学びのための評価
うは。Assessment for Learning: why, what and howというDylan Wiliamの講演録がめちゃ面白かった。AfLがなぜ重要かってのと、具体的にどうやればいいのかを述べている。実に明快。
2014-05-04 10:13:50生徒の達成度を上げたいなら教員の質を上げること、教員の行動を変えることが大事。そのためには(クラスサイズの縮小などより)振り返る時間の余裕を与えることが効率的。また教員同士で学び合うグループを作って月一ぐらいで話し合うのがよい。
2014-05-04 10:18:40教員の行動をどう変えるか?生徒を(選択的にでなく強制的に)参加させることと(pedagogies of engagement)、生徒の学びの状態に合わせて調整していくこと(pedagogies of contingent)が重要。
2014-05-04 10:21:35で、そんなAfLを実現するための五つのストラテジーと、それをさらに具体化したいくつかのテクニックを紹介している。これがまた面白い。
2014-05-04 10:23:18同僚と仕事のことゆるく話し合うサークルを校内に作りたいと思って、じっさい不定期にお茶会を開いたりしてたんだけど、そういう方向性は間違ってないよなーと思った。
2014-05-04 10:27:12いろいろ読んだ論文の中で「教員としてこれ知ってたらイイよね」とか「こんな研究あるんだ、面白いね」っていうやつを簡単にまとめて、研修報告として共有したらいいかもしれないなあ。「おっ」てやつは既にけっこう自分でまとめを作ってあるし。
2014-05-04 10:29:40やりすぎるとウザいかも知れないけど(^_^;) でもそういうの出したらappreciateしてくれそうな同僚が複数思い浮かぶので、いい職場に勤めてると思ふ。
2014-05-04 10:33:00昨日のWiliam2006の続きでAssessment for Learningの五つのストラテジーとそれを実現するためのテクニックを紹介してみる。
2014-05-04 20:11:00その一、成功の基準と学習の意図を明らかにして共有すること。生徒の作品に注釈をつけたものを(匿名で)紹介したり、学習した範囲でテストの問題と解答を作らせたりするとよい。特にテスト作成は効果的。(やっぱりね!)
2014-05-04 20:15:32その二、学んだことの証拠を引き出すようなタスクやディスカッションの工夫。たとえば四択、五択の設問に対して教室のすみなどに別れて集まり、同じ答えを選んだ同士で自分たちの答えの正当化を考えさせるとか。どれか選ばなきゃならないし、誰が正しく理解できているか、一目でわかる。
2014-05-04 20:20:52その三、学習者を前に進ませるようなフィードバック。たとえばコメントオンリーのフィードバック。間違いがあることだけを指摘して、どこをどう直すかは自分で考えさせるなど。どれぐらいの負担をかけるかは生徒の力を見て判断する。(scaffoldingですね!)
2014-05-04 20:23:07単元の最後ではなく3/4のところでテストを行うのも良い。それによって軌道修正して、途中のテストでイマイチだった子がずっとできてる子と同じグレードを取れるかもしれない。これは競争的な発想に慣れてると不公平に感じるかもしれないが、車検みたいなものだと思ってみなさいとのこと。
2014-05-04 20:27:26その四、生徒を互いの学びのリソースとして活用する。例えば課題の提出前に必ず完成させねばならないチェックリストを作り、この確認とサインをピアでやらせる。課題にチェック漏れなどの問題があった場合は、チェックした生徒の責任になる。(これは簡単にできそうだし面白い)
2014-05-04 20:29:17その五、生徒を自分の学びのownerにさせる。机の上に表が緑、裏が赤のディスクを全員がおいておき、わからないことが出て来たら裏返して赤を見せる。教員は赤を見たらディスクが緑の生徒(わかっている生徒)を指名して説明させる。これは自分の理解をモニター=メタ認知をさせることでもある。
2014-05-04 20:32:30このディスクは面白いな。やってみたい。わからない生徒を取りこぼさないし説明させられるからわかったふりもできないw けっこう負荷はかかりそうだけど。分単位でのassessment for learningだよね。
2014-05-04 20:34:46Flowという概念を考えた心理学者は、flowの状態になるには能力と課題のレベルがマッチしていることが重要だと言っている。能力>課題なら退屈になるし、能力<課題なら疎外されて、やる気をなくす。モチベーションを上げるためにも学びの状態を確認していくべしってことかな。
2014-05-04 20:39:20著者らはassessment for learning学びのための評価のうち、実際に生徒の学びの証拠をニーズに応えるために使われたものをformative assessmentと呼ぶ。(同じものとして使われることも多い)
2014-05-04 20:41:46Formative assessmentは長期(単元や学期をまたぐ)、中期(単元の中や間)、短期(一日、二日の中で行う)では短期が最もインパクトが大きいという。これはちょっと意外だったけど、そうかもな。だからさっきのディスクみたいなやつは効果的かもしれない。
2014-05-04 20:44:09ちょっと面白かったのは、日本の事例が割とポジティブに取り上げられてたこと。クラスサイズを大きくしてるかわりに担当する授業時間数が少ない(イギリスの約半分)とか、教員同士で参観する授業研究Lesson Studyがさかんだとか。
2014-05-04 20:46:48さきほどメモを連投したWiliam(2006)の原文はこれです。 http://t.co/F2RitsD9oH
2014-05-04 20:53:33