不知火に落ち度はない その6

yamoto @yamoto

「よし。捕まれよ」 差し出した手を掴んで、立ち上がるため体重を預ける浜風。 まだ、体力戻ってねえのか。 肺から空気抜けたら経験もそう無いのか。 「かかりましたね」 うつむいたままでぼそっと呟くと、そのまま膝が跳ね上がる。 お。浜風ナイス。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

腕を引っ張って、膝をぶち込むのか。 良い考えじゃないか。 「よっと」 ではテスト。 膝が避けられたらどうする？ 首をひねってかわすと、ためらいもなく、浜風がもう片方の膝も跳ね上げる。 腕を引いて、身体を崩し膝を食らわす。 僅かに鈍い音がした。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

うん。おおむね合格。 ひしゃげた鼻から膝が離れ──足がつくと同時にもう一度跳ね上げる。 えっげつねー。 ちょっと浜風の好感度上がりましたよ俺。 お前やればできる子じゃないか。 頭なでなでしてやろう、後で。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

この場合ミソなのは腕を引っ張ってるところだ。 これで首を振っても避けられないようにする。 アレンジは必要だがな。流石にもう一発食らってやる気は── お？ 膝の動きが予想を離れた。 俺の顔をそれて──足が伸ばされる。 足で輪を作り俺の頭を絞める。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

お。まさかこれは。 えーっと浜風。これってもしかしてさー。 眼前に見える大写しのパンツ。これはいけませんよ。 大変いけませんよ。 「せー……のぉ！！！」 がくん、と引っ張られる首。 引っこ抜かれそうな円弧の動きと共に──俺は頭から床へダイビング。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

フランケンシュタイナー。 いわゆるプロレス技である。 よい子は絶対真似すんなよ。 この技はマットしいた床だから首とか折れずに済むんだし。 ではアデュー諸君。ちょっといってくらぁ。 衝撃が頭頂部に走り。俺の身体は床に叩きつけられた。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「ふー……っ。どうですか提督」 浜風が俺の頭を挟み込んだまま多分勝ち誇ってるんだと思う。 目の前真っ暗、意識グラグラ。 あとが頭の左右がなまあったかくてやわらかいし、鼻面もなんか柔らかくて、匂いあまずっぱい。 息とかできん。はよどけ浜風。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

さて、どうするんだこれ。ちょっと頭痺れてるが、浜風どいてくんないぞ。 ここで息とかこらえてる俺の思いよ届け浜風。 「びっくりしました？」 むにっ 浜風、願いの逆方向を突っ走ってくれてます。 誰かこのちびっ子グラマーに伝えて。 俺の立場がやばいって。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「提督。ほらほら」 飛びはねんな！！ 当たるしフツーに重いわ！ お前わかっててやってませんかね！？ ストッキング越しのパンツとか当てて遊んでませんかね！？ やめてそういうの。メスゴリラが真似して遊ぶから。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

しかし息止めるのもう限界だぞこれ。 この調子づいたミニマムグラマー小娘に、しかるべき制裁を食らわすべきか。 とりあえず、とんとん、と背中を叩く。 「……提督…？」 どきなさい、いいかげん。 とりあえずまだ怒ってないから。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「……えっと……え？」 は や く お り ろ 背中に手早く書いてみる。 「ご、ごめんなさい。もう一回書いてください」 は よ お り ろ 俺の意識がだいぶやばい。 「は ま か ぜ と？」 違うわい。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

お り ろ 「お そ ろ？」 ちょっとおしい。 もーむり、げんかい。 お り ろ ！ 「お い る？」 あ、かすった。 でももう駄目だ。 こいつがどかんことには、俺の息はできない。 すまん浜風、緊急事態だ。 浜風の豊かな乳を鷲づかみにした。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「ひっ？！！」 引きつった声が上がる。 「ひやあああああああああ！！？ てててててて提督！？」 はやく どいて。 おねがい。 おれしんじゃう。 指がめり込むほど柔らかく、ふにふにしてるけどそんなの関係ない。 上下に揺さぶりどけをアピール。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「やっ！？ やっ…ふっぇっ！？ っやああ！？」 たっぷ たっぷ たっぷ たっぷ ゆっさ ゆっさ ゆっさ ゆっさ もしかしてこいつ今日ノーブラじゃありませんか。 いかん、だいぶバカになってる。 もう立場とか投げた。 「や、やめ…！ こんな…っ」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

さーてまずは深呼吸だ。 脳に足りない酸素を一気に取り戻そう。 すーはー すーはー タイツは蒸れるとよくわかる。 あまずっぱい匂い一杯。 そういうプレイが好きな奴ならこれは大絶賛だろう。 「ちょ、ちょっと提督…！？ ひ…息、息が！？」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「やかまし。さっきからどけってアピールしてたんだっつの」 ふご ふご ふご ふご なんか食い込んで当たって熱いし、蒸れて湿ってるし、声は布でふさがれてるし、乳はふにふにだし。 「ああああ！！ し、失礼しました！？ でででも提督！？」 なにかな？ #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「あの……どうして……胸触られてるんです？」 「見えない状態で掴みやすい所、ここぐらいなんだよ」 大変持ち上げやすい形とナイス重量です。 でもこういうのはもっとちゃんとした状態で楽しむのが大人ですよ、浜風君。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「わかったらとっととどいてくれ。さっきからパンツの匂いこっちに伝わり放題だ」 「え……？ ああああ、あの セクハラですよそれ！？」 「お前の顔面にのしかかって俺のパンツの匂いかがせんぞ。死ぬぞ」 想像すると実にやだ。 ご褒美と人は言うが、案外地獄だぞ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

そう言うとやっと、浜風が俺の顔面から離れていく。 顔は耳まで真っ赤っか。そりゃあ恥ずかしいのかも知れないが。 俺は危うく天国に行きかけたし、言うことがある。 「浜風、今の奴は実戦で使うな」 「え？……あのでも」 言いたいことはわかる。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「あれな。俺わざと飛んだの」 「えっ！？」 不合理だろう。そりゃそうだ。 わざわざダメージを食らう方にシフトしたんだから。 「高さもたいしたことない上、上手く着地でダメージは低いと踏んだからな」 もちろん、ちゃんとやり方を知らないと頭が割れたりする。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「でも、踏ん張ったり他にやり方が」 「男がやったんなら頭突きの一発でもかまして潰してるわい、ばかもん」 あ、と口に手を当てる浜風。 急激に顔色が赤くなっていく。 うん、気づいたよね、あの技の致命的な欠陥。 「ごめんなさい、提督」 よろしい。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「まあ、気づいた点は悪くないんだけどな。膝入れたまでは合格だし」 ただ、プロレス技ってのは、実戦で使うには危険なのが多すぎる。 隙もでかいし、そもショーテクニックが多い。 「だがその後は以後禁止」 「了解です、提督」 ふー。色々危なかった。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

では、恥ずかしい空気もどいたところで。 「訓練再開だな」 「え……でも」 「変な空気になったからなー。少し身体を動かして、吹っ切るぞ」 「は、はい！ 提督」 強く頷く浜風。 うん。俺ね。 ちょーっと、意地悪するから。 がんばって耐えろよ、浜風。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

十数分後。 浜風のしかばねが 床に倒れていた。 汗びっしょり、髪の毛ぺったり、服ぐっしょり 鼻水たらり、よだれべたり、涙そうそう 「生きてるかー？ 浜風」 「………」 へんじがない ただのしかばねのようだ。 時々痙攣してるけど。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

ひゅーひゅー、と音が聞こえる。 これは呼吸音ですね。 よし生きてる。 ちょっとおじさん張り切って、黒潮向けコースをやってみた。 体重がちょっとどころじゃなく減ってたと思うけど気にしない。 ちなみに黒潮は1回目の時3回吐いた。 #不知火に落ち度はない