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黄鱗きいろ@12/15富士見L新刊発売
@osana0
「ゆびきり？」「そう、ゆびきり」不安そうに裾を掴んでいた少女の手を持ち上げて、小指を絡ませる。「遠い国の約束のおまじないなんだって」「約束」少女が繰り返す。幼い少女に視線を合わせて、彼は言う。「また来るよ。約束する」
2014-01-05 22:30:11
黄鱗きいろ@12/15富士見L新刊発売
@osana0
貴方はとうふちゃんで『僕の半分』をお題にして140文字SSを書いてください。 http://t.co/aYDhHgPB17 今日の分。これはアカンやつですわ……クリティカルに本編のことを思い出しちまう……
2014-01-06 00:04:56
黄鱗きいろ@12/15富士見L新刊発売
@osana0
「だからここがこうなるんじゃがーー」おじいさんの話を聞きながら、アルカは大きく欠伸をする。その膝の上のキカイリュウも大きく欠伸をする。ふたりは顔を見合わせると、声を出さずに笑い合った。「こら、ふたりとも。ちゃんと聞いておるか？」ふたりは振り返って、一緒に首を傾げた。
2014-01-06 20:37:48
黄鱗きいろ@12/15富士見L新刊発売
@osana0
「マジックじゃ」老人がとうふちゃんに布をかける。「念じるととうふちゃんが真っ二つに割れるんじゃ！」1、2、3！布をどけると、とうふちゃんは頭部と体で真っ二つに。少年は体をつまみ上げて言う。「こう割れるとは」ぽんっと破裂音がして少年の手の中で胴体とうふちゃんは全身に回復していた。
2014-01-06 20:51:30
黄鱗きいろ@12/15富士見L新刊発売
@osana0
貴方はとうふちゃんで『届かない本当』をお題にして140文字SSを書いてください。 http://t.co/aYDhHgPB17
2014-01-07 09:17:08
黄鱗きいろ@12/15富士見L新刊発売
@osana0
彼は一度だけ、本物の豆腐を食べたことがあった。それは遠い国から訪れた異邦人に貰ったものだった。豆腐に魅了された彼は、その原材料も知らないまま豆腐を作りだす試みを始め、数十年をかけた研究の末、ついに豆腐の脆さ質感力強さを併せ持つ金属を発見した。彼はそれを「とうふちゃん」と名付けた。
2014-01-07 22:59:43
黄鱗きいろ@12/15富士見L新刊発売
@osana0
貴方はとうふちゃんで『宛先のない手紙』をお題にして140文字SSを書いてください。 http://t.co/aYDhHgPB17
2014-01-08 07:49:31
黄鱗きいろ@12/15富士見L新刊発売
@osana0
波打ち際。ボトルメール。とうふちゃんをそっと水に浸す。放流されたとうふちゃんは大洋を海遊して、一年に一度戻ってくるのだ。吸い込まれるように沖に消えていくとうふちゃんを見送りながら少年は言う。「おじいさん」「なんじゃ」「ずっと思ってたんですがこれって……海洋テロじゃないですか？」
2014-01-08 12:22:36
黄鱗きいろ@12/15富士見L新刊発売
@osana0
貴方はとうふちゃんで『甘やかせる権利』をお題にして140文字SSを書いてください。 http://t.co/aYDhHgPB17 うかばねえ
2014-01-09 09:36:40
黄鱗きいろ@12/15富士見L新刊発売
@osana0
「何ですかこのガラクタの山は」「お前やあの子が喜ぶと思ってつい……」「つい？一体何回目の「つい」ですか？いい大人が何度同じ間違いを繰り返すつもりですかこの馬鹿っ！」「こ、子供を甘やかすのは大人の特権じゃろ！」「生活費削ってまで行使していい権利だと思ってんのかクソジジイ！」
2014-01-10 23:55:20
黄鱗きいろ@12/15富士見L新刊発売
@osana0
貴方はとうふちゃんで『逃がしはしない』をお題にして140文字SSを書いてください。 http://t.co/aYDhHgPB17
2014-01-10 23:56:05
黄鱗きいろ@12/15富士見L新刊発売
@osana0
「頼む剛腕助手！あれが街に解き放たれれば、この街は、いや、世界はおしまいだ！こんなこと俺が言えることじゃないのは分かってる！だけど頼む！世界を救ってくれ！」通信機の声。「分かってますようるさいなあ」少年は肩に担いだ改造投網装置のスコープを覗き込む。「言われなくても逃がしませんよ」
2014-01-11 08:53:08
黄鱗きいろ@12/15富士見L新刊発売
@osana0
貴方はとうふちゃんで『ありふれた日常の中の幸せ』をお題にして140文字SSを書いてください。 http://t.co/aYDhHgPB17 そういう涙腺にくるの、やめろ
2014-01-11 08:57:48
黄鱗きいろ@12/15富士見L新刊発売
@osana0
両開きの窓を開けてふたりは伸びをする。階段。鍋を火にかける。ふわふわと危なっかしく食器を運ぶ。家中にあるスイッチを押し上げる。あちらこちらで何かが起動する音。階段を上る。戸に挟まるとうふちゃんを押し退ける。もうすぐお湯も沸く頃だ。「起きてください、おじいさん。朝ですよ」
2014-01-11 14:21:55
黄鱗きいろ@12/15富士見L新刊発売
@osana0
貴方はとうふちゃんで『最近の発作です』をお題にして140文字SSを書いてください。 http://t.co/aYDhHgPB17 はい
2014-01-12 08:50:44
kiri婦人
@lady_kiricream
少年は老人に一枚の紙を突きつけた。「おじいさん、これはなんですか」「ふむ、受注書じゃな」「そうですね。でもなんですかこの内容は」受注書の真ん中には、小さな顔のついた立方体が何とも言えない顔で微笑んでいる。「こんな、こんな……とうふちゃん人形300体って！」
2014-02-13 10:13:52
kiri婦人
@lady_kiricream
「誰だこんなトンチキな注文かけたのは！どこに需要があるんだ！製造直後から不良在庫じゃないか！」「落ち着きなさいアルカ」老人は箱を閉じながら少年を見る。「おじいさん今からでも遅くありません。悔い改めてこのふざけた注文断ってきてください」「残念ながらそれは無理な相談じゃ」
2014-02-13 10:21:21
kiri婦人
@lady_kiricream
老人は積まれた箱をポンと叩いた。「もう全部作ってしまったからのう」箱の中には無数の立方体がアルカイックな微笑みで詰め込まれていた。「がっ！」少年は天を仰ぎ、「でむ！」顔を覆って項垂れた。隣でキカイリュウもふわふわと浮きながら顔を覆う。ああ、時既に遅し！
2014-02-13 10:25:30
kiri婦人
@lady_kiricream
「あとはもうお届けするだけじゃ！」とても楽しそうな老人の横で、少年はお腹を押さえてうずくまる。「こんなもの売れるわけない……絶対何かの間違いか悪戯だ……今月も厳しいのに……うっ、胃が」「大丈夫かアルカ？食あたりか？」「お前のせいだよくそじじい……」
2014-02-13 10:33:34