【まだ終わりじゃない】福間健二 2factory49
まず、南からの深い青の八十パーセント以上が女性化して、孤独な作業だ。残りの青、何と無関係だと証明すれば薄まらないか。地下鉄の駅で約束した「革命」とでは当たり前すぎる。だれの涙を食いとめるためでも、そんな円を描くな。まだ終わりじゃない。(まだ終わりじゃない1)#2factory49
2013-11-01 18:37:46そのゴムはどこにあったのか。言いたくないだけ。終わりから二番目の、弾む「形式」。でも、次が出てこない。何が起こったのかを理解しない可愛い目がぼくを見ていて、正直なのはいいことかもしれないが、十一月になって波を奪う波は絶頂をすぎている。(まだ終わりじゃない2)#2factory49
2013-11-02 07:42:16わかってくれない機械。無責任な口紅をつけて戦争したがっている。茶色い空の、設備のわるい夢の国。好きだという気持ちの蕾は影に隠して脱出した。そうするしかなくて、どうしてここで小さな花と対立するのだろう。ばかだなあ、電源コードおいてきた。(まだ終わりじゃない3)#2factory49
2013-11-03 08:36:08中にあるものと外にあるもの。青ざめているのは、そのあいだの皮膚。ざらざらと光の粒が動いて何重もの輪をつくるその変化がセクシーなのだ。砂漠の思い出なんか放りだして全速力で、ここに。よし、それでいいと言ってくれ。おいしいお茶をいれるから。(まだ終わりじゃない4)#2factory49
2013-11-04 09:05:54ラプサンスーチョン。百グラム千円の、陽性。お茶だから、茶色い返信を受けとり、気分を落ち着かせて状況を考える。欲望のうめき声をもらす二人の「形式」の片方を思い出せない。草の感触だけが残り、使うために出していたものを片付けてしまったのだ。(まだ終わりじゃない5)#2factory49
2013-11-05 08:15:34そういう構造。体でも魂でも接触できないが、そこにいるとわかる新来者に何を奪われるのか。何と何が交差するのか。何が投げ出されてまだ試されていない「形式」が隠れるのか。夜の通路。一瞬、つんとくる香りがして、ぼくは、未遂の、青を抱きしめる。(まだ終わりじゃない6)#2factory49
2013-11-06 09:40:31読み、書き、歩く。からっぽになる快感にも飽き、だれかの瞼を撫でるように手の力を抜いて、しゃがみこみ、枯れる寸前の草たちと話す。この眠たそうな蓋、どうあけるのか。つよく押す。あかない。もっとつよく、だよ。腕をつかまれ、見つめられている。(まだ終わりじゃない7)#2factory49
2013-11-07 09:23:55おそろしい。まだ鎖につながれた魔物がいるのだ。その足から血と一緒に「革命」の夢がにじみ出て、草たちが生きかえり、野を走ってやってくる青年はボブ・ディランに化けた少女だ。有刺鉄線の柵によじのぼる。わっ、シャツが破れて青い乳房が見えた!(まだ終わりじゃない8)#2factory49
2013-11-08 08:36:00そして揺れる大きな木の下、出どころ不明の視線も突き刺されて悲鳴をあげるこの薄着の「未開」に本気の恋をするのはだれだろう。本気だから、声をかけられない。だれもいない教室に戻っていきなり飛びはねる演説をする。それから彼は長い旅に出るのだ。(まだ終わりじゃない9)#2factory49
2013-11-09 09:26:36運命。青いシーツにくるまって、滝のように落ちてくる雲の手にしてもらうこと、それを思いつづける。性別のはっきりしない見知らぬ二人との、質素だがおいしい食事。そして強い酒を入れたコーヒー。大丈夫、ハチミツとショウガのお風呂が待ってるよ。(まだ終わりじゃない10)#2factory49
2013-11-10 08:49:38