漫画から学ぶ演出情報の出し方
輸送機乗組員「機長、真上から別の奴がッ!!」 輸送機機長「何……!?」 乗組員、風防越しに頭上を振り仰ぐ。 空の彼方から、急降下してくる機影。 輸送機乗組員「こっちを狙ってます!! 本気ですよ!!」 轟音と共に真っ直ぐ近付いてくる戦闘機。 #sousaku
2013-09-16 13:55:17こちらは全て、同型。戦時中に何度も繰り返されてきた光景、とても典型的で分かり易い『鈍重な輸送機を襲う、戦闘機の編隊』の図。 輸送機操縦士「こいつら……まだ戦争をしている積もりかーッ!」 愕然と叫ぶ操縦士。 輸送機操縦士「機長! 雲の中に……」 #sousaku
2013-09-16 13:55:55輸送機操縦士「!!」 シズカ『針路、高度、そのままで!』 輸送機操縦士「し、しかし……」 〈トンプソン13〉の真下から猛烈な速度で上昇してくる震電。 シズカ「――ッ!」 震電の中のシズカ、気合を込めて、射撃。 シズカ「させませんッ!!」 #sousaku
2013-09-16 13:56:23一瞬の交差、すれ違いながらも震電の一撃を受けて空中でばらけていく『敵』戦闘機。 猛烈な速度故に、空中に軌道の跡を残しつつ、一瞬で一機を撃退して飛んでゆく震電。 輸送機乗組員「す、スゲェ……一撃で」 輸送機乗組員「それに……あの上昇力……!」 #sousaku
2013-09-16 13:56:54陽光を受けてキャノピーをきらめかせながら、更に旋回する震電。 輸送機乗組員「――何者なんだ!?」 震電機内。 シズカに仲間からの通信が入る。 チェレステ「撃ちもらしがあるよ! シズカ!!」 #sousaku
2013-09-16 13:57:23シズカ「責任はとりますッ!」 額に汗を浮かべつつも気丈にそう答えるシズカ。 #sousaku
2013-09-16 13:57:46まあ、脚本に落とし込むと、こんな感じになると。ここで注意して欲しいのは、全て、読者に読んで貰う為に情報の出し方と数を調整し、キャラの台詞や行動で見せている点で、 #sousaku
2013-09-16 14:01:30「ごく一部の航空機マニアとかには当たり前の」プッシュ式飛行機でパイロットが驚くのがおかしいとかいう指摘が来てますが、これは、あくまで、読者に見せる、主人公機を印象づける為の台詞であり、キャラの動きだという事を御理解ください。 #sousaku
2013-09-16 14:03:46要するに、お話を読んで貰う為の、「リアリティ」が、「現実」とイコールではないという事です。読者に愉しんで貰うのに、ベストのバランス調整ですね。 #sousaku
2013-09-16 14:07:01いずれにせよ、先に書き出した情報から、そのまま直に脚本に落とし込むとこうなる。で、これを更にラノベ――小説にする、という行程をやる訳ですが。ごめん、台風抜けたので、担当から打ち合わせするよ、と連絡が。なのでこれはまた後で。 #sousaku
2013-09-16 14:10:34一応、オーソドックスにラノベ化したパターンと、冒頭だけですが「敢えて空気読まない文体」で描いたものを用意してまする。まあ早ければ今晩。 #sousaku
2013-09-16 14:11:30後半
帰ってきてドタバタしていたので、随分間が開いてしまいましたが、先日途中までやった「漫画を情報にまで分解して出し方と演出を学ぶ」的な作業の後半をちとツイートします。連投になるので、うざいと思う人は一時的にでもリムーブ推奨で。 #sousaku
2013-09-21 23:10:46ちなみに、参考図書(?)の松田未来先生の漫画ですが、すいません、題名間違えてました。「極光ノ銀翼」です(「極光の銀翼」と書いてた) #sousaku
2013-09-21 23:11:59とりあえず、とげったーか何かで、以前のコマ単位分解と、そこからの脚本おこしは見ていただいていると仮定しまする。そこから、ラノベ的な文章に書き起こしたものを、貼り付けていきます。ちなみに、敢えて小説なので、漫画には無い情報を加えている部分もありますが、 #sousaku
2013-09-21 23:14:57気がついた時には囲まれていた。 およそ考え得る限り最悪の状況と言って良いだろう。 「管制、聞こえるか!」 操縦士は悲鳴じみた声でそう通信機に喚いた。 「こちら第45輸送隊〈トンプソン13〉だ! 囲まれてる!」 #sousaku
2013-09-21 23:16:50彼と管制官との現状認識には大きな温度差が在った。この期に及んで管制官は間抜けにも『〈トンプソン13〉、一体何に囲まれているのか?』などと尋ねてきたからだ。 「何って……戦闘機だよ!」 コクピット・ガラスの向こう側。 #sousaku
2013-09-21 23:17:20そこに今もはっきりと戦闘機の機影が映っている。見える限りでは二機。だが恐らくそれだけではなかろう。確実にこちらを押さえる積もりならば三機以上で編隊を組むであろうから。 #sousaku
2013-09-21 23:18:06同じ航空機の範疇(カテゴリ)に含まれると言っても、鈍重な大型輸送機から見れば、戦闘機は最早、全く別の代物だ。同じ獣の範疇に含まれていても、羊と狼を同じ動物として論じる者など居ないのと同じく。 獰猛な捕食者とその哀れな獲物。両者の関係は基本的にこれだけだ。 #sousaku
2013-09-21 23:18:47「この“回廊”にはソ連の戦闘機は入って来ない協定だよな!?」 恐怖と焦燥をぶつけるかの様に操縦士は叫んだ。 安全な飛行である筈だったのだ。 #sousaku
2013-09-21 23:19:07★既に戦争は終わり、積んでいるのは軍事物資ですらない――だからこそ輸送機が護衛も付けずに飛べる。一度空に舞い上がれば、もう二度と地面を踏む事が出来ないかもしれない、そんな覚悟を必要とする時代は、終わった筈なのだ。★ なのに―― #sousaku
2013-09-21 23:19:39「――赤い星?」 操縦士に代わって機長が管制官の問いに答える。 ソ連機の標――即ち赤い星は、問題の戦闘機には確認出来ない。 #sousaku
2013-09-21 23:20:14この状況、打破するのに一番確実で手早い方法は、これらの戦闘機の上――つまりは獰猛な猟犬の飼い主と話を付ける事だ。味方の戦闘機が緊急発進で飛んでくるよりも、電信で抗議して退かせた方が何倍も早い。 だが―― #sousaku
2013-09-21 23:20:36「……分からん、機種は……」 「鼻の長いのが二機と……それに」 几帳面な機長は、戦闘機の機種を正確に答えようとして、言葉に詰まっている。苛立つ操縦士は彼を押しのけるかの様に答えた。機種の判断など管制官にやらせておけばいい。 「え……!?」 #sousaku
2013-09-21 23:21:09