根差した批判的関与が不可欠であることなど。

2013-08-09 20:40:24
島薗進 @Shimazono

続10「福島後の哲学と倫理」第23回世界哲学会。H.Welsch(ドイツ)氏は福島原発災害は科学技術の限界を示したものではなく、人間中心的な思考法anthropic principleの限界を示したものと論じた。人間対自然の枠組みに基づく科学技術理解を更新しなくてはならないと。

2013-08-09 20:41:46
島薗進 @Shimazono

続11「福島後の哲学と倫理」2時間足らずの時間、山脇直司氏のリードの下、この論題の幅を見通すよい機会となった。学会の常として個々の論についての検討の時間は足りないが、日本のアクチュアルな状況を踏まえつつ制御困難な科学技術とともに生きる私たち自身への問いを深めるよい機会となった。

2013-08-09 20:42:37