何が「違法」な働き方なのか、弁護士の方からお話を伺って、みえてきたこと
昨日はブラック企業対策プロジェクトの一環として、同プロジェクトのメンバーであり、かつブラック企業被害対策弁護団のメンバーである弁護士の方々に、大学のキャリア教育・キャリア支援と就活プロセスから見たブラック企業問題をお話しし、意見交換させていただいた。
2013-11-15 17:17:51今年に入ってから、授業に佐々木亮弁護士に来ていただき、また、同プロジェクトを通じて弁護士の方々との出会いがあり、弁護士の方の経験や発想から学ぶことがとても多い。
2013-11-15 17:18:17例えば以前、同プロジェクトがブラック企業をどう定義するか、という議論の中で、広義には「違法な労働を強い、労働者の心身を危険にさらす企業」ということになった。が、私はむしろ、「違法な労働」というと、ブラック企業の問題が狭くとらえられてしまうのではないか、と疑問をもった。
2013-11-15 17:18:47なぜかというと、例えばうつ病や過労自殺に追い込まれそうな長時間労働が実態としてあっても、職場で正式な形で36協定が結ばれており、残業が36協定で定めた時間の範囲内であり、また、残業代が適切に支払われているなら、長時間労働そのものの上限を定めた法がないために
2013-11-15 17:19:08そのような実態は「違法」ではなく、「違法な労働」の範疇から抜け落ちてしまうのではないか、と思ったからだ。けれど、弁護士の方によれば、そうではない、それも「違法」な働かせ方なのだ、ということだった。
2013-11-15 17:19:25なぜ「違法」なのかというと、使用者には「安全配慮義務」があるから、だという。http://t.co/9mWPLnDkvD (まあ、他にもプラスアルファのお話はうかがったのだが、単純化のために、そこは割愛)
2013-11-15 17:19:52そのお話を伺って、そうか、弁護士の方にとっては、「違法」である、というのは、ある法律の条文等に明確に違反している場合だけを指すのではなく、もっと広い含意があるのだな、と思った。
2013-11-15 17:20:11的確に表現できないが、「法が求めている状況を逸脱している場合」のようなものが、弁護士の方が語った「違法」という意味なのだな、と。そしてその「法」とは、条文のような形で具体的に書かれた「法律」だけを指すのではなく、法の理念や、判例の積み重ねとしてあるようなものなのだろうな、と。
2013-11-15 17:20:37労働契約法第5条には「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」という条文がある。 http://t.co/9fqH28iRVP
2013-11-15 17:21:00そして上の東京都のサイトには、同条文について、「メンタルヘルス対策も使用者の安全配慮義務に当然含まれると解釈されています。」(続く) http://t.co/9mWPLnDkvD
2013-11-15 17:21:23(続き)「労働契約法には罰則がありませんが、安全配慮義務を怠った場合、民法第709条(不法行為責任)、民法第715条(使用者責任)、民法第415条(債務不履行)等を根拠に、使用者に多額の損害賠償を命じる判例が多数存在します。」という解説がある。
2013-11-15 17:21:41実際に安全配慮義務を怠っていたと認められるためには、裁判で争うことが必要かもしれない。けれど、裁判で勝ってはじめて「違法」なのではなく、裁判で勝つということは、「違法」であることが「認められる」ということなのだな、と。
2013-11-15 17:22:02労働問題の弁護士の方は、日々、具体的な相談事例に接し、具体的に解決に動いているので、そのあたりが当たり前の感覚としてあって、そうでない自分とは、認識の相違があるのだな、と。
2013-11-15 17:22:36たぶん、弁護士の方の見方を自分の理解に引き戻して考えると、「違法な状態」というものが幅広くあり、その中の一部が「違法性を問える状態」であり、さらにその一部が「明確に法律に違反している状態」なのだろうと思う。
2013-11-15 17:22:58「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」という労働契約法第16条にしても、どういう場合が「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当である」と認められ、
2013-11-15 17:23:41どういう場合には認められないのかは、弁護士の方は経験を通して感覚的につかんでいるが、法律や限られた判例を読むだけの私たちには感覚的につかめない。
2013-11-15 17:24:10また、例えば、時間外労働には割増賃金を支払わねばならず、不払い残業は明らかに違法なわけだが、しかし、不払い残業は現実には横行しているわけで、法律と実態は乖離している。その中で、一般的な解説では「不払い残業は違法です」としか書かれない。
2013-11-15 17:24:31弁護士の方も一般的には「気軽に相談を」としか語らない。相談したら解決できるのかどうかもあらかじめ分からないし、そもそも誰に相談したらよいのかもよくわからない、そういう中で「違法です」と「相談を」の間には、モヤモヤした想いが横たわる。
2013-11-15 17:25:09そのモヤモヤは、実際に弁護士の方が事例を語るのを聞く中で、だんだんと晴れてくる。個別の事例の具体的な状況によるので、一律の答えが出せない問題だということも理解されてくる。
2013-11-15 17:25:28でも、そういうことは、徐々にしかわからない。いや、事例に即した解説書などを読めばわかるのかもしれないが、数式を見れば拒否反応が出るように、条文を見ると拒否反応が出ると、読むだけで理解する、ということは難しい。
2013-11-15 17:26:02そして、そういう出会いの場・学びの場を、私だけが体験するのではなく、学生の就職・就業継続の問題に心を痛めながらモヤモヤした思いをもっている多くの教育・若者支援関係者の方々にも、そういう出会いの場・学びの場に参加していただけないかと思っている。
2013-11-15 17:27:00メンバーはそれぞれ、本来業務を抱えている中でボランティアとしてプロジェクトの活動に参加しているので、そうそう大々的に頻繁にいろんなイベントを実施することは難しいのですが、試行的に少しずつでも、そういう場を設けていきたいと考えています。
2013-11-15 17:28:04