牧眞司の文学あれこれ その7

牧眞司の文学あれこれ その6 http://togetter.com/li/611659 からの続きです。
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牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

チャールズ・ユウ『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』(早川書房)読了。書くこと/読むことのタイムマシンみたいな小説で、円城塔さんが翻訳して大正解だと思った。きのう読み終わる前に書きあげた書評はそのままでいけるな。しげしげと考えるに、あれもタイムマシンで書いたようなものです。

2014-06-19 18:00:47
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

NEWS本の雑誌「今週はこれを読め! SF編」更新されました。こんかいは山岸真編『SFマガジン700【海外篇】』、大森望編『SFマガジン700【国内篇】』(ともにハヤカワ文庫SF)を取りあげています。 webdoku.jp/newshz/maki/20…

2014-06-24 12:09:15
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

書評のさわり―― このアンソロジーで特筆すべきは、作品の選択やバランスばかりではない。ネタの良さに加えて、さりげなくひと手間かけている。そこが名アンソロジストの心意気であり、匠の技である。 webdoku.jp/newshz/maki/20…

2014-06-24 12:09:42
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

『さよならの儀式』(創元SF文庫)を読んでいる途中なんだが、宮内悠介「ムイシュキンの脳髄」に大興奮。深遠なテーマを凝縮しているため、やや説明的になっている嫌いはあるが、そんなことはまったく問題にならないくらいのインパクト。

2014-06-26 20:06:07
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ここにあることを核にして、いくまわりか大きく展開したら、凄いアンチミステリというか現代文学というか、ドストエフスキーをリファインしたような傑作になるんじゃないか。

2014-06-26 20:08:48
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

宮内悠介の凄いのは、小説を書くことに自覚的でありながら、それを軽やかな自己言及構造にまとめるのではなく、もう一歩踏みこんで(あるいは思いきり身を引いて)見る姿勢だ。

2014-06-26 20:17:29
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

「ムイシュキンの脳髄」作中にこんな一節がある。 〔まず葛藤や軋轢がある。そして、価値観を変えるような事件が起きる。主人公は変化し、障害を越え、そして成長する。……わたしは、そうした物語にこそ暴力を感じる。〕

2014-06-26 20:18:04
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

オーウェン! ベルギー幻想派については《小説幻妖◎弐》で特集していましたね。 RT @Ykfpmb 『黒い玉』のトーマス・オーウェンも短編の名手ですね。オーウェンとジャン・レイ、ミシェルド・ゲルドロード、ジェラール・プレヴォーたちはベルギー幻想派四天王と呼ばれているらしい。

2014-06-27 06:47:16
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ジャン・レイは短篇も素晴らしいですが、長篇『マルペルチュイ』が傑作です。幻想/畏怖に充ちた作品で、読んでいて身体の芯から凍えるようでした。 RT @Ykfpmb 『黒い玉』が素晴らしかったので、ジャン・レイなどの小説も読んでみたいです。

2014-06-27 06:57:06
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

大森望・日下三蔵編『さよならの儀式』(創元SF文庫)読了。飛び切りの傑作から「これを収録するのってネタでしょ?」まで、いろんな意味で楽しめるアンソロジー。書評しようそうしよう。

2014-06-27 21:07:17
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

とりあえずベスト5。 1.宮内悠介「ムイシュキンの脳髄」 2.藤野可織「今日の心霊」 3.藤井太洋「コラボレーション」 4.宮部みゆき「さよならの儀式」 5.酉島伝法「電話中につき、ベス」

2014-06-27 21:07:52
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ロバート・ガルブレイス『カッコウの呼び声』(講談社)読了。ミステリ音痴のぼくが言うのもナンだが、謎解きの部分はとくに新鮮味はない。ただし瑕疵もなく手堅く構成されていて、パズル的興味だけでなくドラマ性も盛りこまれている。

2014-06-29 15:17:00
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

読みどころは人物造形。とくに探偵の女性秘書(人材派遣で来た期間契約)ロビンが際立っている。物語に華を添える可愛い脇役ではなく、彼女のかなり現実的なキャリア選択、自己実現の起伏が描かれていて、そこに共感するひとは多いだろう。

2014-06-29 15:17:53
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

NEWS本の雑誌「今週はこれを読め! SF編」更新されました。こんかいはチャールズ・ユウ『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』(早川書房)を取りあげています。 webdoku.jp/newshz/maki/20…

2014-07-01 13:53:37
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

書評のさわり―― このタイムマシンが便利なのは、そこに書かれた「世界(SF的な宇宙)」と、書いている「文章(テキスト)」を同時に操作できるところだ。 webdoku.jp/newshz/maki/20…

2014-07-01 13:54:07
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

アーシュラ・K・ル=グイン『幻影の都市』(サンリオSF文庫)を再読し、なかなかの良作であることを確認。『闇の左手』で展開されるテーマの多くはこの作品にもあり、しかも思考の深さはほぼ同等といってよい。情景の鮮烈さや人物間の葛藤のキメ細かさの点では、『闇の左手』には及ばないが。

2014-07-02 16:10:20
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ル=グインは、思想的な意味でも、物語づくりの面でも、米SF界(いや文学界)屈指の良識の持ち主だと思う。 ただ、作品がそれで面白いかというとまた別問題で、彼女の小説にはふくらみはあっても、過剰や逸脱がない。もちろん、過剰や逸脱はそれ自体が価値ではなく、善し悪しなのだけど。

2014-07-02 16:15:14
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ああ、わかります。もちろん「それだけ」でも凄いことなんですけどね。 @fifi_ma_fifi 「闇の左手」の読書会の時、終わってから行って、アメリカSFの欠点を一つ一つ丁寧に消していっているけれど、それだけ、と発言して顰蹙をかったのだった。

2014-07-02 16:46:22
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

情感はむしろ豊かですが、あざとい演出をしない作家ですね。潔い。 RT @ItohMaki ル=グィンの作品は非常に端正な印象がありますが、ドラマチックな盛り上がりや感情を揺すぶるような要素(いわゆる泣かせ)には欠けますね。おそらく意図的にそういうものを排除しているんでしょう。//

2014-07-02 18:14:42
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

良識や端正さの点で、篠田節子さんじゃル=グインと似ている。篠田さんが凄いのは、良識を基底としながら狂気や衝動までも作中に繰りこんでしまうことだ。底知れない。

2014-07-02 18:22:20
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

同感です! RT @ItohMaki 通俗小説的なあざとさや小手先のテクニックとは無縁ですね。若い頃、翻訳がほとんど出ていなかったので原書で読んでいたんですが、文章が明晰で理解しやすかったんですよね。破綻の少なさにかえって物足りなさを感じてしまう部分があるのかも。

2014-07-02 18:36:23
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

不当や不条理に対しても感情を爆発させたり、暴力的に(たとえ言葉だけであっても)対処するようなことはしないひとでしょう。それはいっときのカタルシスに過ぎず、解決には至らないので。 RT @kan143 淡々と結構感情的にきついこと書いてますよね、ル=グイン @ItohMaki

2014-07-02 18:48:36
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

読者からもプロからも支持される点でしょうね。 RT @kan143 ぱっと読んだ時には表面的に発散している文章の方が訴えるんでしょうが、ル=グインみたいなのは後から効いてきます

2014-07-02 20:54:00
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

Let It Goの「It」は、ほんらい天気を語る「It」みたいに、形式的な指示語なのだろう。しかし、もっと直裁に、エルサの能力(暴力性)を示していると、ぼくには思える。S・キングの「キャリー」の念動力と同じで、自分の内にありながら、制御できない何か。

2014-07-04 07:36:24
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

被抑圧者・ハンディのある者・マイノリティが超能力を発動させる――これはSFではよくある展開だ。また(統計的に実証しにくいところだけど)超能力SFの傑作の多くが女性作家の手で書かれている。という話で、もう一度ル=グインへ戻っていこうと思ったのだけど……もっとツメないと駄目だな。

2014-07-04 07:46:42
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