「千の想いを」~第二章・交錯・分岐イベントA1~
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mamiya_AFS
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伊吹の肩と手は、小刻みに震えていた。 だけど目は。大きな瞳は部屋にいる全員を順番に見詰め、一瞬たりとも惑わない。
2014-03-05 05:14:15![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@AC_ALC_IBUKI @tiyodadayo …ただ痛いのを我慢すればいい訳じゃないわよ。限界はあるし、何より相手の殺意を真っ正面から浴びるってことなんだから
2014-03-01 22:48:37![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
この中で1番実戦を経験している夕張の言葉には、響きの中に言葉以上の重さを含んでいた。 伊吹もそれは感じたらしい。 それでも、伊吹は瞳を伏せなかった。
2014-03-05 05:14:46![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@Yubari_Yasaka @tiyodadayo わかってます……でも…いやなんです……私、今までずっと湾内にいて…その間みなさんが苦しんで…戦って……
2014-03-01 22:50:11![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
違う。 違う。 この子の肩は、恐怖で震えているんじゃない。 この子の手は、戦う事に対して震えているんじゃない。 伊吹は。
2014-03-05 05:16:55![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@Yubari_Yasaka @tiyodadayo それなのに…空母って理由だけで艦隊の後方にやられるのは嫌なんです…
2014-03-01 22:57:27![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「伊吹…」 自分専用の艦載機すらもらっていない子が、戦おうとしていた。 自分の為なんかじゃなく、ただ誰かを守りたいが為に。
2014-03-05 05:18:14![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
がたり、と音を立てて天龍が立ち上がる。 そうね、甘く見ていたわ。 赤城さん、本当に将来並ぶかも知れないわよ、この子。
2014-03-05 05:19:21![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
テーブルに片手の平を置き軽く跳び越えてから、天龍がまっすぐ近付いてくる。 あたしにではなく、隣の伊吹の方へと。 「ふざけないで天龍」 言葉は、自然と口から漏れた。 伊吹を、死なせるわけにはいかない。 顔を上げて、隻眼の艦娘を睨む。
2014-03-05 05:24:30![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
腕を、伸ばす。 歩み寄る天龍と座ったままの伊吹の間を遮る。 「もう一度言うわ。ふざけないで天龍。伊吹は絶対に死なせない」 あたしがどうにかしないといけない。 眼帯に覆われていない金の瞳が、刃のように鋭く細まる。
2014-03-05 05:27:49![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
伊吹に覚悟があろうと才能があろうと、無理に決まってる。 天龍がどれだけ強かろうと、不可能を可能にできるわけがない。 「伊吹をあんたに任せるなんて、あたしが許さない」
2014-03-05 05:30:31![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「あんたじゃ伊吹は守れないって言ってんのよ! 伊吹はあたしが守る、死なせない! あんたに教えるのを任せられるわけがないでしょ! 航空機も操れないくせに! あんたは先頭で頑張ってりゃいいのよ。それだけが脳でしょ」
2014-03-05 05:33:01![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
天龍の瞳が驚きに大きく見開く。 あたしの剣幕にか、言葉の内容にかはわからない。あるいは両方か。 「あんたはあんたにしか出来ない事をやって。あたしもあたしにしか出来ない事をするから」
2014-03-05 05:37:16![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「ええ。 いいわよ、行くわよ、行ってやるわよ。 あたしは第十五支援艦隊の、このメンバーの1人なんだから!」
2014-03-05 05:38:48![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
あっさりと引き下がる親友に、指を突き付ける。 「いい? 大口叩いておいて、真っ先に倒れたりしたら容赦しないからね!」
2014-03-05 05:43:40![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
天龍が、右手を小さく挙げる。 「ふんだ。悔しいけどあんたが頼りなのよ、相棒」 その手の平を、あたしは右手で叩く。 伊吹が「おおー」と小さな声で感嘆の声を上げた。
2014-03-05 05:47:59![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@tiyodadayo 「そうよ~、千代田ちゃんの言うとおり。ねえ、天龍ちゃん。私達は…勝てる戦いしかしてこなかったでしょう? 相手をよく見て、引くところは引いて。だからまだ、私達はここにいるの。…よく見て。この艦隊は勝てる艦隊かしら~?」
2014-03-01 23:17:34