丸谷才一全集(文藝春秋、全12巻)刊行に際して、いろいろ考えたこと
なかなかわたしが岡山に行く意味をわかってくれる人は少なくて、フォロワーさんでも数人しか思い浮かばない。神谷美恵子が何者なのか、なぜわたしが30年近く、濃い薄いはあってもずーっと神谷さんのことを考え続けてきたのか、そこがわからない人と話しても仕方ないので。
2013-12-31 07:45:27ほんと。きついですよね、この手の仕事を続けるモチベーション。 RT @typhoon516 学校司書に関わらず自治体のあらゆる仕事に言えることだし、自治体だけでなく社会全体の問題のように思う。個々人の努力が評価されず、数値だけを見る社会。
2013-12-31 07:47:05おはようございます。大晦日です。書斎とリビングの掃除も済んだし、年賀状も投函しちゃったし、あとは光安さんとこで髪を切るだけ。『桐島』は町山さんの解説(予習篇と復習篇で1時間!)がめっちゃ熱かったです。http://t.co/boIssqP5qI まずこれを見て!
2013-12-31 09:00:58興味深かったのは町山さんも指摘していたことですけれど、高校生においては相互の同調圧力が高すぎて、自分の中に発生した「それをまだまわりの誰も口にしたことのない考想や感情」をていねいに対話的に研ぎ出して、言語化する努力がほとんどされていない。その中で唯一本音が出るのが・・・
2013-12-31 09:03:268ミリカメラを向けられて「インタビュアーに凡庸な質問をされている遊び」という虚構の定型に入ったときに突然「本音」がほとばしり出る。これは映画であれ文学であれ、虚構を経由することが自己表現には必要であるという消息をよく表わしていると思いました。町山さんもそう言ってましたね。
2013-12-31 09:10:16「高校生の日常をそのまま描いた」作品は定型に堕す。学園ゾンビ-映画は虚構を経由することで高校生たちの心の闇を深くえぐり出す、という映画部長前田くんの「映画宣言」に町山さんはちょっと感動しちゃったんでしょうね。たしかにたいへん『映画秘宝』的な映画でありました。
2013-12-31 09:12:49原作にも映画にも大して興味はないけど、内田先生の読み込みが面白い。若い者が同調圧力でガッチガッチになってるというのはわたしも仕事の中で感じていて、なんでなんだろうと思っていたので参考になります。
2013-12-31 09:16:43つい先日も大学の授業で同じようなことを感じました。リレー式授業で3週にわたってカミュのことを話す予定で、『異邦人』を読んできてねとあらかじめ告知しておいたのに、授業のはじめに「『異邦人』読んできた人、手を挙げて」と言ったら、90人のクラスでゼロでした。
2013-12-31 09:22:00もちろん読んできてない学生がほとんどでしょうけれど、何人かは読んできた子もいたはずです。でも、まわりの圧倒的多数が読んでいないときに「私は読んできた」と進み出ることへの強い抑圧が働いている。その同調圧力の強さに僕はびっくりしたのです。
2013-12-31 09:23:30日本社会を覆い尽くしている反知性主義は単純に「知性の活動が鈍い、教養がない」という事実を言うのではなく、積極的に「知性の活動を阻害し、教養を身につけさせない」というつよい干渉力が働いている事態を指し示しています。
2013-12-31 09:26:37そして、その反知性主義的干渉には「主体」がいません。誰もそんなこと望んでもいないし、命じてもいないのに、集団全体として「知性を活動させるな」というつよい非人称的な圧が働いている。
2013-12-31 09:28:11君たちの反知性主義的傾向は君たちが選んだものではなく、君たちが気づかぬうちに内面化したイデオロギーの効果なのだ。では、なぜ若者たちが端的に「バカ」になることを日本社会は望んでいるのか、その経済学的理由についてご説明しよう。という話からカミュ論が始まりました。
2013-12-31 09:30:42出席カードをチェック(今頃ごめんね)したら、たくさんの学生が授業の感想を書いていました。カミュのla révolte は強いて日本語にすると「厭な感じ」だという話に「びびび」と来たという感想がたくさんありました。「厭な感じ」を我慢すると生物として衰弱するよという話をしたのでした。
2013-12-31 11:01:30僕の授業を聴いていて「厭な感じ」がしたら、それは生物としてアラームが鳴っている証拠だから教室から出て行く方がいいよ。僕が君たちの生命力を殺ぐことだってあるわけだからね。「この授業が厭かどうかチェックしてみたけど、平気でした」という感想が二通ありました。
2013-12-31 11:04:29お雑煮の準備の続きやろう。一息ついたら本を読みたい。岡山行きまでに読んでおきたいのが何冊もある(行きの車中でも読めるとは思うけど)。
2013-12-31 12:18:20神谷美恵子『遍歴』(神谷美恵子コレクション、みすず書房、2005)を読み始める。若いときの日記(角川文庫に入ってます)と遍歴を一番読んだかなあ。わたしの興味は、ああいう風に考える人が(ここでは説明しませんので興味のある人は探してください)どういう風に出来上がったのかを感じたい。
2013-12-31 13:11:42【友のよろこびを自分のよろこびにすることができる人こそ、ほんとうの友なのであろう。】神谷美恵子『遍歴』(神谷美恵子コレクション、みすず書房、2005)p.10
2013-12-31 14:29:27英語のことわざに"A friend in need is a friend indeed."(困った時の友こそ真の友)ということわざがあって、最近しみじみ沁みてくるんですが、さっきのとはちょっと意味が違う。 でも神谷さんは折々友人達に助けられている。このことわざ知ってたかな。
2013-12-31 14:31:25【…ただ、教えることは教師にとっても楽しいことでありうることを、私はのちにしばしば経験した。しかし、それを成績表に記す場を持ったことがないのを残念に思う。】神谷美恵子『遍歴』(神谷美恵子コレクション、みすず書房、2005)p.50-51 つづく。
2013-12-31 16:50:52つづき【教育とは教師から生徒への一方通行のものではない。教えることは教えられることであり、教師にとって楽しいことである。】神谷美恵子『遍歴』(神谷美恵子コレクション、みすず書房、2005)p.50-51 つづく。
2013-12-31 16:53:38つづき【成人してからいろいろな学校や私塾などで多くの学生に教えたが、みんなに「ありがとう」と言いたい。私の人生をゆたかにしてくれた学生たちの顔を思い浮かべている。】神谷美恵子『遍歴』(神谷美恵子コレクション、みすず書房、2005)p.50-51 つづく。
2013-12-31 16:54:54【彼らはある意味で私の子どもたちである。みんなにデュプイ先生のような、こまやかな成績表をあげたかったとつくづく思う。それは教師にとってのよろこびであり、学生にとっての励ましであるにちがいない。】神谷美恵子『遍歴』(神谷美恵子コレクション、みすず書房、2005)p.50-51 続く
2013-12-31 16:56:34つづき。 デュプイ先生は、神谷さんがジュネーブの国際学校で習ったフランス人教師。専門は地理学だが、教養の豊かな人だったらしく各科目を教えたとのこと 長い引用で済みません。学校で臨時とはいえ教員をしているといろいろ考えなくてはいけないので。久しぶりに今のところを読んで感動したので。
2013-12-31 16:58:38