黄色ブドウ球菌の話は、講義だと創傷感染のときにどうやってコイツらが体内で生き残ろうとするかとか、P&Gが80年頃に起こした生理用タンポンでの薬害事件の話とか、その辺に力入れてたりする。食中毒話は、まぁ雪印の例とかね。
2014-06-19 00:48:33時間があれば、何年か前に、癌学会のランチョンセミナーで配られた弁当で黄ブ菌中毒が集団発生したときにニアミスした話とか、あと実際に一度やっちまったことがあるので、そこらへんのネタも手持ちはあるけど、さすがにそこまで時間はないしなあ。
2014-06-19 00:50:39黄色ブドウ球菌による食中毒は、典型的な「毒素型中毒」で、生きた菌を食べることではなくて、食品中で菌が増えて作った毒素を食べて発症するもの。細菌による食中毒は、この手の毒素型と、感染型に大別されるけど、毒素型の方が少なく、黄ブ菌と、ボツリヌスと、セレウス(嘔吐型)の三つだけ。
2014-06-19 00:55:19同じランチョンセミナー(企業とかが協賛する昼ご飯付きの講演)の会場に、同行してた4人で並んで、弁当受け取って入ったら、1人が発症。並んだ順番がちょっとずれてたらアウトだった。
2014-06-19 01:01:23@Butayama3 @y_tambe @ohira_y ちょっと聞いたことがありました。 トランスグルタミナーゼはタンパク質の性質を変えるのでセリアック病という免疫疾患にも関係しているそうです。グルテン(小麦類)の制限が必要とか。 nutmed.exblog.jp/10898493/
2014-06-19 01:03:03もういっかい、ブドウ球菌の話。
わいたんべさんもやられたことがあるらしいよ。
黄色ブドウ球菌は、普通の環境中や動物とかにもいるけど、何と言ってもヒトの鼻の中とか、手指とかがいちばん多い。手洗いが大事なのはこのため。また怪我したときの傷や毛穴の中の小さな傷から侵入して、傷口を化膿させることがあって、このとき化膿部で菌が増えてるから手に傷あるときはさらに要注意
2014-06-19 01:06:02原因食材として、日本の家庭でいちばん多いのは「おにぎり」とかだけど、欧米では牛乳、乳製品、シュークリームとかが多く、その他にも卵、ハム、パスタなど、でんぷんやタンパク質が多い食材ならそれなりに、また人の手が触れる機会が多いものほどリスクが高くなるタイプ。
2014-06-19 01:12:51承前)十分に加熱すると、菌自体は死滅するのだけど、やっかいなことにいったん毒素を作ってしまうと、この毒素が非常に強い耐熱性を持っているので、加熱しても残って食中毒を引き起こす。これは菌の増殖に伴って作られるので、とにかく「食品中で菌を増やさない」のが大事。
2014-06-19 01:19:34「菌を増やさない方法」には、例えば冷蔵するとか、塩漬けにするとかがあるけど、黄色ブドウ球菌は低温や、高塩濃度に強いのが特徴なので、そこもやっかいなところ。
2014-06-19 01:21:20黄色ブドウ球菌が作り出す「毒素」は「エンテロトキシン」と呼ばれるタンパク質。ただこの「エンテロトキシン」は、英語で「腸管毒」という名前にすぎない。例えば、大腸菌の中にもエンテロトキシンを作る食中毒菌がいるけど、そのエンテロトキシンと、ブドウ球菌のはまた別物。
2014-06-19 01:23:55黄色ブドウ球菌エンテロトキシンにも、実は何種類かあって、非常に活性の強いものとそうでもないものもある。ただいずれも「スーパー抗原」と呼ばれているタンパク質で、免疫系の細胞に作用して、撹乱する働きを持っている。ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9…
2014-06-19 01:27:06で、ここで「毒素」の話に。
@y_tambe もうさ、毒だからタンパク質なのか、タンパク質だから毒なのか、と思ったことが前にもあります。そのくらい複雑な構造を作ることができる、ということなのでしょうか。
2014-06-19 06:28:29@Butayama3 「毒」ってのは、平たく言うと「体に有害」ってだけのことだからなあ。以前、ホルモンの話をしたことがあったと思うけど、ホルモンが「体のどこかで作られて、別の場所で作用する」っていう「はたらき」を持ったものに付けられるのと似た感じ。
2014-06-19 09:42:06@Butayama3 ホルモンと同じで、細菌が作る「毒素」にも、タンパク質のものと、そうでないものとがある。細菌の毒素は、菌とは独立に(菌本体が死んで毒素だけが残ったときでも)ヒトに悪さする物質のことなんだけど、これには菌体にしっかりくっついてる(=菌体内にある)ものと、(続
2014-06-19 09:50:26@Butayama3 菌が細胞外に分泌するものの2タイプがある。それぞれ「内毒素」「外毒素」という。内毒素はタンパク質ではなくて、(グラム陰性菌という)一部のタイプの細菌の細胞表面を覆う「外膜」という膜にある「リポ多糖/リポポリサッカライド、 LPS」という成分が本体(続
2014-06-19 09:54:06@Butayama3 承前)このLPSが血液中に入ると、ヒトの体が「菌キターッ!」となって、けっこう過激な免疫応答を起こす。免疫は、異物を排除するのにとても有効だけど、過剰に働くと発熱、発疹とか、ひどい場合はショック症状を起こすこともあるので危険でもある。一方、外毒素は(続
2014-06-19 09:57:14@Butayama3 承前)外毒素は、これはもう作る菌によってバラバラ。だけど、そのほとんどはタンパク質(例外としてはセレウス菌の嘔吐毒がある:でも、これも環状ペプチドつって、まぁタンパク質の仲間とも言える)。作るタンパク質の種類も、働きも、菌によってばらばらだけど(続
2014-06-19 10:00:30@Butayama3 承前)面白い(?)ことに共通点もあって。外毒素には、2種類のパーツ(サブユニット)から出来てるものが多い。片方は、ヒトや動物の細胞の中で実際に悪さをする「活性」を持ったパーツ、もう一方はそのパーツを細胞に送り込むため、細胞にくっつく「結合」のためのパーツ(続
2014-06-19 10:04:28@Butayama3 承前)それぞれを「Aサブユニット (Active=活性)」「Bサブユニット (Binding=結合)」と呼ぶ。いろんな細菌が外毒素をつくるけど、(1)AとB1個ずつがくっついたタイプ(AB型毒素)と、(2)A1個にB5個くっついたタイプ(AB5型)が大半(続
2014-06-19 10:07:17