ラテン語たんのジオ用語の起源解説
- kobiwa_net
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さて、皆さん、突然ですが「トンボロ」ってご存知です? なんだか焼肉の部位みたいな響きですよねえ。地理学の用語です。日本語では「陸繋砂州」といいまして、砂が積もってできた細長い島が、音符のように先っぽに島をくっつけている、という地形です。函館なんか有名ですよねー。
2014-01-08 23:54:07この tombolo はイタリア語からきた学術用語でして、 ラテン語の tumulus (堆積した土、墳墓) から来ています。「膨れたもの」という原義がわりとわかりやすいですよね。 土の堆積、墳墓、親指、陸繋島。どれも「コロっとしたもの」つながりといいますか、連想がはたらきます。
2014-01-08 23:56:27ところで皆さん。この tombolo という言葉、イタリア語に由来する学術用語です。いいですか、もう一度言います――イタリア語に由来する、学術用語です。
2014-01-08 23:57:47珍しいですね。(発達が近年に限られる一部のものを別とすれば)学術用語はラテン語であるのが普通、という中、なんでまあ、イタリア語なんでしょう。別に地理学がイタリアでものすごーく発展した、とか、そんなことはないと思います。
2014-01-08 23:59:00これ、地理学用語に見られるすごく面白い(そして、ある意味当然の)傾向なんです。 学術用語なのに出どころはバラバラ、ラテン語の影も形も見えないことのほうが多い。
2014-01-08 23:59:49理由はきわめて単純でして――「その地方に特有の地形だったら、地元の言語での呼び名しかない」からです。ラテン語名なんてあるはずがない。
2014-01-09 00:01:05あったかいイタリア半島で暮らしているローマ人が、どうして「氷河に削られた山の斜面」だとか「メキシコに吹く熱風」みたいなものに名前をつけるでしょうか。つけません。
2014-01-09 00:02:33こうして、他の学問が近代に入るまでラテン語で論文を書き、ラテン語の専門用語を生み出し続ける中、地形を示す専門用語だけは言語の博覧会みたいになってました。
2014-01-09 00:03:53いくつか出してみましょうか、日本でもおなじみ「フェーン現象」。ドイツ語のFöhn「アルプスに吹く熱風」です。 …今ささっと調べたら、「風炎」なんていう格好いい当て字を考案された先生もいるとか。
2014-01-09 00:06:20Kar「カール」はドイツ語、 moraine「モレーン」はフランス語。 fjord 「フィヨルド」はスウェーデン語ですね。見事にばらばら。
2014-01-09 00:08:53火山に形成されるカルデラ caldera はスペイン語ですし、 あまちゃんが潜っているリアス式海岸 rias はポルトガルの地域名です。
2014-01-09 00:09:46シベリアや中央アジアの地形・気候はおおむねロシア語です。ツンドラ、タイガ、ステップ、チェルノーゼム、カスタノーゼムなんかもそうですね。
2014-01-09 00:12:18そのほか、季節風の名前なんかはアラビア語だったり…近代以前に成立していた学問とは思えないほど色んな言語の見本市になってます。
2014-01-09 00:16:01タイフーンは中国語由来だとか “@Latina_tan: なお、珍しいところでは「ハリケーン」は「タイノ語」です。今は混血が進んでしまったカリブ海の民族ですねー”
2014-01-09 00:38:39