掌小説語り～自作つぃのべる集11～

リュカ @ryuka511

恋い焦がれた王女が隣国へ嫁いでしまう。戦を回避する為の政略結婚だ。王女は青年が弾く竪琴の音色が好きだった。テラスから彼女の好きな曲を奏でる。一介の宮廷楽士に過ぎない彼に出来る事は王女の幸せを祈り彼女の好きな音色を捧げるだけ。叶わぬ想いはひた隠し一心に弦を弾いた。 #twnovel

リュカ @ryuka511

30年前の私から手紙が届いた。中学の卒業記念に書いた物だ。何を書いたっけ。新鮮な気持ちで封を切ると便箋は白紙だった。あの頃何を思ってたんだろう。病弱でひねた子供時代。30年後に自分が生きてるなんて考えてなかったと思い出す。大丈夫だ、お前は変われる、今を生きてる。 #twnovel

リュカ @ryuka511

ある少年が独裁者を倒し英雄になった。民衆は少年を讃え彼を新たな指導者へ押し上げる。周囲の称賛は政など何も知らぬ彼を独裁者へと変えた。独裁者を倒す力はあっても自分を律する力は彼には無かった。彼は革命を起こした少年に倒される。民衆に讃えられ押し上げられ少年は新たな− #twnovel

リュカ @ryuka511

王女は銀色の鳥籠から小鳥を逃がそうとした。けど小鳥は王女の手を逃れる。「自由になりたくないの!?」「僕は自由だ。出ようと思えばいつでも出れる。でもここは飢える事も襲われる事もない。自由に伴う責任をまだ果たせないからここにいる事を選んだ。」王女は反論出来なかった。 #twnovel

リュカ @ryuka511

ヒーロー達は敵の最後の城をついに発見した。「画像解析完了。」「座標は間違いないな。」「あぁ。ホログラムで巧妙に偽装されているが間違いなく奴らの城だ。」一同はモニターに映る不気味な城を見据え頷く。「10分後に突入だ。」「あの趣味の悪い城を奴の墓標にしてやろうぜ!」 #twnovel

リュカ @ryuka511

魔女の呪いで蜘蛛に姿を変えられた姫を救う為、王子は森へ足を踏み入れた。2人が真の運命で結ばれているなら呪いは解けるだろうと、魔女は皮肉に笑う。王子には自信があった。だが、森に棲む蜘蛛は数多く焦った王子は闇雲に蜘蛛を切り伏せる。「今のに姫がいたかもしれないねぇ。」 #twnovel

リュカ @ryuka511

朝はどこから来るのか知りたいと思った。朝が来なければ明日も来ない。朝を封じ込めて、夜の闇の中でずっと微睡んでいたい。眠れない夜も、朝が来なければ怖くない。 #twnovel

リュカ @ryuka511

生きる理由を探る為タイムマシンに乗った。窓から見える過去に自分の存在意義を見出だそうと目を凝らす。時と共に増える関係を持った人達。生きる理由など考える暇さえ無かった頃。今でも関係を保っている相手は少ない。希薄な人間関係が生きる理由を希薄にしているのかもしれない。 #twnovel

リュカ @ryuka511

負け戦だ、そんな事は解りきっている。それでも退くわけにはいかないのだ。武士として名を馳せた以上、時世がどうあれ武士として生きるのみ。転戦、敗走、そして破滅へと。時代に名を刻みつけ、最後まで剣と共に熱く− #twnovel