複素平面の基礎

複素平面は複素数で座標を表す。 複素数の掛け算は原点からの距離をかけて仰角を足す。 複素数は回転を表せる。 行列での表し方。 四元数(おまけ)
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黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。そして、a=cos θ、b=sin θ、c=cos φ、d=sin φ の場合に行列と複素数で同じ計算をもう一回やってみる。そのときに三角函数の加法定理を使う。2×2行列を知っている受験生は「複素平面」の話を恐れる必要はないです。行列の形式で本質的内容をすでに習っています。

2014-03-01 18:42:19
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

https://t.co/HgGf9H54a0 のあたりの連ツイの話については、2つの行列 [a -b] [b a] [c -d] [d c] の積と2つの複素数の積 (a+bi)(c+di) を比較してみるとよいとよいと思う。どちらも「同じ型」になる。続く

2014-03-01 18:38:52
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。e^{iy}=cos y + i sin y をどのように確認するかが問題になりますが、よくあるやり方はマクローリン展開 e^z = Σ z^n/n! に z=iy を代入することです。やってみたことがない人はやってみるとよいでしょう。

2014-03-01 17:41:36
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。高校生レベルの複素平面の話に戻る。高校で e^x という実数 x の函数について習います。実は解析接続という自然な方法でこれを複素数 z の函数 e^z に拡張でき、実数x,yについて e^{x+iy}=e^x(cos y + i sin y) が成立します。続く

2014-03-01 17:38:51
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。実は以上で述べたことも役に立つことがよく知られていて易しい話にすぎないのですが、あとほんのちょっと足を踏み外すだけで「トテモオモシロイセカイ」に突入してしまいます。そういうのに興味がある人は大学院レベル以上の数学を勉強してもらうしかない感じ。

2014-03-01 17:32:50
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。大体において数学の話は、算数レベルから高校レベルの易しいことのほんのちょっとわきにそれるだけで、結構複雑で数学者が面白いと思うような世界に突入してしまいます。高校までの数学のカリキュラムは役に立ってかつ易しい部分についてだけ教えるほそ~い道を通らせるようになっている。

2014-03-01 17:30:30
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。面倒なので理解可能な説明をサボってしまいますが、3次元空間の回転を実3×3行列ではなく、複素2×2行列(もしくは一つの四元数)でちょっとややこしく表現することにはメリットがあります。そのメリットについても説明をサボりますが、人工衛星の制御なんかでも使われているらしい。

2014-03-01 17:26:00
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。3DCGをやっている人は、3次元空間の回転が実数を成分に持つ3×3行列で表現可能なことを知っているはずです。実は3次元空間の回転は複素数を成分に持つ2×2行列 [ z -w^*] [ w z^* ] でも表現可能なのです。ここで、|z|^2+|w|^2=1です。

2014-03-01 17:22:36
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。複素数と平面の回転の関係は、実は四元数と3次元空間のあいだのちょっと非自明な関係に拡張できます。スピノルという用語が使われることがある。数学科の学生は SU(2) という名前の群を習いますが、実はその話になります。

2014-03-01 17:20:25
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。複素数 z と w の虚数単位が j になっていることに注意。q=z+iw に対応する行列を [ z -w^*] [ w z^* ] と定めると色々つじつまが合っていることが容易に計算で確認できます。ここで z^* は複素共役。(a+cj)^*=(a-cj)

2014-03-01 17:17:52
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。任意の四元数 q = a+bi+cj+dk (a,b,c,dは実数)は q=z+iwと複素数 z=a+cj, w=b+dj を使って表わされます。i(b+dj)=(b-dj)iに注意。複素数を実数を成分に持つ2×2行列で表現できたのと同じことをできます。続く

2014-03-01 17:14:35
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

おまけ。以上の話は四元数への単純な拡張があります。複素数が i^2=-1 で構成されるのと同様に四元数は i^2=j^2=k^2=-1, ij=-ji=k (残りは略してよい)で構成されます。i,j,kたちについては掛算の順序を勝手にひっくり返さないように注意して下さい。続く

2014-03-01 17:03:47
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続く。以上の話を知っていればあとは自分で他にどのような良いことが起こっているかを確認する散歩をするだけです。多くの人が数学の勉強で失敗するのは手間のかかる散歩をさぼるからだと思います。とにかく時間が大量に取られる感じで、上手にナビゲートしてくれる人や本を見付けた人はラッキーかも。

2014-03-01 16:58:37
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。I = A(i) は i^2 = -1 をみたす i と「同じもの」とみなせるという話をしているのだからが、当然 I^2 = -E となるべきであり、実際にそうなっているわけです。これで、複素数と実数を成分に持つ2×2行列も繋げることができました。続く

2014-03-01 16:55:38
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

たとえば、虚数単位 i に対応する行列 A(i) は [0 -1] [1 0] になります。 I = A(i) とおきましょう。Iの2乗 I^2 を計算してみて下さい。 I^2 は単位行列 E の -1 倍になります。 I^2 = -E です。続く

2014-03-01 16:53:10
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。この「同じもの」とみなす操作は、特殊な複素数 cos θ + i sin θ から、一般の複素数 x + iy まで自然に拡張されます。 z = x + iy に次の行列をさせればよい。 [x -y] [y x] この行列を A(z) と書きましょう。続く

2014-03-01 16:50:53
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。ぼくが見た高3の教科書には行列 R(θ) は平面の角度θの回転を表現していることがしっかり書かれていました。実はこの行列 R(θ) と複素数 cos θ + i sin θ と「同じもの」だと思えます。どちらも掛算によって平面の角度θの回転の表現になっている。続く

2014-03-01 16:47:17
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。さらに、行列の話を知っていれば、複素数の掛算で平面をくるくるまわす話と、行列で回転する話を関係付けることもできます。ぼくが見た高3の教科書には次の行列が書いてありました: [cos θ - sin θ] [sin θ cos θ] これを R(θ) と書きましょう。続く

2014-03-01 16:43:43
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。複素数の掛算が複素平面上でのx軸の正方向とのなす角度については足算になるということは、複素数の掛算で複素平面の回転を表現できることを意味しています。平面をくるくるまわす様子を想像できる人は複素数の掛算も直観的に理解できる。これで複素平面の話はおしまい。続く

2014-03-01 16:40:56
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。練習問題:上と同様にして z^6=1 を満たす複素数 z をすべて求めよ。 答:α_k = cos(2πk/6)+i sin(2πik/6) (k=0,1,2,3,4,5). α_kを6乗は平面上の単位円周上をk回転して平面上の点(1,0)に到達する計算になります。

2014-03-01 16:38:11
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。これで i の平方根が2つ求まりました。 α=cos 45° + i sin 45° と β=cos 225° + i sin 225° の2つです。地道な計算は一切必要無かったことが大事なポイントです。続く

2014-03-01 16:32:11
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。先に述べた問題の結果から角度 θ の2倍は 90° にならなければいけません。より正確にはぐるんと360°余計にまわったり、もしくは右回りにまわって 90° の場所に達するかもしれないので、求めるθは45°と225°の2つになります(360°の違いは無視できる)。続く

2014-03-01 16:29:22
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き~平面上の点は、原点からの距離の2乗が1になるような点でなければいけません。そのような点への原点からの距離は1になります(あたりまえ)。次に2乗してiになる複素数に対応する点の x 軸の正方向とのなす角度θについて考えましょう。続く

2014-03-01 16:26:30
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続く。たとえば応用として i の平方根を計算に頼らずに図形的な直感だけに基いて求めてみましょう。i に対応する平面上の点は(0,1)です。原点からの距離は1でx軸の正方向から角度90°=π/2まわった方向に位置しています。だから2乗して i になる複素数に対応する~続く

2014-03-01 16:23:42
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

続き。複素数の計算は i^2=-1 というルールさえ覚えておけばできるのですが、複素平面を通して視覚的に解釈してやると、複素数の掛算は「原点からの距離をかけて、x軸の正方向との角度を足す」という幾何学的に分かり易い操作であることがわかるのです。大事なので繰り返した。続く

2014-03-01 16:20:56