アイデンティティ・ポリティクスへの警戒 - 部落解放同盟での経験から

「差別者にも、被差別当事者にも、もののわからんアホがおるのだわ。その話をしたい」
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あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

少数派なのだから優先されるべき発言権があり、多数派は後ろに下がるべきという関係性が一旦構築されると、それはどこまでも原則化されて固定化し、エスカレートして、生き生きとした交流を妨げてしまう。そういう現実を、私は体験した。 @ndoro4

2014-04-08 03:49:00
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

同和教育にあたる良心的な教師ほど、解放同盟からの圧力に真面目に応じて苦しんでいた。識字教室や動員や学習会でへとへとになりながら、身をすり減らして献身していた。上手な理屈だけ覚えたら、そういう人たちを従属させることが出来ることを学んでいた。 @ndoro4

2014-04-08 03:49:24
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

うまく作られた解放理論を口先だけで唱えれば、名士になれた。教育委員や校長たちは心にもないきれい事を述べていれば安泰だった。真剣に受け止めた教師だけが苦労を背負い込み、解放理論を知らない庶民は糾弾闘争で吊るし上げられた。 @ndoro4

2014-04-08 03:50:07
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

私は学がなくて、論理的に考える力に乏しいので、体験をベースにものを見ることしかできない。個人の体験など狭いものだから、自分の意見が必ず正しいとまで言い切る自信はない。けれど、明秀先生の言葉も、どこか抽象的で地に足がついていない気がしてしまう。 @ndoro4

2014-04-08 03:50:32
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

先生は、差別というのは、「あらゆるものを奪われた」状態に対して名づけられるものと言った。私はちょっと危険な考えだと思い、文学的修辞じゃなく、文字通りの意味でですか?とたずねた。 @ndoro4

2014-04-08 03:51:00
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

先生から、「文学的修辞も混ざっていますが、文字通りの意味です」との回答があった。「あらゆるもの」とはなんだろう、そんな無限定な定式化は、万能論に行き着いてしまわないか。あらゆるものを奪い返す運動は、全能の力を持たないか。 @ndoro4

2014-04-08 03:51:25
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

それで間違ったのが部落解放同だと思っている。部落民もあらゆるものを奪われた状態だといい、すべての不利益が差別であり、これとたたかうことは正しいことだとして、無茶苦茶な要求を並べ立てて力ずくで奪い取ろうと(主観的には奪い返そうと)した。 @ndoro4

2014-04-08 03:52:14
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

極論は恐ろしい。文学的修辞ならそういうものとして受け止めてもよいが、現実的にそうだと言われると、それは違うだろうと、私は言わざるを得ない。アイデンティティ・ポリティークは必要だと思う。しかし万能ではない。用い方が、本当に難しいと思う。歯止めが聞きにくいのだ。 @ndoro4

2014-04-08 03:53:08
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

私は結局、解放同盟を除籍となった。というか、同盟員再登録が出来なかったのだ。ある年の運動方針の起案を任され、私は解放同盟中央本部の指針に従ってそれを書いた。暴力と利権を内部から追放しようという、ようやく出てきた理性の声がそこにあった。 @ndoro4

2014-04-08 03:53:36
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

私は方針案に「地域にも利権と暴力が存在する、これを克服して前進しよう」と書いた。支部長会でその方針案が了承された。総会当日、これまで出てこなかったボスが出席した。私は運動方針を朗読した。そしていよいよ問題の箇所に差し掛かった。 @ndoro4

2014-04-08 03:54:01
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

解放同盟員でもない人々の確定申告を、解放同盟から提出してカスリを得ていた幹部。選挙で現金を配りまくった幹部。解放同盟の力で固定資産税を負けさせると騙してビル一軒をかすめとった幹部。そういった行動を中央本部はもう許さないのだと心に思い、読み上げた。 @ndoro4

2014-04-08 03:54:32
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

たちまち朗読をやめろと怒鳴られた。なんだそれはと喚かれる。姫路のどこに利権があるんじゃいと怒鳴る。ありますよ、それはあんたでしょと言いたかったが、言えなかった。総会は流会となり、運動方針を書き直しさせられ、それがすむと私は専従をクビになった。味方はいなかった。 @ndoro4

2014-04-08 03:55:34
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

少数派にも多数派にも、理性でまっとうに考える力のある人と、その力のない人がいる。考える力のある人の発言がよく聞かれて行き渡るなら良いが、実際の運動はそんなものではない。場を仕切る力を握るのは、いつでも権力欲の強い人物なのだ。 @ndoro4

2014-04-08 03:56:05
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

「マイノリティとマジョリティが対等に意見を戦わせることのできる「平場」を作ろう」ここに希望があると思う。「社会がマジョリティに有利に作られている以上、マイノリティの主張を優先してやっと対等になる」もそうなんだろうけれど、やはり足踏みする。 @ndoro4

2014-04-08 03:56:46
あざらしじいさんアンチヘイト泥憲和 @ndoro4

美しくつくられた理論は、観念の世界ならうまく働くだろう。しかし現実に移植すると悪魔化することもある。あまりにも理念的な運動は、現実的ではない。理念と現実とがうまくフィードバックし合えばよいのだけれどと、願う。もう少しうまくかけるかと思ったができないので、ここまでにしておこう。

2014-04-08 03:58:19