患者さんの御理解を頂くことの難しさと、Bad Newsを伝えることの研鑽
- inakashoge
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まだ経験数年のペーペーがどんなことを考えているかについて呟くので、色々な職種の方の率直な意見をお聞かせ願えれば幸い
2014-03-07 11:13:10対象は患者本人の場合もあるし、家族に対しての場合もある 信頼関係ができていれば話しやすいが、特に家族の場合など初対面で離さざるを得ない場合もあるので、「多分どんな場合でも、これに気をつけることはマイナスにならないとAprilは思っている」と考えていただければ
2014-03-07 11:14:54尚、「余命を告げるべきかどうか」はここでは述べない 様々な理由で「これは余命について話したほうがいいだろうなー」と思った時に気をつけること
2014-03-07 11:15:511)SHAREは非常に有用 これは必ず目を通しておくべきだし、講習会も一度受けて損はないと断言できる 自分もよく忘れがちだが、Sは大事 例えば回診中などにヘビーな話に話が行くことは少なくない その時「ちょっと場所を変えてゆっくり話してもいいだろうか」との提案は忘れないようにする
2014-03-07 11:18:092)「なぜ、この人に余命の話をしようと思ったのか」は明確にしておく 本人が聞きたがったから(聞きたいのはなぜ?)、家族の解釈モデルと現状に大きな差があるから(それぞれはどのような状況?)、本人が是非叶えたい希望があるから など
2014-03-07 11:20:153)話を伝える対象の解釈モデルを確認する 2)で解釈モデルの差から話をする必要がある場合にはとくに重要である 「長くはないと思っている」という言葉の時はAprilは『具体的な期間でいうとどれくらいと考えておられますか?』と酷な質問をするようにしている(続く)
2014-03-07 11:23:38(続き)なぜなら、この数年の経験で「長くはないと思っている」の裏にある解釈モデルが 長い場合は1~2年 短い時は1日 と非常に幅があったからである 「考えたこともありません」という返答に対しては『今考えていただけますか?』や『例えば次の正月はどんな感じだと思いますか?』と加える
2014-03-07 11:25:394)解釈モデルと現状に差があるからといって患者・家族に腹を立ててはならない 医学の専門教育を受けている我々ですら余命推測はよく外す 一般の方が常に当てられるわけなどない 一度の説明で理解できる頭は我々ですら持ち合わせていない 希望的に考えたがることは当たり前(続く)
2014-03-07 11:28:16(続き) そもそも癌という病気に対する認識すら「治る病気」から「不治の病」までレンジは広い なにより、仮に腹を立てたところで、それで自分の説明が上手になるわけでもない
2014-03-07 11:29:435)前医にも腹を立ててはならない 説明不足とは限らない 1回の説明で理解させられるとは限らないことは部下に対して自分が教育した経験を思い出せば明らかであろう 「長めに伝える」哲学をお持ちかもしれない(多くの場合、患者を思いやってそのような選択をしている) (続く)
2014-03-07 11:31:54患者・家族から伝えられた説明の内容は、前医の説明そのままとは限らない なにより、仮に腹を立てたところで、それで自分の説明が上手になるわけでもない
2014-03-07 11:32:476)現状の確認を両者で共有する 自分で動ける範囲がどう変化したか 食欲はどうか 呼吸困難はあるか、むくみはどうか、せん妄(意識障害)はどうか などを確認する(PPS/PPIの項目を中心に) 特に余命が週単位の場合、この段階で状況が悪いことが伝わることもある
2014-03-07 11:37:027)伝えなければならない話は言葉を置き換えたり、濁したり、長めに言ったりせず率直に正直に伝える 「残念ながらこの病気は治すことはできません」「あなたはこの病気を原因にお亡くなりになると思います」(続く)
2014-03-07 11:39:17「余命をピンポイントで推測することは困難ですが、大体のお話をさせていただくことはできます。1年○●さんが生きられたとしたら、色々なことが旨く行った時だと思います。多くは月の単位…数字でいうと3~5くらいが一番ありそうな範囲と考えます」(続く)
2014-03-07 11:41:02「先ほど確認させていただいた状況は、全て余命を推測する上では悪い方向に向ける情報です。私は非常に厳しい数字を告げなければなりません。おそらく今の状況は余命を月ではなく、週で数えるべき時期に来ていると考えます」「~をするならば、予定を少し早めることがいいかもしれません」など
2014-03-07 11:42:388)告げた後の感情の支えを十分に行う とはいえ、これは本当に千差万別で難しい 面談室で何らかの形で爆発してくれる方が、むしろ医療従事者としては難易度は低いとすら思う 当院では可能ならば説明に看護師に同席してもらうが、何らかの理由で不可能な時は必ずリーダーに報告する必要がある
2014-03-07 11:44:419)自分がした説明を覚えていない・理解していないと腹を立てない 単に自分の説明が下手だっただけかもしれないし、最初の方で頭が真っ白になってしまいその先を覚えていないかもしれない 防衛機制としての表れかもしれない 話の内容上、伝えた内容の再確認が困難な場合があることも覚えておく
2014-03-07 11:48:43感情のフォローについて よく使うのは ・今までしてきたことは間違いではないと伝える ・あなたは今も頑張っていることは我々はよくわかっていると伝える ・これからも今までと変わらず支えていくつもりがあることを告げる ・前医や、今まで行ってきたCAMの批判は絶対にしない
2014-03-07 11:52:464月27日追加分
「先生の話はわかりやすくて、安心することができた」と言われた。 別に自慢話じゃないよ。オイラのTwを見てるような物好きな若いお医者さんがもしいたら秘訣を教えてあげよう。 『医者語』をね、『(普通の)日本語』に翻訳してるだけなんだよ。
2014-04-27 13:53:18大きな病院で働いているとね、知らないうちに『医者語』しかしゃべれなくなっちゃうんだよ。そうして患者さんや家族の皆さんとだんだんコミュニケーションが取れなくなっていく。だからね、『医者語』を『日本語』に翻訳する習慣を作らなきゃいけないんだ。(そんなに簡単なことじゃないよ)
2014-04-27 13:56:06@hanamichi_kaede 『医者語』と『(普通の)日本語』の乖離は結構自覚することが難しいのですが、他の医師が説明しているところに同席すると、専門用語を噛み砕かずに説明していることがよくわかりますね。それに気が付くと外来診察の進行もスムーズになります。
2014-04-27 18:26:53@inakashoge そういうことなのだと思います。そういうことに気付くかどうかだと思います。ラポール形成には共通言語が必要であり、医師側が普通の日本語で話す努力をしなければ、難しいですよね。
2014-04-27 20:29:27