牧眞司の文学あれこれ その7

牧眞司の文学あれこれ その6 http://togetter.com/li/611659 からの続きです。
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牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

それぞれの収録作品ベスト3、ぼくの好みであげると―― 【海外篇】 1.「息吹」テッド・チャン 2.「江戸の花」ブルース・スターリング 3.「夜明けとともに霧は沈み」 ジョージ・R・R・マーティン

2014-06-05 20:53:29
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

【国内篇】 1.「インサイド・SFワールド この愛すべきSF作家たち(下)」伊藤典夫 2.「さいたまチェーンソー少女」桜坂洋 3.「海原の用心棒」秋山瑞人

2014-06-05 20:54:05
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

チャン「息吹」は宇宙の熱死を扱う。その宇宙構造をエレガントかつコンパクトに示し、こんな手があったのかと吃驚。流れのパターンこそが記憶・知性であり、その源がエネルギー/物質量の勾配(低エントロピー状態)であると“見せてしまう”。凄い。

2014-06-05 21:08:39
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

「息吹」を読んで、ぼくが昂奮するもうひとつのポイントは、自分の脳内を覗いているうちに宇宙が裏返る感覚を覚えるところ。澁澤龍彦や種村季弘の好きな「胡桃の中の世界」「壺中天」とか、ボルヘスの「アレフ」とか、そういうイメージがワッと迫ってくる。

2014-06-05 21:20:50
リンク WEB本の雑誌 【今週はこれを読め! SF編】神学と妄想との捩れ、逡巡する物語、螺旋状に深化する思索 - 牧眞司|WEB本の雑誌 カルト的支持も一部にあるディック晩年の問題作『ヴァリス』が新訳された。大瀧啓裕...
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

『SFマガジン700【国内篇】』、語りの技法というかセンスでもっとも傑出しているのは、鈴木いづみ「カラッポがいっぱいの世界」。なに、これ。

2014-06-05 21:26:19
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

実験的な語りでは筒井康隆「上下左右」も目立っている。ただし、こちらは着想こそ凄いのだけど、その着想をつかめば現代の日本SF作家たち(語りのツワモノ揃い)なら同等の作品をつくれるかもしれない。しかし、鈴木いづみは、おそらく真似できない。

2014-06-05 21:29:09
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

何を仰る。「危険の報酬」とか「ホール・マン」を収録する選定基準など並のアンソロジストができますか! それがこだわり。RT @ymgsm //アンソロジストのこだわりとかアンソロジーの醍醐味とか考えないお徳用パック(作品がベスト級ばかりであることも含めて)というのがぼくの今回の//

2014-06-05 21:35:12
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ヴィクトル・ペレーヴィン『ジェネレーション〈P〉』(河出書房新社)読了。はひいっ、ヤバいわ、ペレーヴィン! 筒井康隆『48億の妄想』を思わせる疑似イヴェント小説で、メディアの臆面もない虚偽性が描かれるのだけど、

2014-06-08 17:16:41
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

そこに古代からつづく秘密結社の暗躍とか、視点人物が幻覚キノコでへろへろとかが絡んできて、いったい陰謀なのか妄想なのか、それとも世界そのものが不条理で不安定なのか判然としない。

2014-06-08 17:17:21
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

なんかもうペレーヴィンとかソローキンとか読むと、ジャンルSFの健全な文明批判が、とても牧歌的に思えてくる。毒がありすぎ。いや、オレは皿まで食うけどね。

2014-06-08 17:18:32
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

特殊小説、なんて素敵な! バロウズとかバラードとか柳下毅一郎とかヤバ くてアブない匂いが。RT @oono_n ロシアファンタスチカがずっと行っている手法を極端に拡大しているんですが、ロシアの外だとSFとか実験小説とも思われていなくて、「特殊小説」として取り扱われちゃうので。。。

2014-06-08 17:40:00
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ですです! ブルガーコフもアブないです。ヴィジョンにおいても、言語空間のつくりかたにおいても。 RT @oono_n ブルガーコフでも今になって読むと十分に特殊小説ですね。。。

2014-06-08 17:52:42
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

相対論とか囓ったことのある身としては、むしろブルガーコフやペレーヴィンのムチャでなんでもアリアリが「一般」であって、月並みの喜怒哀楽とか、もてなしのよい娯楽とか、起承転結とか、そういうほうが「特殊」だと思うのだが。 いや、それ以前のニュートン力学か。限定条件下でしか成立しない。

2014-06-08 17:55:15
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

NEWS本の雑誌「今週はこれを読め! SF編」更新されました。こんかいは片瀬二郎『サムライ・ポテト』(河出書房新社)を取りあげています。 webdoku.jp/newshz/maki/20…

2014-06-10 14:02:48
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

書評のさわり―― 懐かしい匂いがするSFばかりだ。「現代SFってサイバーなんとかとかポストなんとかとか、どうもヤヤコシくてかなわん」というむきにも、本書は安心してお薦めできる。サイバーでもポストでもなく『サムライ・ポテト』ね。 webdoku.jp/newshz/maki/20…

2014-06-10 14:03:19
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

『疎外と叛逆ーーガルシア・マルケスとバルガス・ジョサの対話』は、ふたりの巨匠の蜜月時代を伝えてくれる貴重な資料。おそらく現地でも手に入れにくい文献を、読みやすくまとめて翻訳してくれるのだから、ほんとうにありがたい。嬉しい。素晴らしい。

2014-06-11 21:02:03
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

アンナ・カヴァン『われはラザロ』(文遊社)読了。透明な陰鬱に閉ざされた世界で、呼吸と体温を喪失していくがごとき感覚の短篇集。多くの作品に戦争の影がかかっている。

2014-06-12 22:25:45
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

「輝かしき若者たち」という作品の一節には、こうある。 〔この戦争という機械仕掛けは、この個性や才能や生命を滅ぼす焼却炉は、感受性と想像性豊かな若者を無理やり死の鉄骨に造りかえ、何百万と招集して人殺しに仕立てるのだ。〕

2014-06-12 22:26:23
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

収録作品中もっとも印象に残ったのは、素描のような掌篇「カツオドリ」。残酷な運命がふいに襲いかかる。扇情的な描写がなく、短い形容をつらねるだけだが、それが鋭く刺さる。

2014-06-12 22:27:36
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

離人症的境地を描いた「誰か海を思はざる」は、緊密で硬質な小説。一方で遠い海の懐かしい記憶があり、もう一方にガラスの容れものに封じられた時計の無機質なイメージがある。両者のあいだを振幅しながら、主人公は行き先をなくしていく。

2014-06-12 22:29:11
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ベルナルダン・ド・サン=ピエール『ポールとヴィルジニー』が光文社古典新訳文庫で出るのか。SFファンにとっては、コードウェイナー・スミス「アルファ・ラルファ大通り」の下敷きになった作品としておなじみ(かな?)。いきなりヒロインが語り手に「ポール」と呼びかけるところで、ハッとなる。

2014-06-16 13:44:35
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

NEWS本の雑誌「今週はこれを読め! SF編」更新されました。こんかいはヴィクトル・ペレーヴィン『ジェネレーション〈P〉』(河出書房新社)を取りあげています。 webdoku.jp/newshz/maki/20…

2014-06-17 11:24:24
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

書評のさわり―― しかし、ペレーヴィンがほんとうに凄いのはその先だ。ジャンルSFが備えている文明批判のまなざしは、視点主体の健全性が担保されていた。(略)ペレーヴィンはその足場さえ、あっさりと崩しかねない。アブない。ヤバい。 webdoku.jp/newshz/maki/20…

2014-06-17 11:25:03
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ひとたび得た知能は、さらなる知能を欲望し、失われることをおそれる。チャーリイは知能にとり憑かれてしまった。そして、その知能は彼自身と不可分なのだ。『アルジャーノンに花束を』は、ひとりの男が自己をつかのま獲得し、その崩壊をどうにもできない運命を知るという、残酷な恐怖小説である。

2014-06-18 08:49:52
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