理研の小保方さんの件について労働契約における懲戒処分の解説
- ChihiroShiiji
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労働契約法15条「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」
2014-04-10 22:12:28この「使用者が労働者を懲戒することができる場合」とは、懲戒処分の規定が存在していることとされています。これは労働者が企業秩序を乱した場合、使用者に懲戒権が認められるわけですが、何のルールもなく懲戒できるわけじゃないことをうたっているものです。
2014-04-10 22:13:04もちろん、規定があればいいというものではなく、行為の存在とその行為が規定の適用を受けることが必要となります。この場合、一般的には、Aという行為は規定に該当するがそんな行為やっていない、という争い方と、Aという行為はあったが当該規定に該当しない、という争い方の2つがあります。
2014-04-10 22:13:37今回の小保方さんの弁護団の主張は、後者ですね。ですので、私は懲戒処分となった場合、弁護団が言っているとおり、「不正研究」に該当するかどうかが最大の争点となるだろうと述べました。至極普通のことを言っただけです。
2014-04-10 22:14:45そして、懲戒は、実は懲戒該当行為があれば即有効となるわけではなく、「社会通念上相当であると認められない場合」は無効となることがあります。これは情状、手続、その他諸々の要素を勘案して、「重すぎる」場合に無効となる余地を含むということです。
2014-04-10 22:15:16小保方さんの場合は、自分の主張をちゃんと聴いてもらっていない、と言っていますね。これは、懲戒の場合、告知聴聞をするのが原則なので、それをされていないという主張です。これは「社会通念」のところに影響があります。要するに、処分する前に弁明をちゃんと聴きましょう、ということです。
2014-04-10 22:15:55ただ、これから企業内の規程における不服申立手続があるようなので、もし訴訟となった際にはこの部分は争点から外れるような気がします。不服申立手続の中で十分に言い分を展開するものと考えられるからです。
2014-04-10 22:16:30この点、私は科学的な素養がないのであくまでも推測となりますが、たとえば、例の論文のSTAP細胞の理論が正しいものだったと判明した場合、画像の「取り違え」という言い分は、理論が正しくないものだった場合と比して、認められやすくなるでしょう。
2014-04-10 22:17:37もちろん、本論が正しくても、「画像を取りちがえることは考えられない。わざとだ。だから不正だ。」という論も立ちますので、そうであればダメです。
2014-04-10 22:18:47このように懲戒処分の効力の有効性は、色々な要素を総合的に判断されるので、イメージと異なる結論が出ることもあります。なので、マスコミ報道レベルで、あれやこれや論評した気になって、結論はこうなる!みたいなことを言ってもあまり意味がないわけです。
2014-04-10 22:19:32