平安のオタク物語 「更級日記」、そして源氏物語評価をめぐる”オタ論争”?
- gryphonjapan
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「……ずっとあと、お仕事したり結婚したり、子供産んだりして、忙しくて、大人になったあたしは、あれほど好きだった物語のことなんて、すっかり忘れてた。小娘の頃はなんてうわっついて、お寺行ったり、勉強ちゃんとしない、バカな時間の過ごし方をしたもんだ、なんて思うようになった」
2013-09-12 22:34:30「まあね、物語は物語、現実じゃない。光源氏や薫大将みたいな人は現実にはいない。彼らみたいな完璧なイケメンも、彼らが全身全霊をかけて愛するような、つりあいのとれた完璧なヒロインも、現実にはいないんだ。若い頃なんて誰もそんなもんだけど、やっぱ黒歴史」
2013-09-12 22:37:03あとは、更科ちゃん(仮名。本名は定かでない)が「おばちゃんになって思うけど、やっぱちゃんと勉強しとけばよかった、仏の道のことちゃんとしとけばよかった」ってぶつぶつ言うのであんまり面白くないです。でも、それもまた人生なり。
2013-09-12 22:39:30抄訳かつ超訳だけど、基本的にこんな感じ。おばちゃんになってから書いてるから、冒頭の1/1仏像のエピとか、夢に坊さん出てきて「勉強しろ!」っていうエピとか、ラストの悔恨の伏線として生きてて、もしかしたら創作かもしれないとも思える。ほんとは仏像のこととかその時は忘れてたかもしれない。
2013-09-12 22:48:08コンプリートBOXの件は、原文では「源氏の五十余巻、櫃に入りながら」ってあるので、DVD BOX的なイメージはすぐに出ました。
2013-09-12 22:52:15なお、今回の抄訳・超訳は、山本ニュー=サン(@yamnew1 )による、ジャック・ウォマック『ローラの日記』ツイッターれんさいに影響を受けましたことを、改めて申し上げます。
2013-09-12 22:54:22あと、最近仕事で要るので、『うた恋。』の再読と同時に『千歳ヲチコチ』も読んでて、そのえいきょうもあります。どちらも王朝文化を現代の女子感覚に移し替えて、共通項を浮かび上がらせる素晴らしい作品なので、先の拙『超訳・更級日記』を面白がってくださった方はぜひご一読を。
2013-09-12 23:09:31D.キッサン『千歳ヲチコチ』は、元祖森ガール?物語「虫愛づる姫君」を主軸に構成した、王朝文化ラブコメディで、貴族文化の描き方が個人的に秀逸だと思うのです。貴族って今でいう公務員、議員候補なんだよねっての、個人的にはこれで確信しました。
2013-09-12 23:12:05『更級日記』、特にそのオタ少女パート読んでて思うのは、「いみじ」って形容詞は、現代の「ヤバイ」だってこと。「はなはだしい/素晴らしい/おそろしい」の意味のある「いみじ」は、「ヤバイ」と同じようにプラスにもマイナスにも働く形容詞。
2013-09-13 01:26:12「ありもつかず、いみじうものさはがしけれども、いつしかと思し事なれば、『ものがたりもとめて見せよ、見せよ』とははをせむれば」 は、 「片付けできてなくてヤバイうるさいんだけど、あたしは早く物語が読みたくて(だって京に来たんだもん!)、お母さんに『物語読みたい〜!』って言ってたら」
2013-09-13 01:32:49「うれしくいみじくて、よるひるこれを見るよりうちはじめ、又々も見まほしきに、ありもつかぬみやこのほとりに、たれかは物がたりもとめ見する人のあらむ」→「(はじめて源氏物語を読んで)ヤバイうれしい。一日中読んでた。もっと読みたいけど、来たばっかだから知り合いいないし。落ち着けあたし」
2013-09-13 01:37:49「源氏の五十余巻、櫃に入りながら、在中将・とほぎみ・せり河・しらら・あさうづなどいふ物語ども、ひと袋取り入れて、得て帰る心地のうれしさぞいみじきや」→「源氏コンプリートBOXに、町でうわさの業平くん、永遠のとほぎみ、せり河伝説、し☆ら☆ら、あさうづとかまでGET。うれしさヤバイ」
2013-09-13 01:48:47「在中将」はすぐに『伊勢物語』だろうって見当ついたけど、残りの話は知らなくて、調べてもでてきませんでした。マイナーな作品だったんでしょう。
2013-09-13 01:51:44更科ちゃんは『伊勢物語』面白かったかな。惟喬親王のお花見のくだりで、男三人のあはれに萌えたりしなかったかしら。
2013-09-13 01:56:53あれはBL妄想捗ると思うんです。若い惟喬親王、年上で落ち着いたふりしてるけどまだまだ若い業平、そして業平の親友で落ち着きMAXロマンスグレーの紀有常の仲良し三人組が「この世に桜がなかったらぞわぞわしなくていんじゃね?」「愚かな……花は散るから美しいのだ」とかやるんだぜ。
2013-09-13 01:59:32そういや更級って確か姥捨山のあるあたりのことなんだっけ。すると更級日記はBBA日記?更科ちゃんはロリBBA?(そこまでは誰も言ってない)
2013-09-13 02:00:58ホントその通りで、そのまま語り口を少し変えると、たぶん今のオタク少女の心境や心情にそっくり寄り添うのが「更級日記」。幻想の理想男性像に熱を上げすぎて、現実の恋愛と結婚にちょっとアレしちゃうのところも…。@USAGI_koTENGU @SagamiNoriaki
2013-09-13 20:22:35続き/それはともかく(笑)、千年近い時を超えて、彼女は同志であり、お仲間だという気がするなあ。…そういえばこういう視点は、まだオタクなんて用語がない時代だけど「文学少女、読書少女」という言い方で高校の先生も語ってたな。 @USAGI_koTENGU @SagamiNoriaki
2013-09-13 20:24:40おー、楽しくなって「更級日記 オタク」で検索したら出てきた(しかも今年6月だったか)。自分も以前から書きたかった視点だけど、先行して文字にしたかたに敬意。 / “『更級日記』の作者 菅原孝標女が現代のオタクそっくり - トゥギャッチ” http://t.co/pdoNKBE0Qd
2013-09-13 20:28:01こっちは2004年の文章か。 「更級日記 オタク」で検索の結果。 / “萌え庫ダイアリー:菅原孝標女は、日本で最初のオタク少女である。” http://t.co/ilLSuZKgg8
2013-09-13 20:29:00「更級日記=オタク少女の物語」から連想し「源氏物語」。まさにこれを彼女は大好きだった訳だけど「主人公の光源氏って許せる?許せない?」が数百年論争となるというアレな展開に(笑)。儒学vs国学なんて構図まで作って。絵は「とめはねっ!」より http://t.co/WJgrkihDzG
2013-09-13 20:52:16「『源氏』は「誨淫導欲の書」として非難されてきたのを、本居宣長が文藝の自律論を唱えて卻け、基本的に明時期以降、宣長の線に沿って『源氏』は読まれてきた」 / “genji.pdf” http://t.co/yXSdHChh8i
2013-09-13 20:53:39ちょっと資料画像フォルダを探していたら読売新聞「編集手帳」のコラムが、やっぱり現代的な感覚の少女として更級日記を紹介してた。というかこのコラム子、「物語」の意味や楽しさを語るとき、更級日記を引用してたっけ。 http://t.co/IK6N2x3tmf
2013-09-13 21:21:41