古代ギリシアの「地道な生活のすすめ」 ヘシオドス『仕事と日』の生活訓
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親しい相手でもきっちりと
【370行】"μισθὸς δ᾽ ἀνδρὶ φίλῳ εἰρημένος ἄρκιος ἔστω." "μισθός"は「雇用」。"ἀνδρὶ φίλῳ"は"ἀνήρ φίλος"(親しい人)の単数与格。(続きます)
2013-10-13 14:30:17(承前)"εἰρημένος"は"ἐρῶ"(言う)の完了分詞中・受動態男性形単数主格。"ἄρκιος"は「確かな」、"ἔστω"は"εἰμί"の命令法現在三人称単数能動態。"μισθὸς"、"εἰρημένος"、"ἄρκιος"が全て男性形単数主格になります。(続きます)
2013-10-13 14:35:14(承前)全体を直訳すると「親しい人への言われていた雇用は確かなものとせよ」となりますが、"μισθὸς"には「賃金」という意味もありましたから、「言われていた」を「約束していた」とすると「親しい人への約束した賃金は確かに支払え」となります。
2013-10-13 14:40:15【371行】"καί τε κασιγνήτῳ γελάσας ἐπὶ μάρτυρα θέσθαι." "κασιγνήτῳ"は"κασίγνητος"(兄弟)の単数与格、"γελάσας"は"γελάω"(笑う)のアオリスト分詞能動態男性形単数主格。(続きます)
2013-10-13 15:00:36(承前)"μάρτυρα"は"μάρτυς"(証人)の単数対格で"θέσθαι"は"τίθημι"(設定する)の不定法アオリスト中・受動態。全体で「兄弟にも笑って証人を立てること」。前の行の「約束した賃金」云々の文脈で言うと「兄弟との約束事でも、笑いつつ証人を立てること」ですね。
2013-10-13 15:05:17「警句」
【372行】"πίστεις γάρ τοι ὁμῶς καὶ ἀπιστίαι ὤλεσαν ἄνδρας." "πίστεις"は"πίστις"(信頼)の複数主格。"ὁμῶς"は「いずれも同様に」。"ἀπιστίαι"は"ἀπιστία"(不信)の複数主格。(続きます)
2013-10-13 15:30:16(承前)"ὤλεσαν"は"ὄλλυμι"(滅ぼす)の直説法アオリスト三人称複数能動態。全体で「信頼も、同様に不信も人を滅ぼした」となります。
2013-10-13 15:35:15ここまでの原文のまとめ。
ヘシオドス『仕事と日』370~372行 μισθὸς δ᾽ ἀνδρὶ φίλῳ εἰρημένος ἄρκιος ἔστω. καί τε κασιγνήτῳ γελάσας ἐπὶ μάρτυρα θέσθαι. (cont) http://t.co/EfkNwHhVLw
2013-10-16 00:27:39