【第一部-四】誰かを見つめる時雨と夕立の甘咬み #見つめる時雨

時雨×夕立 ※【R-15気味】
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誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

お風呂からも上がり、部屋に戻る。ポカポカした身体が気持ちいい。 「じゃあ夕立、髪を乾かすよ」 熱風が直接当たらないように自分の手の甲の上から当てていく。しっとりとした夕立の髪が、徐々にサラサラした感触になっていく。夕立は僕が手を動かすたびに、くすぐったそうに頭を動かしていた。

2013-12-29 00:24:43
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「はい、終わったよ」 自分の髪は既に乾かしてあったので、ドライヤーのスイッチを切り、化粧棚へしまった。……その間、僕はずっと 夕立の視線を背中に感じていた。 「時雨……」 夕立が弱々しい声を漏らす。そう、今日もしたいんだ……しょうがない娘だね

2013-12-29 00:29:30
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「おいで、夕立」 背を向けたまま夕立に呼びかける。すると背後から夕立が近づいてくる気配がした。 「……いいの?」 「夕立がしたいなら。僕は構わないよ」 僕の返事に少し安心したのか、今日もまた、夕立は僕に擦り寄ってきた。

2013-12-29 00:33:46
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

夕立が僕の背中に身体をくっつけ、うなじに頬ずりをする。夕立の熱い吐息が、首にかかる。 「ん……夕立……くすぐったいや……ふふ…」 夕立の吐息と、高い体温が伝わってくる。夕立は僕の髪を少しずらし、首を露わにさせた。 「んっ…」 首に、しっとりとした感触が触れた。

2013-12-29 00:38:15
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夕立が僕の首を甘咬みする。この前のような乱暴さはない。歯が触れるか触れないかという加減で、痛みもなく、むしろむずむずする。 「……っ……ん……」 …夕立のこの行動が始まったのはこの前、あの出来事があってから。そして、以来何日かおきに続いていた。

2013-12-29 00:42:44
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夕立のこの行為の理由を、一応僕個人で考えてみたけれど、多分、夕立は闘争本能の発散場所を見失ってるんじゃないかと思う。鉄底海峡でも僕と夕立は留守番で、最近も大掛かりな出撃はない。だから、行き場のないそれが、夕立をこの行為に駆り立ててるんじゃないかって、そう思った。

2013-12-29 00:46:58
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だったら、姉妹艦の僕が発散場所になってあげる。そう決めた。 「……んっ……」 夕立が僕の寝間着をずらし、肩を少し露出させる。そして、その部分を口で覆った。夕立の口腔の温度を、肌で感じる。 「はっ……ぁ……」 夕立の舌が肩に触れる。ゾクゾクしたものがその部分を這っていく。

2013-12-29 00:52:59
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「……んっ……ぁ……」 でも最近、僕の身体がどうもおかしい。夕立にこれをされてると、段々身体が熱くなっていくような、変な気分になってくるんだ。…最初は本当にくすぐったいだけだったのに… 「んくっ…」 夕立が少し犬歯を立てる。強い刺激が走り、ぴりぴりしたものが身体を抜けていく

2013-12-29 00:58:10
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夕立の顔が僕の首の付け根へ移動する。そこは僕の頸動脈が走るところ。もし今、夕立に思いっきり咬まれでもしたら、僕、どうなっちゃうのかな……。 「あっ……くぅ……」 まるで僕の考えを見通したかのように、夕立がそこで軽く犬歯を立てた。心臓の鼓動が、早くなっていく。

2013-12-29 01:03:15
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あれ、何だろう……お腹の下のほうがムズムズしてきたよ……すごい、変な感じ……。 「あ……ん……ぁ……」 そのとき、夕立が僕の首に歯を少し食い込ませた。痺れるような刺激が、僕の首から下半身へ向かって、一気に駆け抜けた。 「……んぅ!?」 お腹が突然、キュッとなる。

2013-12-29 01:09:43
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「ご、ごめん! トイレ行かせて…!」 突然尿意に似たものを感じ、僕は思わず立ち上がった。夕立がいきなり立ち上がった僕に驚き、尻もちをついた。 「ぽ……ぽい……?」 驚かせてゴメン。そう思いながら僕は駆け足でトイレへと向かった。

2013-12-29 01:14:36
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「きゃっ!?」 廊下で誰かとぶつかってしまった。でも相手は倒れず、僕は抱きとめられる形になってしまった。……あれ? この香り…… 「ちょっと大丈夫……って、時雨じゃない。もう、廊下は走っちゃ駄目でしょう」 「ご、ごめん、山城……」 山城の体温が、とても近くにあった。

2013-12-29 01:20:34
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「何をそんなに急いでるのよ? お手洗い?」 山城の顔がとんでもなく間近にある。そして僕の視線は、潤いを帯びた山城の唇に注がれていた。 「時雨?」 山城の唇が動き、隙間から赤みを帯びた舌が動くのが見える。僕の心拍数が、どんどん上がっていく。 「…顔赤いわよ? 大丈夫?」

2013-12-29 01:26:55
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山城が心配そうに僕の顔を覗き込む。 山城の長い睫毛が、陶器のような綺麗な肌が、しっとりしてそうな唇が、全部間近にある。 僕の頭は熱でどうにかなってしまいそうだった。

2013-12-29 01:33:25
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「だ、大丈夫だよ…!」 山城をやんわりと押し、身体を離れさせる。もう僕はまともに山城の顔を見ていられなかった。 「そ、そう…? あまり無理しちゃダメよ…? あと、廊下は歩きなさい」 「う、うん…ごめん…」 山城は「おやすみ」と言い残し、部屋へ戻っていった。

2013-12-29 01:39:06
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

僕はトイレの個室にこもり、今この身体の感覚に戸惑っていた。心臓が、全身を震わせているかのような大きな音を立てている。 山城が、山城の唇が、頭から離れない。そして、僕はあの時……はっきりと思ってしまった。 山城に……キスしたいって……

2013-12-29 01:46:32
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

体験したことのない、感情と感覚が暴走しているかのような状態。僕は一体どうすればいいの…このまま大人しくしていれば落ち着くのか、そもそも何でこんな状態に……わからないよ… 僕は自分にしがみつくように腕を交差させ肩を抱いた。 …その時また、今度は胸の辺りに痺れるような刺激が走った

2013-12-29 01:53:19
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「…うぁっ!?」 え…何…? 今度は…ここが… 「…時雨、いる?大丈夫?」 僕は突然の夕立の声に驚き、身を引っ込めた。 「あ、時雨、ここ? あれから戻ってこないから、心配になって…大丈夫っぽい?」 心配する夕立の声に、ひどく安心したものを感じた。熱が、急速に冷えていく…

2013-12-29 01:59:46
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

「はぁ…はぁ…はぁー……ごめん、夕立。心配させちゃって……うん、僕なら大丈夫。すぐ戻るから…」 「…ぽい…?」 「うん…ぽい。大丈夫」 夕立がトイレから出て行く音がした。その音を聞き届けてから、僕は大きなため息をつく。 「はぁ……今日はよくわからないことばかりだよ……」

2013-12-29 02:07:20
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

僕は手と顔を洗い、気分をスッキリさせようとした。……それでも、まだ心のなかには悶々としたものがあった。 「寝れば、治るかな…」 僕は部屋へと引き返した。今日はもう寝よう。戻ってまた夕立にあれをお願いされても、今日はもう無理……早く寝てしまいたい……

2013-12-29 02:11:39
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

僅かな灯りが点いた廊下を見つめる。 「……山城……もう部屋に戻った……よね……?」 再び山城に会ってしまうんじゃないか、そしてまたさっきみたいになってしまうんじゃないかという不安を感じながら、僕は恐る恐る部屋へと向かって歩いた……

2013-12-29 02:15:09