ギリシア語で読むギリシア神話 『イリアス』第2歌 ゼウスはアガメムノーンを唆した
- Hellenike_tan
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【第38行】"νήπιος, οὐδὲ τὰ ᾔδη ἅ ῥα Ζεὺς μήδετο ἔργα:" (続きます)
2013-08-08 15:00:29(承前)"νήπιος"は「子供の」という意味の形容詞です。ここは前の行から続いているので、前の行のような考えを巡らせている主体であるアガメムノーンを形容して「子供のように」とする趣旨とみるべきでしょう。(続きます)
2013-08-08 15:05:16(承前)"ᾔδη"は"οἶδα"(知っている)の直説法「過去完了」三人称単数能動態ですが"οἶδα"は意味としては現在で用いられるので"ᾔδη"も未完了過去の意味で用いられています。(続きます)
2013-08-08 15:10:15(承前)"μήδετο"は"μήδομαι"(考えている)の直説法未完了過去三人称単数中・受動態で"ἔργα"は"ἔργον"の複数主格・対格。全体で「子供のように、ゼウスが何事を企んでいるのかを知ることもなく」となります。
2013-08-08 15:15:16【第37行・第38行】行をまたいでいる部分などを補うと「その日のうちにはトロイアを陥とせるだろうと(アガメムノーンは)子供のように(思い巡らせていた)。ゼウスが何事を企んでいるのかを知ることもなく」となります。
2013-08-08 15:20:1339・40行-ゼウスの真の狙い
【第39行】"θήσειν γὰρ ἔτ᾽ ἔμελλεν ἐπ᾽ ἄλγεά τε στοναχάς τε" (続きます)
2013-08-08 15:30:17(承前)"θήσειν"は"τίθημι"(置く)の不定法未来能動態、"ἔμελλεν"は"μέλλω"(運命づけられる)の直説法未完了過去三人称単数能動態です。(続きます)
2013-08-08 15:35:13(承前)"ἄλγεά"は"ἄλγος"(苦痛)の複数与格で"στοναχάς"は"στοναχή"(うめき)の複数対格。全体で「置こうと運命づけられていた、苦痛のうちにうめきを」となります。
2013-08-08 15:40:13【第40行】"Τρωσί τε καὶ Δαναοῖσι διὰ κρατερὰς ὑσμίνας." (続きます)
2013-08-08 16:00:21(承前)"Τρωσί"は「トロイア人たちに」、"Δαναοῖσι"は「ダナオイ人(ギリシア人)たちに」。"κρατερὰς ὑσμίνας"は"κρατερὰ ὑσμίνη"(最も激しい戦い)の複数対格です。(続きます)
2013-08-08 16:05:14【第39行・第40行】行をまたいでいる部分などを補うと「最も激しい戦いを通じてトロイア勢にもダナオイ勢にも悲痛な苦痛を与えるように運命づけられていた」となります。
2013-08-08 16:20:15当該箇所をまとめたもの
『イリアス』第2歌第35~40行(目を覚まして浮き足立つアガメムノーンとゼウスの真意) ὣς ἄρα φωνήσας ἀπεβήσετο, τὸν δὲ λίπ᾽ αὐτοῦ τὰ φρονέοντ᾽ ἀνὰ (cont) http://t.co/tRnp1Px55O
2013-08-09 00:50:06