言いたいことがない人に英語を教えたって……

文科省が企てている英語教育の変更について思ったことのまとめです。政策の施行上の問題も大きそうだけど、その話はまた別の機会に。
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kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

0 僕の本業は語学教育屋なんだけど、文科省の全国の中学校の義務教育の英語の授業を英語でやるという決定には正直大丈夫かという不安を感じてしまう。教師の再トレーニングの問題も大きいけど、もっと根本的な部分の教育に問題がある気がするから。で、今からそのことについて連続ツィートします。

2013-12-21 11:57:37
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

1 文科省が必修の英語教科を英語だけで教えると決めた話が出て、また英語教育周辺が騒がしい。英語の話になるとすぐ現れる勘違いを大別すると、①日本人全員が同レベルまで使えるようになるべきだ。②大切なのは聴力だ、いや発音だ、いや語彙力だ、いや文法偏重はだめだ。ってのになるかと思う。

2013-12-21 11:57:45
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

2 「日本人全員が等しく英語を話せるようになるべきだ」「いやそれじゃ日本語と日本文化が」って論争ほど不毛なものはないと僕は思う。まず「義務教育にして全員が」って発想は、機会均等を装ったただの強制だし、逆にそれに怯えて日本文化が英語文化の下に置かれるかもなんて杞憂もいい所だと思う。

2013-12-21 11:57:52
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

3 それから、文法、発音、聴解みたいな、いわゆる言語学的要素ってのは語学習得には必要な技術ではあるけれど、そこを目的にしてたら使いモノにならない。素振りとキャッチボールフォームの美しさを競い、競技のルールに習熟しても、試合をしない野球では、実際の試合で何をしていいかわからない。

2013-12-21 11:57:59
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

4 こうした勘違いは、ひとつには英語はただの「道具」に過ぎないという感覚の欠如から来ている。だから、道具を実際に使わせてみようという話になるのは分かる。でもそこにはそれ以前のもっともっと大切なことの見逃しがある。道具は「目的」があって使うもの、という当たり前の感覚の欠如がそれ。

2013-12-21 11:58:06
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

5 スポーツでもじゃんけんでもいいけど、ゲームには「勝つ」という大きな目的があって、勝ちたいからルールも理解し、技術も習得する。なのに、日本の英語教育は、勝つということを横に置いといて、ルールと技術だけを身につけさせようとする。それはゲームの本質を逸脱してるし、第一つまらない。

2013-12-21 11:58:13
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

6 人はつまらないことはやらないというのが自然だから、つまらない英語はつまらない教科として人の意識の中で下位に置かれるようになる。でも英語は所詮道具にすぎないから、それそのものがつまらないのは当たり前。道具ってのは面白いことをするためにこそあるという点を日本の英語教育は忘れてる。

2013-12-21 11:58:19
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

7 「道具」の本質を忘れた日本語教育が一番怠ってきたのが、英語を使って何をするかという「目的作り」だと僕は思う。別の言い方をすれば「何か英語でやりたいことがあり、それをうまくやりたい」から英語の使い方を工夫するという状況を作ってやることだと思う。語彙も文法も学生が勝手に工夫する。

2013-12-21 11:58:28
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

8 目的のことを言うと、日本では「教師が教室で目的を与える」方向に話が行っちゃうんだけど、目的は自分から出てきたものじゃなきゃつまらない。人生のあらゆる局面にある「これがやりたい」を育てないと、英語場面でもっとも深刻な「言いたいことがない」状態におちいってしまう。

2013-12-21 11:58:34
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

9 よく海外では英語が自分の言葉じゃないのによくしゃべる人がいることに驚くという話を聞くけど、それは彼らに「言いたいことがある」から。他愛も無いことから真剣なことまで彼らには何語でもいいから言いたいことがたくさんある。それがたまたま英語の場だから英語を使うだけ。

2013-12-21 11:58:42
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

10 人とのかかわりの中のあらゆる局面で何でもいいから目的を持ち、その目的達成の道具としてことばを使うこと。言い換えれば「言いたいことを持つこと」が、日本の英語教育の中で一番必要なことなのに、教室の中で英語で英語を教えればなんとかなると思ってる文科省。

2013-12-21 11:58:50
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

11 英語教育の問題は英語以外にある。そこが分からないといつまでたっても勘違いな政策を思いついてしまう。その場その場で小さな目的を発見して「言いたいこと」を作ることから教育を始めないと、未来永劫日本人は英語だろうが何語だろうが日本語でさえコミュニケーションができるようにならない。

2013-12-21 11:58:57
kaz hagiwara(萩原 一彦) @reservologic

12 ひとつ言い忘れたけど、英語じゃなくてもいい。むしろ英語以外、あるいは何か国語も話せるような人を育てる教育をめざしたっていいし、それは可能だと僕は思う。「言いたいこと」を見つけられる人にさえなれば、どんな言葉も道具として使いこなせるようになると思う。

2013-12-21 11:59:59

コメント

甘党猫が通りますよ @Future_Men 2013年12月21日
受験英語しか出来なかった妻が、最近英語で外国人とコミュニケーション取れるようになってきたのは、「どうぶつの森」で海外アイテムを手に入れるため。イベントの前後は時差の関係もあり、夜中まで必死にやってます。
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MilesGregarius @Miles_Gregarius 2013年12月21日
同じ事は全ての教科に言えると思うんですが。世界史や生物の「目的作り」は上手く行っているのか?
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kartis56 @kartis56 2013年12月21日
タイトル見ただけで全面的に同意。以前の自分がそうだったから。
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