「「デフレ脱却」なんて意味がない」という池田信夫さんへの反論

デフレは経済にどんな影響を及ぼすのか? 経済学についてはまだまだ初心者ですが、物を申さずにはいられませんでした。 参考になると嬉しいです。
21

導入

広夢 @scidreamer

「実質金利=名目金利-インフレ率だから、インフレ率が上がっても名目金利が上がったら意味がない」という人には、逆に「デフレになっても名目金利はマイナスにならない(流動性の罠)から、実質金利は高止まりしている」と返せばいいのか。

2013-12-29 09:13:46
広夢 @scidreamer

「実質賃金が高止まりしていた」というデータはこれ。>主要国の実質金利の推移 -内閣府 http://t.co/trYOyv0fjS 検索したら過去の自分のツイートが出てきた。池田信夫さんにはブロックされております。(笑)>https://t.co/UC1dQvx54e

2014-01-01 18:42:02
広夢 @scidreamer

このブログなんかを見ると、池田信夫さんは本当に経済学の心得があるのだろうかと疑問に思えてくる。それとも分かった上で敢えて騙しているのだろうか。>「デフレ脱却」なんて意味がない -池田信夫 blog http://t.co/q2ZVaPLP87

2014-01-01 18:47:19

池田信夫さんへの反論:デフレは経済活動に影響を及ぼす

広夢 @scidreamer

「デフレの場合でも実質利益は変わらない。インフレ率と実質利益は関係ない」というのが池田信夫さんの主張だ。なるほど、確かに計算すると実質利益は物価水準に依存しない。しかし、それだけで「したがってデフレは、実質的な経済活動にほとんど影響を及ぼしていないのだ」と言えるだろうか?

2014-01-01 18:51:08
広夢 @scidreamer

経済活動とは『選択』だ。たとえば、お金の使い道を選択することが経済活動と言える。選択を行う上で人間が考慮するのは、各選択肢の絶対的な価値ではなく、相対的な価値である。デフレの場合とそうでない場合とで、投資という経済活動を選択した場合の実質利益は変わらない。では他の選択肢はどうか?

2014-01-01 18:56:03
広夢 @scidreamer

投資以外のお金の使い道に何があるだろうか?たとえば、企業について言えば、主に、貯蓄、負債の返済が思い付く。それぞれの選択肢について、デフレの場合とそうでない場合とで、実質的な価値はどうなるであろうか?

2014-01-01 19:00:40
広夢 @scidreamer

他のお金の使い道として、まず貯蓄を考えてみよう。貯蓄した場合、金利による増分を無視すれば、お金の名目額は変わらない。では実質的な価値はどうなるか?「実質額=名目額/物価水準」であるから、物価が一定ならば実質額は変わらないが、物価が下がる(デフレ)ならば実質額は増えることになる。

2014-01-01 19:05:21
広夢 @scidreamer

デフレ下で貯蓄をすると、持っているお金の実質的な価値が上がっていくのである。逆にインフレならばお金の実質的な下がっていく。先の投資については「実質利益は物価水準に依存しない」ので、貯蓄と比べた投資という選択肢の相対的な価値は、デフレならば下がるし、インフレならば上がることになる。

2014-01-01 19:10:07
広夢 @scidreamer

次に負債の返済という選択肢を考えてみよう。これは逆に「負債を返済しなかったらその負担はどうなるか」と考えると分かりやすい。金利による増分を無視すれば、物価水準が上がろうと下がろうと、負債の名目額は変わらない。貯蓄と同じである。

2014-01-01 19:13:48
広夢 @scidreamer

負債の場合も「実質額=名目額/物価水準」だ。つまり、物価が下がる(デフレ)ならば、負債の実質額は上がっていくことになる。実質的な負担が増えていくのだ。インフレならば、逆に実質的な負担が減っていくことになる。となると、デフレ下では早く負債を返済してしまった方が得、ということになる。

2014-01-01 19:17:23
広夢 @scidreamer

すなわち、デフレ下において、負債の返済という選択肢の実質的な価値は上がる一方、投資した場合の「実質利益は物価水準に依存しない」。よって、投資という選択肢は負債の返済という選択肢と比較して、相対的な価値が下がることになる。貯蓄と比較した場合と同じ結果である。

2014-01-01 19:20:27
広夢 @scidreamer

まとめると、デフレ下では投資という選択肢の実質的な価値は変わらないが、貯蓄や負債の返済といった選択肢の実質的な価値は上がる。よって、後者の経済活動が盛んになることが予想される。さて、デフレ下において企業の貯蓄や負債が現実としてどう推移しているかは、各自統計を調べて確認してみよう。

2014-01-01 19:25:23
広夢 @scidreamer

ちなみにその前に指摘した「実質金利」とはこのことを加味したものである。「実質金利=名目金利-インフレ率」である。これは、インフレ下においては実質的に金利が下がり(=貯蓄の実質的な価値が下がる、負債の実質的な負担が減る)、デフレ下ではその逆となることを意味している。

2014-01-01 19:35:28
広夢 @scidreamer

改めて池田信夫さんのブログを読んでみると、後半に「デフレは投資に中立である」と書いてある。そう、このブログでは「投資」を話題にしただけなのである。しかし、前半では「予想されたデフレは経済活動に中立」と、勝手に「経済活動」にまで一般化している。ここに嘘があるのだ。

2014-01-01 20:18:50
広夢 @scidreamer

「企業といったら投資」「投資するか否か、あるいは何に投資するかが重要だ」と考えている人は騙されてしまうのだろう。しかし、マクロ経済学においてより重要なのは「投資の中身」云々よりも、投資とその他の選択肢のうちどれを取るかということなのである。投資は数ある選択肢の一つに過ぎないのだ。

2014-01-01 20:24:51
広夢 @scidreamer

あるいは「投資するか否か」という問題はマクロ経済学から見れば、実は「A or not A」の問題ではなく、「A or B (or C etc.)」の問題なのである。明示されていないが、資金を投資しなかった場合、それは貯蓄や負債の返済、あるいは別の「経済活動」に回っているのである。

2014-01-01 20:29:20
広夢 @scidreamer

今回は池田さんの趣旨に沿って企業を例に挙げたが、家計にしても同じことである。家計における「経済活動」、というよりも「お金の使い道」は、消費だとか住宅投資だとか、あるいは貯蓄だとかローンの返済だとかになる。そういった選択肢の中から相対的に価値のあるものを私たちは選んでいるのである。

2014-01-01 20:33:54
広夢 @scidreamer

相対的な価値が問題であるのだから、たとえば、ある選択肢の実質的な価値が変わらなかったとしても、他の選択肢の実質的な価値が変化すれば、当然経済活動にも影響が及ぶ。そしてもちろん、そういった経済活動の積み重ねは国家全体の経済の流れにも影響を及ぼしている。

2014-01-01 20:40:10

蛇足

広夢 @scidreamer

偉そうに言っている私自身も経済学については初心者だ。難しい話はまだ分からない。しかし、純粋な目を持ってこの世界を見つめれば、誤った理解に至ることを避けやすくなる。これは私が大学の先生から教えて頂いたことだ。分野を問わず、学問に対してあるべき姿勢というのはおそらく同じなのだろう。

2014-01-01 20:48:02
広夢 @scidreamer

池田信夫さんは「頭の悪い学生に教えるとき一番むずかしいのは、彼が何を勘違いしているのかわからないことだ。それは多くの場合、教師が何十年も前に習って意識していない超初歩的な問題であることが多い」と仰るが、彼こそ『学問に対する基本的な姿勢』を見失っていないか自問して欲しいものである。

2014-01-01 20:52:29
広夢 @scidreamer

なんかいつの間には説教話になってしまった。(苦笑) とりあえず、連投はこれで終わりです。池田さんの仰るように「頭の悪い学生」が「超初歩的な問題」を「勘違いしている」だけかもしれないので、私の連続ツイートに何か間違いがあれば、気付いた方は是非指摘して頂けると幸いです。m(__)m

2014-01-01 20:59:27