中学生でも読めるフーコー『性の歴史Ⅰ』(第三章「性の科学」部分)

フランスの哲学者ミシェル・フーコーの著作である『性の歴史Ⅰ知への意志』を中学生でも読めるように要約したもパート4です。
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zutabukuro @ClothSack

つまり、「服従=主体―化」とは、私が他人によって決定され、自分がその決定されたものであると思い込むことなのです。 (続く)

2014-02-17 19:47:29
zutabukuro @ClothSack

今まで見てきた、性に関して体系だって言われたことの増加と変態のカテゴライズは、こうした告白のシステムにより、秘密とされている性の真実を言うことを中心に結びついています。(続く)

2014-02-17 19:47:49
zutabukuro @ClothSack

これは、性愛の術のように性に関する経験から性の真実を導き出すのではなく、逆に性の真実から性を見ているということです。そして、やっかいなことに、告白に基づく真実というものは権力的なのです。 性愛の術と性の科学をくらべてみましょう。(続く)

2014-02-17 19:48:46
zutabukuro @ClothSack

性愛の術の場合、性の真実を伝えるのは先生であり、その利益は生徒にあるという教育のようなものでした。このような形式の場合、話す人が支配する側であって、聞く人が支配される側になります。(続く)

2014-02-17 19:49:01
zutabukuro @ClothSack

これに対して、告白を中心とする性の科学は、性について語す人よりも、それを聞き解釈する人のほうが支配的です。そして、その真実の利益は後者にあります。(続く)

2014-02-17 19:50:01
zutabukuro @ClothSack

ここで重要なのは、前者が先生の偉さをもって性の真実を支えているのに対して、後者は話を聞く人と話をする人の関係性によって真実が支えれているということです。(続く)

2014-02-17 19:50:26
zutabukuro @ClothSack

例えば、あなたが家族に対し性に関することを話しても真実になりませんが、カウンセラーや研究者に性のことを話すのならばそれは真実になるということです。さて、この話を聞く人と話をする人の関係性を作り出しているものは何かといえば、それは権力です。(続く)

2014-02-17 19:50:35
zutabukuro @ClothSack

このような、権力による告白システムのもとに、性に関んする真実、知識を作り出し体系立ててきたのが、今我々が住んでいる社会なのです。(続く)

2014-02-17 19:50:53
zutabukuro @ClothSack

さて、キリスト教から始まったこのような告白システムは、教育、医学、司法と様々な領域へと広がり、性に関する真実を作り出し、その真実から性的行為を規定していきました。その過程で、告白によって語られたことは、集められ分析され巨大なデータベースが作り上げられていったのです。 (続く)

2014-02-17 19:51:37
zutabukuro @ClothSack

分析を担当したのは科学でした。この科学は、告白を分析ますが対象は告白そのものではありませんでした。科学は、告白を分析することで、告白の裏に隠された告白されていないものを対象としていたのです。イメージしにくければ、病院での医者の問診を思い浮かべてみましょう。(続く)

2014-02-17 19:51:54
zutabukuro @ClothSack

医者はあなたの告白を聞き分析しますが、彼らがその対象とするものは告白のうらにある病気ということです。 告白と結びついた科学ですが、最初からこの2つの関係が良好だったわけではありません。(続く)

2014-02-17 19:52:36
zutabukuro @ClothSack

告白は、もともとキリスト教などの宗教的なものであり、科学は宗教を非科学的だとし批判していたためです。 では、どのようにして科学と告白が結びついていったのでしょうか。 まず第一に考えられるのが、「語らせること」の臨床医学のコード化です。(続く)

2014-02-17 19:53:12
zutabukuro @ClothSack

これは、告白の際の質問マニュアルを作るということです。この作業によって、科学実験のようにデータを集めることができるようになったのです。 第二に、すべてに適応可能でしかも拡張した因果関係を公準として立てることです。(続く)

2014-02-17 19:53:51
zutabukuro @ClothSack

告白の中心は性に関する話題だったので、それをすべての原因であるとしてしまったということです。このようにすることで科学は、あらゆる場所で性に関する詳細なデータ(告白)を集めることが可能になりました。データを集めて分析するということは科学的方法の特徴の一つです。(続く)

2014-02-17 19:54:01
zutabukuro @ClothSack

第三に、性現象には本質的に潜在性という特性が内在しているとすることです。簡単に言い換えると、性の真実は隠れていて表面を見ただけではわからない、ということにされたということです。だからこそ、隠れた性の真実を見つける専門家に話を聞いてもらう告白が必要になってきます。(続く)

2014-02-17 19:54:28
zutabukuro @ClothSack

そこで登場するのが、第四の解釈という方法です。告白の場において、性について話されたものは、性の真実が隠れたのものであるため不完全です。そこで、告白の聞き手がそれを解釈し、性の真実を話し手との共同作業によって作り出さなければなりません。(続く)

2014-02-17 19:54:51
zutabukuro @ClothSack

もちろん、この作業の主導権は専門家である聞き手、つまり広い意味での科学者にあり、彼が裏打ちするから告白は真実になるのです。 最後に、告白の効果を医学的レベルに組み込むことによってです。これは、今まで引き出した告白を、医学的に応用していくということです。(続く)

2014-02-17 19:55:28
zutabukuro @ClothSack

告白に登場した性に関する話題は、ある病気のしるしであったり、それ自体が病気であるとされ。告白、つまり問診が治療に絶対必要とされ、告白それ自体(カウンセリング)にも治療効果があるとされていきました。(続く)

2014-02-17 19:55:41
zutabukuro @ClothSack

このようにして、告白と科学は手を取り合い、社会全体に広がり、真実を生産していきました。では、その真実とは何だったのでしょうか。それは、隠されていて、様々なことの原因で、聞き出し解釈が必要なものとされた、「性的欲望」です。(続く)

2014-02-17 19:56:42
zutabukuro @ClothSack

「性的欲望」というと自然にあるものだと思われるかもしれませんが、これは告白と科学がそうであって欲しいと願って作り上げた真実なのです。もちろん、告白の仕組みを整備した権力もこれに関わっています。(続く)

2014-02-17 19:57:11
zutabukuro @ClothSack

ですから、この真実である「性的欲望」は告白や科学(医学が中心)、そして権力に都合が良いようにセッティングされています。 どうやら、性に関して重要であり、様々な思惑が入り混じった特殊な真実である「性的欲望」を考える必要がありそうです。(続く)

2014-02-17 19:57:50
zutabukuro @ClothSack

もちろん、これは作り上げらた真実であるため、現実がどうだったかよりも、それに関してどのようなことが体系だって言われ、展開されたかを分析する必要があるでしょう。(続く)

2014-02-17 19:58:01
zutabukuro @ClothSack

この分析に関するある仮説を出しておきましょう。以前、告白には「服従=主体―化」という作用があると書きました。主体、つまり私がここで登場するわけですが、この私についての仮説です。(続く)

2014-02-17 19:58:36
zutabukuro @ClothSack

その仮説とは、性に関する告白が広まった18世紀以降、性が自然に持っている性質ではなく権力の策略によって、私というものの中心には性(性的欲望)があるとされるようになったのではないか、というものです。私というのが分かりにくければ、私を人間の心と置き換えて考えてみてください。(続く)

2014-02-17 19:58:53
zutabukuro @ClothSack

さて、ここで性愛の術と性の科学をもう一度見てみましょう。実は、性の科学にも性愛の術の性を楽しむこと(気持ちのよいこと)に似た側面があります。告白がキリスト教を中心としていた時代には、宗教に基づく楽しみがありましたし、その後登場した科学にもどうやらあるようなのです。(続く)

2014-02-17 19:59:30