原発事故による過剰癌死数の見積もり

低線量放射線による過剰癌死数の見積もりは「被曝線量評価」と「リスク係数の選択」の2ステップで行えますが、被曝線量評価が複雑で常に不確実性と隣り合わせです。被曝線量評価については信頼出来そうな論文や、専門家の方の意見を参考にしました。リスク係数の選択は前作まとめに続いてBEIRⅦ、ICRP、UNSCEAR、ゴフマンの4つで比較しました。 被曝線量でより正確なデータをご存じの方がいましたらコメント欄で指摘して頂けるとありがたいです。より良いデータに置き換えていくことで見積もりの精度を高めていけます。日本は核災害が起きた当事国ですから、世界の研究機関が行っているように過剰癌死数を見積もる努力をして、放射線防護に役立てて行くべきだと考えます。
震災 原発 放射線 beir 福島 ゴフマン ICRP UNSCEAR リスク係数 チェルノブイリ 被曝
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前作まとめ
まとめ BEIRⅦ、ICRP、UNSCEAR、ゴフマンのリスク係数比較 世界の研究機関が広島・長崎の疫学データをもとに放射線による過剰発癌、過剰癌死の「リスク係数」を算出しており、核災害が起きた当事国の日本でもこれらのデータを参考にして放射線防護に役立てるべきと考えてまとめました。 6899 pv 194 2 users 7
スカルライド @skull_ride
BEIRⅦ、ICRP、UNSCEAR、ゴフマンのリスク係数比較 http://t.co/3MUj72bgPQ
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Cardisらによるチェルノブイリ事故の過剰癌死予測
スカルライド @skull_ride
(1)2006年のCardisらの論文によるとチェルノブイリ事故に起因する低線量被曝により、2065年までにヨーロッパで14100人が過剰癌死(白血病、甲状腺癌、皮膚癌を除く)すると見積られています。 http://t.co/4GJkVAu4Y5
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(2)この論文では初期被曝はUNSCEAR(1988)をもとに、その後の被曝線量はヨーロッパにおける種々のモニタリングプログラムをもとに算出しています。ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの被曝線量はUNSCEARやチェルノブイリフォーラムのレポートを参考にしています。
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(3)そしてこの論文では、リスク係数はBEIRⅦのものを使用しています。(つまりDDREFは1.5)
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(4)Cardisらはディスカッションの中で、こういった推計は不確実性を伴うものの公衆への健康影響を考える上で有用だと述べています。ヨーロッパ全体で何万もの発癌が予測されることで核災害の重要性が認識できるようになります。
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(5)一方でCardisらはチェルノブイリ事故に起因するであろう発癌は、それ以外を原因とする発癌と比べて非常に少ないということも同時に認識するべきであるとも述べています。(ヨーロッパ全体の癌のうちおよそ0.01%)
Cardisらの過剰癌死予測を検算し、他のリスク係数で比較
スカルライド @skull_ride
(6)Cardisらの論文では個人の平均被曝線量から癌死予測を行う手順の記載が省略されていますが、必ず被曝線量評価→リスク係数の選択という手順を踏んでいるはずなので検算してみます。
スカルライド @skull_ride
(7)ヨーロッパ全体の個人の平均積算被曝線量を0.5mSv、対象人口を5億7220万人と設定しているので、集団線量(預託)は0.5mSv×57220万人=28万6100人・Sv。
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(8)BEIRⅦの固形癌のリスク係数は全年齢・男女平均で10万人・100mGyあたり510人の癌死→19.6Svで1人の癌死(およそ20Svで1人の癌死) http://t.co/dcH3aFe1i9
スカルライド @skull_ride
(9)集団線量をリスク係数で割ると過剰癌死数は286100÷19.6=14600人(20Svで割ると286100÷20=14305人)となりほぼ再現できました。
スカルライド @skull_ride
(10)チェルノブイリ事故(集団線量28万6100人・Sv)による過剰癌死数をBEIRⅦ、ICRP、UNSCEAR、ゴフマンのリスク係数でそれぞれ見積もりました。 http://t.co/Ec8qIRpWRz
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ゴフマンのチェルノブイリ事故による過剰癌死の見積もり
スカルライド @skull_ride
(11)ゴフマンはチェルノブイリ事故の集団線量を127万4000人・Sv(1億2740万人・ラド)と予想しており、専門家の一致した意見だったようです。後に集団線量を下方修正する動きがあったとゴフマンは指摘しています。 http://t.co/UPXugtXekm
スカルライド @skull_ride
(12)先ほどのCardisらの論文の集団線量28万6100人・Svとは約4.5倍の開きがあります。そしてゴフマンの固形癌のリスク係数は2.68Svで1人の癌死(およそ2.7Svで1人の癌死)なので、1274000÷2.68=47万5300人の過剰癌死が見積られます。
スカルライド @skull_ride
(13)過剰発癌数は過剰癌死数のおよそ2倍になるので(BEIRⅦのリスク係数でも約2倍になっています)、過剰発癌は47万5300×2=95万人となります。これが有名な「チェルノブイリ事故で100万人が発癌する」の算出根拠。
スカルライド @skull_ride
(14)95万人の過剰発癌といっても、ヨーロッパ全域で何十年にも渡っての過剰発癌なので統計学的有意差の範囲内の出来事です。小児甲状腺癌以外は有意な発癌はなかったとするUNSCEAR報告と何ら矛盾はありません。
スカルライド @skull_ride
(15)チェルノブイリ事故(集団線量127万4000人・Sv)による過剰癌死数をBEIRⅦ、ICRP、UNSCEAR、ゴフマンのリスク係数でそれぞれ見積もりました。 http://t.co/GegG8F6ylE
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UNSCEAR2013年報告を参考にした福島原発事故による過剰癌死の見積もり
スカルライド @skull_ride
(16)朝日新聞の医療記事(asahi apital)によるとUNSCEAR2013年報告では福島原発事故における日本人の集団線量(全身)はチェルノブイリの約1/10と推計されています。 http://t.co/Xa5ilHsZ8s
スカルライド @skull_ride
(17)全身の集団線量がチェルノブイリの1/10ならば、チェルノブイリの1/10の規模で過剰癌死が発生すると考えるのが合理的でしょう。
スカルライド @skull_ride
(18)先ほどのチェルノブイリにおけるCardisらとゴフマンの集団線量予測を1/10にすると、それぞれ28610人・Svと12万7400人・Svになります。
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